日本語でわかる最新の海外医学論文|page:893

上部早期胃がんに対する最適な術式を検討:日本での多施設後ろ向き研究

 上部早期胃がん治療における手術にはさまざまな術式がある。大阪大学消化器外科の益澤 徹氏(現大阪警察病院)らは、上部早期胃がん203例における記録から、胃全摘術後Roux-en-Y型食道空腸吻合術(TG-RY)、噴門側胃切除術後食道胃吻合術(PG-EG)、噴門側胃切除術後空腸間置術(PG-JI)の3つの術式を比較し、最適な術式を検討した。World Journal of Surgery誌オンライン版2013年12月6日号に掲載。

感染性胃腸炎患者の嘔吐物や便の処理のための新キット登場

 キョーリン メディカルサプライ㈱(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 金井 覚)は、杏林製薬㈱(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 宮下三朝)と共同で、嘔吐物などの汚物処理に使用する新製品として、昨年7月に発売した環境除菌・洗浄剤「ルビスタ」を応用した「ルビスタ嘔吐物処理キット」を2013年12月初旬に発売する。

院外心停止搬送中の低体温治療、転帰改善せず/JAMA

 心室細動(VF)有無を問わない病院搬送中の心停止蘇生後患者への低体温治療施行の有効性について、病院到着までに深部体温を低下し34℃に到達するまでの時間を短縮したが、生存または神経学的アウトカムは改善しなかったことが示された。米国・ワシントン大学のFrancis Kim氏らが、1,359例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。心停止後の脳外傷は後遺症や死亡と関連し覚醒しない患者も多い。低体温治療は脳機能回復に有望な治療とされ、現在、VFあり蘇生後の昏睡状態の患者に対する入院ベースの導入は推奨されているが、プレホスピタルでの最適な導入のタイミングは不確かであった。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告より。

遺伝子型に基づく初期投与量決定の試み(ワルファリン以外)/NEJM

 抗凝固療法の遺伝子ガイド投薬アルゴリズムの有効性と安全性に関して、アセノクマロール(国内未承認)、フェンプロクモン(同)について検討した無作為化試験の結果、治療開始後12週間の国際標準比(INR)治療域の時間割合は改善されなかったことが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学のTalitha I. Verhoef氏らが報告した。抗凝固療法ではワルファリンの使用頻度が最も高いが、国によってはアセノクマロールまたはフェンプロクモンが、心房細動患者の脳卒中予防や静脈血栓塞栓症の治療または予防に用いられている。また観察研究において、遺伝子ガイド投薬が両剤投与の有効性および安全性を高める可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

われわれはOPIMIZE試験の結果を日本の実臨床にオプティマイズできるか?(コメンテーター:中川 義久 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(161)より-

 2013年10月末に米サンフランシスコで開催されたTCTで、OPIMIZE試験の結果が発表された。さらにJAMA誌にも結果が掲載された。このOPIMIZE試験は、ゾタロリムス溶出ステント(ZES)留置術後患者3,119例を対象として、留置後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の至適期間を検討することを目的とした臨床研究である。

妊娠中の魚油サプリ摂取は、子のアレルギー発症を抑制するか

 オーストラリア・ウィメンズ & チルドレンズ病院のD. J. Palmer氏らは、妊娠中の魚油サプリメント摂取と出産児のアレルギー発症との関連を無作為化試験にて検討した。その結果、総じて、3歳までにIgE関連アレルギー疾患を有意に減少することは認められなかったことを報告した。

手術を受けた慢性副鼻腔炎患者では喘息の診断が不十分:日本人における検討

 副鼻腔の手術を受けた慢性副鼻腔炎患者では、喘息の診断が不十分であり、とくに高齢者でその傾向が強いことが、理化学研究所統合生命医科学研究センター 呼吸器・アレルギー疾患研究チームの田中 翔太氏らにより報告された。Allergology International誌オンライン版2013年11月25日の掲載報告。

大豆は乳がんの発症・再発リスクを低下させるか

 大豆やアカツメクサ(red clover)のイソフラボンについて、そのエストロゲン活性と乳がんへの効果について議論されている。カナダ自然医療医学大学のHeidi Fritz氏らは、大豆とアカツメクサにおける、乳がん女性の更年期症状の改善効果と、乳がん発症または再発のリスクにおける影響に関する体系的レビューを行った。その結果、大豆摂取が乳がん発症率・再発率・死亡率の低下と関連する可能性や、ヒトにおいては大豆がエストロゲン作用を持たないことが示唆された。PLoS One誌2013年11月28日号に掲載。

脳動静脈奇形(未破裂)の予防的切除や塞栓術は予後を改善できるか?/Lancet

 未破裂脳動静脈奇形には、薬物療法単独のほうが、薬物療法+介入治療を行うよりも死亡や脳卒中のリスク抑制に優れることが明らかにされた。米国・コロンビア大学医療センターのJ P Mohr氏らによる多施設共同非盲検無作為化試験「ARUBA」の結果、示されたもので、これまで未破裂脳動静脈奇形の予防的切除の臨床的ベネフィットは明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

脳梗塞急性期の積極的な降圧治療は2週間後の転帰を改善するか?/JAMA

 虚血性脳卒中患者の急性期における降圧治療は、死亡や身体機能障害の抑制に寄与しないことが、米国・チューレーン大学のJiang He氏らが行ったCATIS試験で示された。高血圧患者や脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴を有する正常血圧者では、降圧治療により脳卒中のリスクが低減することが報告されている。脳卒中の1次および2次予防における降圧のベネフィットは確立されているが、血圧の上昇がみられる急性虚血性脳卒中患者に対する降圧治療の効果は知られていないという。JAMA誌オンライン版2013年11月17日号掲載の報告。

急性咽頭炎に対する抗菌薬の適応はどのように判断するか?(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(160)より-

 プライマリケアの現場では、いまだに多くの急性咽頭炎の患者に抗菌薬が投与されている。急性咽頭炎の原因の多くはウイルス性であり、抗菌薬が不要なことが多い。しかしながら、A群溶連菌による咽頭炎に対しては、主に扁桃周囲膿瘍などの化膿性合併症の予防と急性リウマチ熱の予防のために、抗菌薬の投与が必要となる。抗菌薬投与の適応を決定するために、臨床症状を用いたスコア(Centor criteria)や迅速抗原検査が使用されているが、これらの有用性を支持する強いエビデンスはほとんど存在しなかった。

コーヒー・緑茶と上部気道消化管がんリスクとの関連~コーヒーと緑茶では逆

 上部気道消化管がんリスクにおけるコーヒーや緑茶の影響ははっきりしていない。これらは通常摂取するときに高温であるため、その潜在的なリスク増加により、含まれる成分の抗発がん作用の評価に交絡が生じている。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部の尾瀬 功氏らは、コーヒーや緑茶の摂取と上部気道消化管がんのリスクとの関連を評価するために、ケースコントロール研究を実施した。その結果、コーヒーの摂取は上部気道消化管がんのリスク低下と関連する一方、緑茶はリスク増加と関連する可能性があることを示唆した。International Journal of Cancer誌オンライン版2013年12月6日号に掲載。

日本人統合失調症患者、遅発例と早期発症例の特徴は:自治医大

 遅発性統合失調症は、DSM-Ⅳには記載がないものの、その臨床的特徴について多くの研究で報告されている。しかし、とくにアジア諸国において、遅発性統合失調症に関する研究は限られている。自治医科大学の安田 学氏らは、疫学調査により遅発性統合失調症と早期発症統合失調症を比較し、その臨床的特徴について検討した。Psychogeriatrics誌2013年12月号の報告。

慢性腰痛に対する腰椎固定術は長期転帰を改善しない

 慢性腰痛の治療において、保存療法に対する手術療法の有効性については議論の余地があり、長期転帰はほとんど知られていない。スイス・Schulthess KlinikのAnne F. Mannion氏らは、平均11年間にわたる追跡調査を行い、脊椎固定術と認知行動・運動療法とで患者の自己評価に差はないことを示した。