手首骨折直後の激しい痛みは複合性局所疼痛症候群発症のレッドフラッグか?

提供元:ケアネット

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公開日:2014/01/27

 

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)は手首骨折後にみられることがあるが、その発生頻度等は報告によって大きく異なっている。南オーストラリア大学のG. Lorimer Moseley氏らは大規模な前向きコホート研究を行い、手首を骨折し非手術療法で管理された患者の26例に1例がCRPSを発症し、骨折後早期の疼痛が強いとCRPSの発症リスクが増大することを明らかにした。同氏は、骨折後2日間の疼痛が平均してどのくらいかを患者に質問し、0~10の数値化スケールで5以上の場合はCRPSの警告ととらえるべき、とまとめている。Journal of Pain誌2014年1月号(オンライン版2013年11月21日号)の掲載報告。

 研究グループは、骨折クリニック3施設を受診した手首骨折受傷患者計1,549例を1施設にて非手術療法により管理し、骨折後1週間以内と、4ヵ月後に評価した。

 疼痛強度には0~10の数値的評価スケール(NRS)を、CRPSの診断には既存の基準を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・手首骨折4ヵ月後におけるCRPSの発生率は3.8%(95%信頼区間:2.9~4.8%)であった。
・4つの臨床評価(pain、reaction time、dysynchiria、swelling)に基づいた予測モデルは、骨折後にCRPSを発症するであろう患者(C index:0.99)と、発症しないであろう患者を明確に識別した。
・疼痛強度のみの評価でも、ほぼ同程度に識別可能であった(C index:0.98)。
・非手術療法で管理された手首骨折患者26例に1例が、CRPSを呈した。
・骨折後2日間の疼痛スケールが5/10以上の場合は、CRPSのレッドフラッグと考えるべきである。

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(ケアネット)