若年双極性障害への治療効果を高めるには

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/17

 

 双極性障害の青少年・若年成人では、薬物療法の補助的療法として対人関係・社会リズム療法(interpersonal and socialrhythm therapy:IPSRT)と専門家支持療法(specialist supportive care:SSC)を用いることは、抑うつまたは躁病症状を抑制する効果、および社会的機能を改善する効果があることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学のMaree L Inder氏らによる無作為化対照試験の結果、示された。著者は今回の成果を、「とくに抑うつ症状に対処する有効な治療の特定は、双極性障害の負荷を軽減するうえで重要となる」と強調している。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年10月24日号の掲載報告。

 試験は、双極性障害で薬物治療を受けている若者におけるIPSRT vs. SSCの効果を調べることが目的であった。主要評価項目は、26~78週間の抑うつアウトカムで、そのほか社会的機能、躁病アウトカムについても評価した。被験者は、15~36歳で、双極I型障害、同II型、未分類のいずれかに属する患者であった。除外基準は最低限のものであった。
 アウトカムの測定には、Longitudinal Interval Follow-up Evaluation(LIFE)scale、Social Adjustment Scale(SAS)が用いられ、対応サンプルのt検定にて、ベースラインからアウトカム測定期間までの変化の有意性を調べた。また、共分散分析法で、治療のインパクト、生涯および現有の共存症のインパクト、共存症と治療との相互作用、および試験登録時年齢のうつ病への影響を調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者は100例で、IPSRT群に49例、SSC群に51例が無作為に割り付けられた。
・被験者の大半は、双極I型障害(78%)、女性(76%)であり、共存症を有する割合は高値であった。
・治療後、両群共に抑うつ症状、社会的機能、躁病症状は改善した。仮説とは対照的に、治療間に有意な差は認められなかった。
・生涯または現有のAxis Iまたは試験登録時年齢の影響はなかった。
・薬物乱用患者に対するSSCの影響は、相対的に認められた。

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(ケアネット)