テストステロンは統合失調症治療の標的となるか

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/12

 

 攻撃的行動と陰性症状は、ホルモンを背景とする統合失調症の二大特徴である。クロアチア・Vrapce大学精神科病院のMirna Sisek-Sprem氏らは、統合失調症患者における陰性症状および攻撃的行動とテストステロン値との関連について検討を行った。その結果、攻撃性の患者ではテストステロン値とこれらパラメータとの間に関連はみられなかったが、非攻撃性の患者ではテストステロン値と陰性症状の重症度が負の相関を示し、興奮、敵意、衝動的行動と正の相関を示すことが判明した。結果を踏まえて、著者は「統合失調症の陰性症状に対して、テストステロンをターゲットとした治療戦略が有用な可能性がある」と示唆している。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2014年8月25日号の掲載報告。

 18~40歳の男性統合失調症患者120例を非攻撃群(60例)と攻撃群(60例)に分け、さらに攻撃群については入院前に明らかになった攻撃のタイプに応じて凶暴(32例)と自殺企図(28例)のサブグループに分けた。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)により精神病理学的重症度を、Overt Aggression ScaleおよびColumbia Suicide Severity Rating Scaleにより凶暴性と自殺傾向を評価した。症状を評価した同じ日の朝に血清総テストステロン値を測定した。

 主な結果は以下のとおり。

・非攻撃群において、テストステロン値はPANSS陰性症状サブスケールスコア(p=0.04)および抑うつスコア(p=0.013)と負の相関を示し、興奮(p=0.027)、敵意(p=0.02)および衝動的行動(p=0.008)と正の相関を示した。
・攻撃群では、これらパラメータおよび凶暴または自殺行動とテストステロン値との間に有意な関連はみられなかった。
・テストステロン値が低い非攻撃性の男性統合失調症患者では、陰性症状がより重症であることが確認された。
・攻撃性の患者では、テストステロン値と障害あるいは攻撃性の程度やタイプなどの臨床的特徴との間に関連はみられなかった。

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(ケアネット)