抗精神病薬の用量決定時、精神科医が望むことは

提供元:ケアネット

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公開日:2014/01/15

 

 抗精神病薬処方時の用量決定には、主として臨床医としての直観(intuition)や経験、そして患者の意向が影響していることが、英国・ロンドン大学のLauren Best-Shaw氏らが行った精神科医へのアンケート調査の結果、明らかになった。また、処方のエビデンスに関して懸念を示す臨床医もいたが、大半が治療薬物モニタリング(TDM)を用いることに前向きで、活用可能であればそれを利用するだろうと回答したという。これまで精神科医が、統合失調症の個々の患者について、どのように抗精神病薬の処方用量を選択しているのか、明らかになっていなかった。Therapeutic Drug Monitoring誌オンライン版2013年12月31日号の掲載報告。

 本検討は、精神科医における抗精神病薬の処方用量設定と、TDMに対する考え方を調べることを目的とし、ロンドンを拠点とする精神科医を対象に断面定量アンケートを行った。質問票は新たに開発したもので、一部はフォーカスグループからの所見に基づくものであり、用量選択、漸増、他剤への切り替え、そしてTDM利用の是非をテーマに含んでいた。

 主な結果は以下のとおり。

・回答した精神科医105人は、抗精神病薬の選択において最も影響するとしたのは、副作用/ 耐性であった(63.8%)。
・至適用量の選択は、過去の同様の患者への処方に関する臨床経験に基づくことが最も多かった(80.0%)。次いで、2種の抗精神病薬の等価換算で検討(69.5%)、個々の患者の服用量の意向(61.9%)であった。
・低用量を基本とすべき(たとえば初回エピソード精神病)と考えており、これは先行研究と合致していた。また59.0%が、年に4回以上抗精神病薬を切り替えることを受け入れられると確信していた。
・大多数の臨床医は現在、クロザピンについてルーチンでTDMを利用していた(82.9%)。また、クロザピンでのTDM利用が、将来的な抗精神病薬でのTDM利用と関連していることがみられた(χ=5.51、p=0.019)。
・さらに、臨床医は、TDMは用量関連副作用リスクの最小化に寄与できると考えていた(77.1%)。一方で、32.4%の臨床医が、TDMは臨床アウトカムを改善しないと考えていた。
・全体的には、抗精神病薬についてTDMを利用することには前向きな態度であった。また大半の臨床医が、可能ならば利用するだろうと回答した(84.8%、95%CI:77.9~91.7)。

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(ケアネット)