栄養補助食品は産後のうつ病予防に有用か

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/06

 

産後の抑うつ症状を予防するとされる代表的な栄養補助食品として、ω-3脂肪酸、鉄、葉酸、s-アデノシル -L-メチオニン、コバラミン、ピリドキシン、リボフラビン、ビタミンD、カルシウムなどが挙げられる。オーストラリア・Flinders Medical CentreのBrendan J Miller氏らは、産前・産後における抑うつ症状の予防に有益な栄養補助食品を探索するため、Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerから抽出した2件の無作為化対照試験のデータをレビューした。その結果、セレニウム、DHAあるいはEPAに関する産後抑うつ予防におけるベネフィットは示されず、現時点において、推奨されるエビデンスのある栄養補助食品はないと報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年10月24日号の掲載報告。

 2013年4月30日時点のCochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerを用い、妊娠中の女性または出産後6週以内の女性で、試験開始時に抑うつ症状なし、または抗うつ薬を服用していない者を対象とした無作為化対照試験を検索した。栄養補助食品の単独使用、またはその他の治療と併用して介入した場合の成績を、その他の予防治療、プラセボ、標準的なケアと比較した。

主な結果は以下のとおり。

・2件の無作為化対照試験が抽出された。
【試験1の概要】
・酵母由来セレニウム錠100µgとプラセボを、妊娠初期3ヵ月から出産まで経口投与した際の有用性を検討した比較試験。
・179人が登録され、セレニウム群とプラセボ群にそれぞれ83人が無作為化された。アウトカムデータが得られたのは85人にとどまった。
・セレニウム群では61人が試験を完了し、44人でエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)による評価が得られた。プラセボ群では64人が試験を完了し、41人でEPDSによる評価が得られた。
・セレニウム群ではEPDSスコアに影響がみられたが、統計学的に有意ではなかった(p=0.07)。
・産後8週間以内の自己報告EPDSにおける平均差(MD)は、-1.90(95%信頼区間[CI]:-3.92~
0.12)であった。
・脱落例が多かったこと、EPDSを完了しなかった者が多数であったため、大きなバイアスが確認された。
・副次アウトカムに関する報告はなかった。

【試験2の概要】
・EPA、DHA、プラセボの比較試験。
・産後抑うつのリスクにさらされている126人を、EPA群42人、DHA群42人、プラセボ群42人の3群に無作為化した。
・EPA群の3人、DHA群の4人、プラセボ群の1人は追跡不能であった。登録時に大うつ病性障害、双極性障害、薬物乱用または依存、自殺企図または統合失調症を有する女性は除外された。ただし、介入中止例(EPA群5人、DHA群4人、プラセボ群7人)は、追跡可能であったためintention-to-treat解析に含めた。
・服用期間(栄養補助食品またはプラセボ)は、妊娠12~20週から最後の評価時である出産後6~8週までであった。主要アウトカムは、5回目(出産後6~8週)の受診時におけるベックうつ病評価尺度(BDI)スコアであった。
・産後抑うつの予防について、EPA-リッチ魚油サプリメント(MD:0.70、95%CI:-1.78~3.18)、DHA-リッチ魚油サプリメント(同:0.90、-1.33~3.13)のベネフィットは認められなかった。
・産後抑うつへの影響について、EPAとDHAの間で差はみられなかった(同:-0.20、-2.61~2.21)。
・副次アウトカムは「出産後6~8週時における大うつ病障害の発症」、「抗うつ薬を開始した女性の人数」、「分娩時における母親の出血」、または「新生児特定集中治療室(NICU)への入室」としたが、いずれにおいてもベネフィットはみられず、有意な影響も認められなかった。

【結論】
・セレニウム、DHAあるいはEPAが産後抑うつを防ぐというエビデンスは不十分である。
・現時点において、産後抑うつの予防に推奨されるエビデンスのある栄養補助食品はない。

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(ケアネット)