日本語でわかる最新の海外医学論文|page:891

トリクロサン被覆縫合糸、術後感染症リスクを減少せず/Lancet

 正中開腹術の縫合に、トリクロサンで被覆した縫合糸を使っても、被覆していない縫合糸を使った場合と比べて、術後30日以内の術部感染症の発症リスクは減少しないことが判明した。ドイツ・ハイデルベルク大学のMarkus K. Diener氏らが、約1,200例を対象に行った無作為化比較試験「PROUD」の結果、報告した。術後手術部位感染症は、最も頻繁な開腹手術後の合併症の1つである。トリクロサン被覆縫合糸は、その発生を抑制することを目的に開発されたものだった。Lancet誌オンライン版2014年4月4日号掲載の報告より。

大腸がんスクリーニング、遠位大腸がん死亡リスクを減少/BMJ

 S状結腸鏡検査または大腸内視鏡検査による大腸がんスクリーニング検査は、いずれも遠位大腸がんによる死亡リスクを大幅に減少することが、ドイツ・がん研究センターのHermann Brenner氏らが行ったメタ解析で確認された。また、大腸内視鏡検査については、近位大腸がんの死亡リスク減少効果があることも明らかになった。    両検査の大腸がん発生リスク低下との関連は、1992年以降に観察研究では報告されていた。またS状結腸鏡検査によるスクリーニングが、全体および遠位大腸がんの発生および死亡リスクの低下と関連することは、2009年以降、4件の無作為化試験が報告されていた。しかし、両検査を比較しての付加的価値については、無作為化試験が少なく、不明であった。BMJ誌オンライン版2014年4月9日号掲載の報告より。

てんかんの原因遺伝子発見により臨床にどのような変化が起こったか

 オーストラリア・メルボルン大学のIngrid E. Scheffer氏は、てんかん遺伝学が臨床にもたらした影響に関するレビューを行った。てんかん遺伝学は、てんかんの原因遺伝子が発見されて以降の19年間で変革をもたらしてきた。その結果、実際に多くの患者が診断可能となり、共存症や予後、遺伝カウンセリングに対する医療者の理解を深めるなど、臨床診療に変化がもたらされたという。Neuropediatrics誌2014年4月号(オンライン版2014年3月10日号)の掲載報告。

駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM

 抗アルドステロン薬は、左室駆出率が保持(45%以上)された心不全患者については、臨床転帰を有意に改善しないことが判明した。米国・ミシガン大学のBertram Pitt氏ら「TOPCAT」研究グループが行った3,445例を対象とした試験の結果、示された。同薬は、左室駆出率が低下した心不全患者の予後を改善することが示されている。しかし駆出率が保持された患者については厳格な検討は行われていなかった。NEJM誌2014年4月10日号掲載の報告より。

EGFR野生型NSCLCにおける第1世代TKI vs. 化学療法/JAMA

 EGFR野生型(WT-EGFR)進行非小細胞肺がん(NSCLC)では、第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)と比較して、従来化学療法のほうが、無増悪生存(PFS)の改善が有意であることが示された。全生存率も化学療法のほうが高かったが有意ではなかった。韓国・ソウル大学のJune-Koo Lee氏らによる無作為化試験11件のメタ解析の結果、示された。現行ガイドラインでは治療歴のあるNSCLC患者について、EGFR TKIと化学療法の両方を標準治療の選択肢として推奨している。しかし、WT-EGFRを有する患者においてEGFR TKIの有効性が化学療法と同程度であるのかについては、明らかになっていなかった。JAMA誌2014年4月9日号掲載の報告より。

アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学

 アルツハイマー型認知症(AD)の進行抑制に対し、ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)は有用であるが、平均余命への影響は不明である。東北大学の目黒 謙一氏らは、AD発症後の平均余命に対するChEIの影響を抗精神病薬の使用および特別養護老人ホームの入所とともに分析した。BMC neurology誌オンライン版2014年4月11日号の報告。

カルボプラチン+パクリタキセルは3週ごと?毎週?:進行卵巣がん(MITO-7試験)

 3週ごとカルボプラチン+パクリタキセル(3wCP)は、進行卵巣がん患者の一次治療標準療法である。一方、毎週パクリタキセル+ 3週ごとカルボプラチン療法は、日本の第III相試験で無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を延長している。本研究は、イタリアのSandro Pignata 氏らにより、毎週カルボプラチン+パクリタキセル(wCP)の3wCPと比較した有効性を評価することを目的に行われた。The Lancet Oncology誌2014年4月15日号(オンライン版2014年2月28日号)の掲載報告。

パロキセチンは他の抗うつ薬よりも優れているのか

 パロキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)の中で最も強力な作用を有し、多くの無作為化比較試験(RCTs)で検討されてきた。しかし、これらの比較結果やRCTsのシステマティックレビューは、通常、SSRIsに分類される薬剤全体のエビデンスであり、パロキセチン単独に適用可能なものではない。そこで、イタリア・ヴェローナ大学のMarianna Purgato氏らは、パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルを、三環系抗うつ薬(TCAs)、SSRIsおよび新規または非従来型の薬剤と比較評価するシステマティックレビューを行った。その結果、治療1~4週の早期の治療効果において、パロキセチンはレボキセチン(国内未承認)よりも効果が高く、ミルタザピンより低いなど、いくつかのエビデンスは示されたものの、他の抗うつ薬との有効性の相違に関する明確なエビデンスは得られなかったことを報告した。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2014年4月3日号の掲載報告。

コルヒチン追加で心膜炎の再発が半減/Lancet

 再発を繰り返す心膜炎患者に対し、従来の抗炎症治療にコルヒチンを追加することで、以降の再発が大きく低下したことが、イタリア・マリア・ヴィットーリア病院のMassimo Imazio氏らにより行われた「CORP2」試験の結果、示された。著者は、「他の無作為化試験の結果と合わせて、今回の所見は、コルヒチンが禁忌あるいは適応とならない場合を除いて、急性および再発性の心膜炎いずれにもファースト治療とみなすべきであろうことを示唆している」とまとめている。コルヒチンは急性心膜炎および再発の初回では有効だが、複数回の再発例に対する有効性、安全性に関するデータはこれまで得られていなかった。Lancet誌オンライン版2014年3月28日号掲載の報告より。

低用量アスピリン、流産とは関連みられず/Lancet

 低用量アスピリンは、妊娠転帰に影響があるのではないかとされていたが、米国・国立小児保健人間発達研究所(NICHD)のEnrique F Schisterman氏らによる検討の結果、出産または流産のいずれとも有意な関連はみられなかったことが明らかにされた。ただし試験では、被験者のうち、前年に20週未満で流産したとの記録が1回ある女性では、生児出生率が有意に高かったことが示された。これらの結果を踏まえて著者は「低用量アスピリンは流産予防には推奨されない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年4月1日号掲載の報告より。

統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs.リスペリドン

現在、抗精神病薬の社会的認知に及ぼす影響に関する研究は少なく、また社会的認知機能に対するアリピプラゾールの影響に関してもよくわかっていない。オランダ・ユトレヒト大学のArija Maat氏らは、アリピプラゾールおよびリスペリドンが統合失調症患者の社会認知、神経認知に及ぼす影響を検討した。European neuropsychopharmacology誌2014年4月号の報告。

効かないGERD治療は日本人の労働生産性低下と有意に関連

 胃食道逆流症(GERD)は、仕事や日常生活の労働生産性に大きな負荷をかける疾患であり、効果のないGERDの治療は、労働生産性のより大きな損失と有意な関連があることが、慶應義塾大学の鈴木 秀和氏らによる研究で明らかになった。Neurogastroenterology and motility誌オンライン版 2014年2月25日号の報告。