統合失調症患者における「多飲」その影響は?:奈良県立医大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/12/05 統合失調症において多飲傾向を認める患者は多い。多飲による過度な水分摂取は、低ナトリウム状態を誘発したり、水中毒につながることもある。奈良県立医科大学 永嶌 朋久氏らは、統合失調症患者の多飲と神経心理学的障害や脳の構造的変化との相関を検討した。BMC psychiatry誌オンライン版2012年11月26日号の報告。 対象は多飲を認める統合失調症患者、多飲を認めない統合失調症患者、健常対象者の各々8例。すべての被験者はMRIと神経心理学的テストを施行した。構造異常は、ボクセルベース形態計測(VBM)を用いて分析した。患者の神経心理学的機能は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・両患者間で臨床的特徴の有意な差は認められなかった。 ・多飲を認める統合失調症患者は、健常者と比較して、広範囲な脳容積の減少と神経心理学的障害を示した。 ・多飲を認める統合失調症患者は、多飲を認めない患者と比較し、左側島皮質の有意な減少を示した。 ・多飲を認めない統合失調症患者における神経心理機能テストの結果は、他の2つのグループの中間であった。 ・統合失調症患者における多飲は、左側島皮質の減少により、深刻な神経心理学的障害を誘発する可能性があることが示唆された。 関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連 ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Nagashima T, et al. BMC Psychiatry. 2012 Nov 26; 12(1): 210. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 骨盤臓器脱へのペッサリー、膣エストロゲンクリームで継続率に差は?/BMJ(2025/07/11) 基礎インスリン治療中の2型糖尿病、efsitoraはデグルデクに非劣性/Lancet(2025/07/11) 遺伝子治療市場の縮小を超えて:長期成績が示す血友病B治療の未来(解説:長尾梓氏)(2025/07/11) 「日本版敗血症診療ガイドライン2024」改訂のポイント、適切な抗菌薬選択の重要性(2025/07/11) うつ病の認知機能に対するセロトニン5-HT1A受容体パーシャルアゴニストの影響(2025/07/11) 順天堂大学病院管理学研究室 医療MBAエグゼクティブコース2025年度開講決定【ご案内】(2025/07/11) マルチターゲット便DNA検査は免疫学的便潜血検査よりも大腸がん発見のコストが高い(2025/07/11) PFASが子どもの血圧上昇と関連(2025/07/11) 週1回のカプセル剤が統合失調症の服薬スケジュールを簡略化(2025/07/11)