腰痛と精神障害の併存、障害年金支給リスクを16~20倍に

提供元:ケアネット

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公開日:2015/11/10

 

 腰痛と神経症性障害やストレス関連障害などとの相乗的な影響について、オーストリア・ウィーン大学のThomas. E. Dorner氏らは障害年金の観点からコホート研究を行った。その結果、両者の併存はそれぞれ一方の場合より、障害年金支給のリスクを相乗的に高めることが明らかになった。結果を踏まえて著者は、「さらなる障害と労働市場からの排除を防ぐことが臨床的に重要」とまとめている。Psychological Medicine誌オンライン版2015年10月15日号の掲載報告。

 本コホート研究の登録者は、2004年12月にスウェーデンに在住しており、2005年は年金非支給期間で、2004~05年にまたがった病欠のない16~64歳の482万3,069例であった。

 2006年~10年の障害年金に関するハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算定した。曝露変数は、腰痛(ICD-10のM54:背部痛)[2005年における病欠、入院または専門外来受診]と、一般的な精神障害(ICD-10のF40-F48:神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害)[2005年の病欠、入院、専門外来受診、または抗うつ薬(ATC分類N06a)]とした。

 主な結果は以下のとおり。

・障害年金に関するHRは、腰痛を有する女性で4.03(95%CI:3.87~4.21)、同男性で3.86(同:3.68~4.04)、一般的な精神障害を有する女性で4.98(同:4.88~5.08)、同男性で6.05(同:5.90~6.21)であった。
・腰痛と一般的な精神障害の両方を有する場合、障害年金に関するHRは女性で15.62(95%CI:14.40~16.94)、男性で19.84(同:17.94~21.94)であった。
・女性において、相乗指数(synergy index)は1.24(95%CI:1.13~1.36)、相互作用による過剰相対リスクは0.18(同:0.11~0.25)、寄与割合は2.08(同:1.09~3.06)であった。同様に男性ではそれぞれ1.45(同:1.29~1.62)、0.29(同:0.22~0.36)および4.21(同:2.71~5.70)であった。

(ケアネット)