小児に対する抗精神病薬使用、治療継続性を解析

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2016/11/16

 

 小児および青年に対する第2世代抗精神病薬の実際の有用性は、まだよくわかっていない。このような患者は長期にわたり治療を受けているため、重要な研究領域である。イタリア・Scientific Institute IRCCS Eugenio MedeaのMarco Pozzi氏らは、小児外来患者を対象に第2世代抗精神病薬の治療継続性を比較した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2016年10月25日号の報告。

 リスペリドン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン治療を行った小児外来患者の非選択的集団において、24ヵ月(2012年3月~2014年3月)の観察研究を行った。
(1)使用薬剤の抽出、(2)特定の原因による中止率、用量調節は、薬剤間のカプランマイヤー分析により事後比較、(3)これらアウトカムに影響を及ぼす予測因子をCox多変量モデルにより解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・小児患者184例のうち、処方率はリスペリドン77%、アリピプラゾール18%であった。
・オランザピン、クエチアピンの使用率は低かったため、分析対象外とした。
・リスペリドンは破壊的行動障害を有する若者男性で処方され、アリピプラゾールはチック障害を有する患者で処方されていた。
・全体として、処方後6ヵ月間における中止が多く、24ヵ月時点における中止率は、リスペリドン41.5%、アリピプラゾール39.4%で、同様であった。
・単変量解析では、投与量の減少はアリピプラゾール群で高かった(p=0.033)。
・多変量解析では、以下の予測因子が抽出された。
 全原因による中止:ベースラインの重症度(HR:1.48、p=0.001)、用量増加(HR:3.55、p=0.001)。
 患者決定による中止:用量増加(HR:6.43、p=0.004)、用量減少(HR:7.89、p=0.049)、併用薬あり(HR:4.03、p=0.034)、自閉症患者決定による中止は少ない(HR:0.23、p=0.050)。
 副作用に伴う医師決定による中止:ベースラインの重症度(HR:1.96、p=0.005)、用量増加(HR:5.09、p=0.016)。
 効果不十分に伴う医師決定による中止:ベースラインの重症度(HR:2.88、p0.014)、アリピプラゾール使用(HR:5.55、p=0.013)。
 用量増加:なし。
 用量減少:副作用発生(HR:4.74、p=0.046)、用量減少は自閉症患者では少ない(HR:0.22、p=0.042)。

関連医療ニュース
第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索
自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較
アスペルガー障害、高機能自閉症への第二世代抗精神病薬は有用か

(鷹野 敦夫)