早期乳がんにおける「温存」vs「切除」、疾患特異的生存率を直接比較

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/05

 

 乳房温存療法と乳房切除術の生存率を直接比較する最近の研究はあまりない。米ミシガン大学のShailesh Agarwal氏らは、同年代の患者コホートを用いて、乳房温存療法、乳房切除術単独、もしくは放射線治療を伴う乳房切除術を受けた13万人超の早期浸潤性乳管がん患者の乳がん特異的生存率を比較した。その結果、乳房温存療法を受けた患者のほうが、乳房切除術単独もしくは放射線治療を伴う乳房切除術で治療された患者と比べて、乳がん特異的生存率が高いことが示された。JAMA surgery誌オンライン版2014年1月15日号に掲載。

 著者らは、1998~2008年に乳房温存術、乳房切除術単独、放射線治療を伴う乳房切除術で治療された早期浸潤性乳管がんの女性患者の死亡ハザードを比較するために、単変量、多変量ロジスティック回帰および傾向の分析を行った。データは、サーベイランス、疫学、最終結果のデータベースから抽出し、早期乳がんはリンパ節転移が3個以下かつ腫瘍の大きさが4 cm以下とした。主要アウトカムは、各治療を受けた患者の乳がんによる死亡ハザードとした。

 主な結果は以下のとおり。

・計13万2,149人の患者が解析され、そのうち70%が乳房温存療法、27%が乳房切除術単独、3%が放射線治療を伴う乳房切除術で治療された。
・乳房温存療法、乳房切除術単独、放射線治療を伴う乳房切除術の各治療を受けた患者の5年乳がん特異的生存率は、順に97%、94%、90%であり(p<0.001)、10年乳がん特異的生存率は、94%、90%、83%(p<0.001)であった。
・多変量解析では、乳房温存療法を受けた女性の生存率のほうが、乳房切除術単独よりも高く(ハザード比:1.31、p<0.001)、放射線治療を伴う乳房切除術よりも高かった(同:1.47、p<0.001)。
・傾向スコアの層別解析を用いた場合、各治療の生存に対する効果は同様であった。

(ケアネット 金沢 浩子)