機能性ディスペプシアの診療ガイドライン~プライマリケアでの対応も掲載

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/12

 

 今年4月の日本消化器病学会総会において、「機能性消化管疾患診療ガイドライン-機能性ディスペプシア(FD)」(日本消化器病学会編)が発表された。6月6日に開催されたメディアセミナー(ゼリア新薬工業・アステラス製薬共催)では、本ガイドラインのポイントや、国内で唯一FDに適応を持つアコファイド(一般名:アコチアミド)の有用性について、兵庫医科大学内科学消化管科 主任教授 三輪 洋人氏が講演した。

FDの定義は日本の実臨床に合わせて
 FDは、胃や十二指腸などの臓器の機能異常により、むかつき、胃痛、胃もたれ、早期満腹感など、心窩部を中心とする上腹部の症状が慢性的に続く疾患で、QOLを著しく下げる。珍しい疾患ではなく、日本人の4人に1人が経験しているとのデータもあるという。しかし、病因が明らかではなく、症状により定義される疾患であること、上部消化管内視鏡検査では明らかな異常所見が認められないことから、診断が難しい。
 FDの定義は、世界的に使用されているRomeIIIの診断基準では、明らかな器質的疾患がなく、食後膨満感・早期満腹感・心窩部痛・心窩部灼熱感のうち1つ以上あり、その症状が6ヵ月以上前からあり最近3ヵ月間は症状を認めるものとされている。しかし、わが国では医療機関へのアクセスがよく、6ヵ月以上症状が続いている患者が医療機関で受診しないことはまれである。そのため、今回作成されたガイドラインでは、心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状が「慢性的に続く」という言葉に留めることにより、より現実的で日本の実臨床に合った定義を提唱している。

診断・治療フローチャートはプライマリケア、消化器専門医に分けて作成
 FDの診断には、症状の原因となる器質的疾患の除外が重要である。本ガイドラインの診断と治療のフローチャートは、診療の実情、すなわち内視鏡検査実施の可否を考慮して、プライマリケアでの対応と消化器専門医での対応に分けて作成されている。プライマリケアでの対応では、慢性的なディスペプシア症状がある患者に対して、警告徴候(原因が特定できない体重減少、再発性の嘔吐、出血徴候、嚥下困難、高齢者)を認めない場合、数ヵ月以内に内視鏡検査などで器質的疾患が除外されている例は内視鏡検査をスキップしFDと診断する。一方、数ヵ月以内に検査を実施していない場合は、FD疑いとして初期治療開始という選択肢を示している。なお、「FD疑い」での薬剤処方は保険適用とならない。

FDに対するわが国で唯一の保険適用薬
 FD治療薬剤について、本ガイドラインでは初期治療として、酸分泌抑制薬、消化管運動機能改善薬が推奨されている。そのうち運動機能改善薬については、昨年6月に発売されたアコファイドが開発されるまで、厳密なプラセボとの比較試験で明らかに効果が証明された消化管運動機能改善薬はなかった。三輪氏は、アコファイドの有用性について、日本人を対象とした臨床試験でのデータを紹介し、その結果から本ガイドラインでは「わが国で唯一、FDに対して保険適用薬となっている」と記載されていると述べ、「日本が誇れる薬剤の1つ」と高く評価した。

(ケアネット 金沢 浩子)