肥満と乳がん予後の関連、BMIより腰囲が重要

提供元:ケアネット

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公開日:2016/04/28

 

 肥満と乳がんの予後との関連について、診断前にヒップ周囲径が100cmを超えていた女性は全死因死亡や乳がん死亡リスクが高く、BMIは生存率と関連していなかったとフランス国立保健医学研究所(INSERM)のMathilde His氏らが報告した。International journal of cancer誌オンライン版2016年4月22日号に掲載。

 肥満は、乳がん患者における予後不良に関連しているが、ほとんどの研究はBMIに焦点を当てており、脂肪組織の分布を考慮しているものは少ない。著者らは、診断前の肥満状態と乳がんの生存率との関連について、BMI、ウエスト周囲径(WC)、ヒップ周囲径(HC)、ウエスト/ヒップ比(WHR)により検討した。

 分析の対象は、フランスの前向き研究のE3Nコホートにおいて1995~2008年に原発性浸潤性乳がんと診断された3,006例の女性。腫瘍特性および生活習慣リスク因子を調整したCox比例ハザードモデルを用い、全生存率・乳がん特異的生存率・無病生存率について、全体およびStage・閉経状態・ホルモン状態・診断年ごとに検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・診断前にHCが100cmを超えていた女性は、95cm未満の女性と比較して、全死因死亡リスク(ハザード比[HR]:1.38、95%信頼区間[CI]:1.02~1.86、傾向のp=0.02)、乳がんでの死亡リスク(HR:1.50、95%CI:1.03~2.17、傾向のp=0.03)、2次浸潤がんイベントでの死亡リスク(HR:1.36、95%CI:1.11~1.67、傾向のp=0.002)が高かった。
・これらの関連は、BMI調整後のほうが強かった。
・BMI、WC、WHRは乳がん診断後の生存率と関連していなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)