日本語でわかる最新の海外医学論文|page:890

日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学

 わが国の政府やメディアは、若年性認知症(EOD)を問題視している。しかし、EODのための政策は確立されておらず、支援システムも不十分である。筑波大学の池嶋 千秋氏らは、EODに関する実用的なデータを収集するため2段階の郵便調査を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年12月29日号の報告。

超早産児のアトピー性皮膚炎発症リスクは?

 超早産児(在胎期間29週未満)は、後期(29~34週)および満期で生まれた子供と比べて、アトピー性皮膚炎(AD)発症リスクが低いことが、フランス・ナント大学病院のS.Barbarot氏らによるコホート調査の結果、明らかになった。これまで、AD発症リスクが早産によって影響を受けるかどうかは不明であった。

アロマターゼ阻害薬、高リスクの閉経後女性の乳がんを予防/Lancet

 乳がんのリスクが高いと判定された閉経後の女性では、アロマターゼ阻害薬(AI)アナストロゾール(商品名:アリミデックスほか)の予防投与により、乳がんの発症が大幅に抑制され、有害事象の発現も十分に許容できるものであることが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のJack Cuzick氏らが実施したIBIS-II試験で示された。乳がんは女性のがんの中で最も頻度が高く、2008年には世界で約1,400万人の女性が新たに乳がんと診断されている。AIは、閉経後女性において乳がんの再発および対側乳房の新規腫瘍の発生を予防することが報告されている。本報告は、サンアントニオ乳がんシンポジウム(12月10~14日、米国、サンアントニオ市)で発表され、Lancet誌オンライン版2013年12月12日号に掲載された。

CPAPによって睡眠時無呼吸症候群の24時間血圧が低下/JAMA

 治療抵抗性高血圧と睡眠時無呼吸症候群(OSA)を有する患者について、12週間の持続的気道陽圧(CPAP)療法は、薬物療法のみの場合と比較して、24時間平均血圧や拡張期血圧が低下し、夜間血圧パターンを改善することが示された。スペイン・Hospital Universitario y Politecnico La FeのMiguel-Angel Martinez-Garcia氏らによる無作為化試験HIPARCOの結果、報告された。治療抵抗性高血圧患者では70%以上がOSAを有している。しかしこれまで、血圧へのCPAP療法の効果に関するエビデンスは、ほとんど示されていなかった。JAMA誌2013年12月11日号掲載の報告より。

統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学

 寛解期の統合失調症患者は、そうでない患者と比較し、神経認知機能レベルが有意に高いことが知られている。しかし、これまでの研究では、寛解の時間的要素を考慮することなく、横断研究にて検討されていた。大阪大学の福本 素由己氏らは、時間的要素を考慮に入れたうえで、寛解と3つの認知機能(知力、記憶、注意)との関係について、縦断的な研究により検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年12月8日号の報告。

乳児血管腫再発に高リスクなのは?

 フランス・ペルグラン小児病院のC.K. Ahogo氏らは、乳児血管腫(IH)の再発リスク因子について検討を行った。IH治療では、経口プロプラノロール(商品名:インデラルほか、本疾患には国内未承認)が第一選択薬となったが、治療後の再発リスクの因子については調査がされていなかった。British Journal of Dermatology誌2013年12月号の掲載報告。

胃酸分泌抑制薬の長期服用、ビタミンB12欠乏症リスク増大/JAMA

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)やヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)の長期服用は、ビタミンB12欠乏症の発症リスクを、1.25~1.65倍に増大することが明らかになった。米国の大手保険会社・カイザーパーマネンテのJameson R. Lam氏らが、同社保険プランの加入者データを用い、ビタミンB12欠乏症の診断を受けた約2万6,000例とその対照群について行った症例対照試験の結果、報告した。結果を受けて著者は、「胃酸分泌抑制薬を処方する際は、リスクとベネフィットのバランスを考慮すべきであることが示唆された」とまとめている。JAMA誌2013年12月11日号掲載の報告より。

新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet

 心房細動患者の脳卒中・全身性塞栓イベントや総死亡リスクについて、4種の新規経口抗凝固薬(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)はワルファリンに比べて2割弱抑制することが、被験者総数7万例超のメタ解析で明らかになった。一方、消化管出血リスクは、ワルファリンに比べ約25%増大した。米国・ブリガム&ウィメンズ病院/ハーバードメディカルスクールのChristian T Ruff氏らが、4種に関する第3相臨床試験を組み込んで解析した結果、報告した。Lancet誌オンライン版2013年12月4日号掲載の報告より。

冠動脈CT:カルシウム容積スコアと密度スコア(コメンテーター:近森 大志郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(164)より-

 冠動脈カルシウム・スコアは従来の冠危険因子に加えて、心血管疾患イベント(心臓死・心筋梗塞・脳梗塞など)の独立したリスク因子として確立している。しかしながら、冠動脈石灰化は中膜に出現し、スタチンによる治療過程にて密度が亢進するとの基礎的報告もあることから、冠動脈プラーク病変の治癒過程を反映しているとの意見もある。このことは、冠動脈石灰化の容積と密度を合わせて評価している、従来のカルシウム・スコア(Agatston)の弱点となる可能性がある。

前立腺がんへのアンドロゲン除去療法での副作用、運動で改善できるか

 前立腺がんへのアンドロゲン除去療法は広く施行されているが、その有害事象により健康やQOLが損なわれることがある。これらの治療関連有害事象を改善するための方法として運動が提案されている。オーストラリア・ディーキン大学のJason R. Gardner氏らは、アンドロゲン除去療法を受けている前立腺がん患者の治療関連有害事象に対する運動の効果に関する論文の系統的レビューを行った。その結果、アンドロゲン除去療法を受けた前立腺がん患者において、適切に処方された運動は安全であり、治療誘発性の有害事象を改善する可能性があることが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2013年12月16日号に掲載。

新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光

 現在、アルツハイマー病(AD)に適用される主な薬理学的ストラテジーは、アセチルコリンの主要な分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の阻害である。このような観点から、フィゾスチグミンのような天然アルカロイドが多数分離され、AChEおよびブチリルコリンエステラーゼ(BChE)阻害薬として従来から知られてきた。そして、AD患者の治療薬としてガランタミンが認可されて以降、抗コリンエステラーゼ作用をもつ新たなアルカロイドの探索が進み、huperzine Aなどの有望な候補物質の発見につながっている。ブラジルのリオ・グランデ・ド・スール連邦大学のEduardo Luis Konrath氏らは、ADの治療薬として抗コリンエステラーゼ作用を有する新たなアルカロイドの探索状況を報告した。構造活性相関ならびに物理化学的特性の面から、天然アルカロイドが良い候補物質へつながる可能性があることを示唆している。Journal of Pharmacy and Pharmacology誌2013年12月号の掲載報告。

外傷後の痛みは不安が持続させている

 外傷後は疼痛、うつおよび不安がよくみられることが以前から報告されている。今回、下肢外傷患者における2年間の縦断的研究の結果、受傷後1年間は疼痛が不安やうつの予測因子となるものの、その関連は弱く、2年間を通してうつは疼痛の予測因子とはならず、不安と疼痛の関連が唯一有意であることが示された。