ビタミンDで抗精神病薬誘発性高血糖が低減か:京都大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/06/14 非定型抗精神病薬は、高血糖リスク増加と関連しているため、臨床使用が制限される。京都大学の長島 卓也氏らは、抗精神病薬誘発性高血糖の根本的な分子メカニズムについて検討を行った。Scientific reports誌2016年5月20日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・FAERS(FDA Adverse Event Reporting System)データベースにおける薬剤の組み合わせを検索したところ、非定型抗精神病薬の高血糖リスクを低減した併用薬として、ビタミンD類似体との組み合わせが、クエチアピン誘発性糖尿病関連有害事象の発生を有意に減少させることが示された。 ・マウスを用いた実験検証では、クエチアピンは急性インスリン抵抗性を引き起こすことが認められ、これは、コレカルシフェロールの食事補充により軽減された。 ・シグナル伝達経路や遺伝子発現に関連するデータベース解析では、インスリン受容体の下流で働く重要な遺伝子であるPik3r1のクエチアピン誘発性のダウンレギュレーションを予測した。 ・PI3Kシグナル伝達経路に焦点を当て、Pik3r1 mRNAの発現低下は、骨格筋のコレカルシフェロール補充により逆転することが認められた。C2C12筋管へのインスリン刺激グルコースの取り込みは、クエチアピン存在下で阻害され、これは、PI3K依存的に付随するカルシトリオールにより逆転した。 結果を踏まえ、著者らは「ビタミンDの同時投与は、PI3K機能のアップレギュレーションにより、抗精神病薬誘発性高血糖およびインスリン抵抗性を防ぐことが示唆された」としている。 関連医療ニュース オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 抗精神病薬誘発性の体重増加に関連するオレキシン受容体 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nagashima T, et al. Sci Rep. 2016;6:26375. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは 疫学(予後)(2013/10/23) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症、tolebrutinibが障害進行リスク抑制/NEJM(2025/04/25) 米国出生率、中絶禁止導入州で上昇/JAMA(2025/04/25) 症状のない亜鉛欠乏症に注意、亜鉛欠乏症の診療指針改訂(2025/04/25) サブタイプ別転移乳がん患者の脳転移発生率、HER2低発現の影響は(2025/04/25) 2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究(2025/04/25) 遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か(2025/04/25) tenecteplase、脳梗塞治療でアルテプラーゼと同等の効果(2025/04/25) 低ホスファターゼ症の新たな歯科症状が明らかに―全国歯科調査(2025/04/25) [ あわせて読みたい ] 片頭痛特集まとめインデックス(2021/08/31) 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(消化管)(2021/07/15) 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 内分泌・代謝(2021/04/20) クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) 心不全特集まとめインデックス(2020/10/01) 腎性貧血特集まとめインデックス(2020/09/30) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【糖尿病・内分泌疾患編】(2020/09/10) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) 志水太郎の診断戦略ケーススタディ(2019/02/15) Dr.須藤のやり直し酸塩基平衡 (2018/12/15)