母斑数は乳がんの独立予測因子?

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/26

 

 母斑はホルモンに関連することが示唆されている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMingfeng Zhang氏らは、母斑は血漿ホルモン値の表現型マーカーとなり、乳がんリスクを予測するのではないかと仮説を立て検証研究を行った。その結果、母斑数は血漿ホルモン値を反映し、既知の因子とは独立した乳がんリスクの予測因子となりうることを報告した。PLOS Medicine 誌2014年6月10日号の掲載報告。

 検討は、「看護師健康調査」に参加し24年間(1986~2010年)追跡を受けた7万4,523例を対象に行われた。

 乳がんを診断された被験者を特定し、母斑数を調べ、既知の乳がんリスク因子で補正したモデルを用いて、母斑数別に乳がんの相対リスクを推算した。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中、侵襲性乳がんを診断された被験者は、総計5,483例であった。
・母斑がなかった被験者と比較して、その数が多くなるほど、乳がんリスクは増大することが明らかになった。
・多変量補正ハザード比は、母斑数1~5個で1.04(95%信頼区間[CI]:0.98~1.10)、6~14個で1.15(同:1.00~1.31)、15個以上で1.35(同:1.04~1.74)であった(連続傾向p=0.003)。
・追跡期間24年間における乳がん発生の絶対リスクは、母斑なしの8.48%から、母斑数増大に伴い増大がみられた。すなわち、母斑数1~5個で8.82%(95%CI:8.31~9.33%)、6~14個で9.75%(同:8.48~11.11%)、15個以上で11.4%(同:8.82~14.76%)であった。
・また、母斑数と乳がんリスク増大との関連性は、エストロゲン受容体(ER)陽性腫瘍例においてのみ認められた。母斑数5個についての多変量ハザード比は、ER+/プロゲステロン受容体(PR)陽性腫瘍では1.09(95%CI:1.02~1.16)、ER+/PR-腫瘍では1.08(同:0.94~1.24)、ER-/PR-腫瘍では0.99(同:0.86~1.15)であった。
・また、閉経後でホルモン補充療法を受けていなかった被験者(611例)のサブグループにおいて、血漿ホルモン値を母斑数別に調べた結果、閉経後では6個以上の母斑があると、母斑がない被験者と比べて、遊離エストラジオール値が45.5%高く、遊離テストステロン値は47.7%高かった。
・362例の乳がん被験者と適合対照611例のサブグループ解析において、母斑5個ごとの多変量補正後オッズ比は1.25(95%CI:0.89~1.74)から、血漿ホルモン値補正後は1.16(同:0.83~1.64)に低下した。
・なお本研究は、母斑数が自己申告であること、試験が白人女性に限られており限定的で、試験結果がすべての集団に適用できるとは限らない。

(ケアネット)