日本語でわかる最新の海外医学論文|page:889

抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は

 持続勃起症(プリアピスム)は、性的刺激とは関係なく陰茎の勃起状態が、3時間以上続く状態であり、痛みを伴うことが多い。持続勃起症は泌尿器科的な緊急事態で重篤な合併症を引き起こす可能性がある。持続勃起症の発症の25~40%は薬物が原因で、抗うつ薬、降圧薬、抗凝固薬、交感神経α受容体遮断薬ほか精神を活性化する物質(アルコール、コカイン、大麻など)などが含まれるが、薬物関連の持続勃起症の約50%は抗精神病薬に起因するという。モロッコ・Ar-Razi大学精神科病院のJ. Doufik氏らは、抗精神病薬により誘発された持続勃起症とその対処について、症例報告を行った。Encephale誌オンライン版2014年4月4日号の掲載報告。  研究グループは、とくに非安定性の精神疾患患者において、臨床医はこのまれな副作用とその処置の困難さを認知しておくべきであるとして本症例報告を行った。

脳血管性認知症患者に非定型抗精神病薬を使用すべきか

 脳血管性認知症(VaD)患者ではBPSD(認知症の行動・心理症状)の発現により頻繁に非定型抗精神病薬が使用されているが、VaDにおける有効性や安全性に関するエビデンスは不十分である。英国・ロンドン大学のJ Sultana氏らは、VaD患者における非定型抗精神病薬と死亡リスクとの関係を検討した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2014年3月14日号の報告。

de novo B型肝炎の心配は?HBV感染既往RA患者への生物学的製剤投与

 B型肝炎ウイルス(HBV)の感染既往があり、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)を投与している慢性関節リウマチ(RA)患者のHBV再活性化率を検討したところ、5.3%に再活性化を認めたものの、重症肝炎に至った症例はなかったことが、自治医科大学の中村 潤氏らによる研究で明らかになった。このことから、生物学的DMARDsは、HBV感染既往のあるRA患者にとって、安全に使用可能な薬剤であると考えられる。International journal of rheumatic diseases誌オンライン版2014年4月4日号の報告。

未破裂脳動静脈奇形の長期アウトカム、保存療法が良好/JAMA

 未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)に対し、血管内塞栓術や神経外科的切除などを行った場合と比べて、行わないほうが長期アウトカムは良好であることが明らかにされた。スコットランド・エディンバラ大学のRustam Al-Shahi Salman氏らが、204例について行った住民ベースの発端コホート試験の結果、報告した。これまで介入治療が保存療法よりも優れているのかについては、長期比較のデータが不足していたため判明していなかった。JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より。

小児痙攣性てんかん、ロラゼパムの効果はジアゼパムと同等/JAMA

 小児の痙攣性てんかん発作重積状態に対して、ロラゼパム(商品名:ワイパックスほか)がジアゼパム(同:セルシンほか)よりも有効性や安全性が上回ることはなく、両者の治療効果は同等であることが判明した。米国・国立小児病院のJames M. Chamberlain氏らが、11病院を介して273例について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。これまでに発表されたいくつかの試験結果では、ロラゼパムがジアゼパムより効果・安全性ともに高いことが示唆されていた。JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より。

軽度異形成を伴うバレット食道に対する高周波アブレーションと経過観察のみの無作為化比較試験(コメンテーター:上村 直実 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(196)より-

 本研究は、西欧で増加している食道腺がんのリスク増大に関連した軽度異形成を伴うバレット食道(BE)の進展に対する高周波アブレーション(焼灼)による抑制効果を検討したものである。

小児期早期のてんかん転倒発作、特徴が判明:東京女子医大

 東京女子医科大学の小国 弘量氏らは、小児期早期の症候性てんかんにおける転倒発作(epileptic drop attack:EDA)について、ミオクロニー失立発作(myoclonic-astatic epilepsy:MAE)との違いを明らかにする検討を行った。その結果、EDAは屈曲側でてんかん性スパスムス(ES)が起きる頻度が最も多く、MAEでみられるような典型的なけいれんの発生はまれであることを明らかにした。今回の所見を踏まえて著者は「臨床では、脳波所見でみられる棘徐波複合の周期的、限局的あるいは多巣性の発現が、ESによるEDAであることを示唆する可能性がある」とまとめている。Brain and Development誌オンライン版2014年4月11日号の掲載報告。

統合失調症の症状、インターロイキン-2の関与が明らかに

 統合失調症の患者における認知能力の衰退と陰性症状に、インターロイキン2(IL-2)が関与している可能性が、ブラジル・サンパウロ連邦大学のElson Asevedo氏らによる検討の結果、示唆された。これまで、統合失調症においてIL-2が関与している可能性が示唆されていたが、どのような症状と関連しているかを調べる検討は行われていなかった。Physiology & Behavior誌2014年4月号の掲載報告。

疼痛解消に、NSAIDsと胃粘膜保護薬の配合剤登場が待たれる?

 胃粘膜保護薬は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)およびアスピリンの長期投与による合併症および死亡率を減少させることが知られているが、英国・オックスフォード大学のRobert Andrew Moore氏らによるレビューの結果、筋骨格系疾患では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の効果が不十分な患者がいることや、胃粘膜保護薬が必ずしも併用されていないことが示唆された。

肝炎「検査無料」「高い治癒率」「医療費助成」認知度高めて

 2014年4月23日(水)、ヤンセンファーマ株式会社主催の「肝炎の検査・治療、医療現場の現状に関するメディアセミナー」が開催された。まず、同社政府機関・医療政策 日本担当のブルース J. エルズワース氏より、全国1万5,000人を対象とした肝炎ウイルスについての全国意識調査の結果が発表された。本調査は、日本における肝炎ウイルス検査率の向上、抗ウイルス療法の普及、医療費助成の認知を促進することを目的として行われたものであり、その結果、日本におけるウイルス検査率の低さ、早期治療による完治率や治療費助成についての認知度の低さなどが浮き彫りになった。

妊婦の肥満、BMI 5単位増大で死産リスク1.24倍/JAMA

 妊娠中のBMI上昇はわずかであっても、胎児死亡や死産、新生児・周産期および乳児死亡のリスクを増大することが明らかにされた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのDagfinn Aune氏らが、38件のコホート試験について行ったメタ解析の結果、BMIが5単位増大するごとに、同リスクは1.15~1.24倍増大することが示された。これまで両者の関連についていくつかの試験で示唆されていたが、各試験ではサンプルサイズや死亡報告例が少ないため、有意な関連を見つけるには至っていなかった。JAMA誌2014年4月16日号掲載の報告より。

インクレチン関連薬、膵炎リスクを増大しない/BMJ

 中国・四川大学のLing Li氏らが行ったメタ解析(60試験、被験者総数約35万例)の結果、インクレチン関連薬を服用している2型糖尿病患者における膵炎の発生率は低く、同薬は膵炎リスクを増大しないことが明らかにされた。これまで、インクレチン関連薬を服用する2型糖尿病患者の急性膵炎症例が数多く報告されているが、試験によって所見はさまざまだった。BMJ誌オンライン版2014年4月15日号掲載の報告より。

EGFR野生型の非小細胞肺がんに対するEGFR-TKIと化学療法を比較した初のメタアナリシス(コメンテーター:倉原 優 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(195)より-

このメタアナリシスは、INTEREST試験、IPASS試験などの有名な試験を含む11の研究において、EGFR野生型の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)と通常の化学療法を比較解析したものである。