日本語でわかる最新の海外医学論文|page:845

血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet

 カナダ・マックマスター大学のHertzel C Gerstein氏らは、ACCORD試験データからの分析の結果、2型糖尿病やその他リスク因子を有する中高年において、血糖値上昇は、虚血性心疾患の修正可能なリスク因子であることが明らかにされたことを報告した。血糖降下強化療法vs. 標準療法を検討したACCORD試験は、死亡増により早期中止となったが、介入期間中の血糖降下療法の全ベネフィットは死亡リスクを上回ることが観察されていた。今回の検討は、試験中止後の追跡期間を含めた評価で、結果、同様の所見が得られたという。著者は、「血糖コントロール不良と虚血性心疾患の関連についてさらなる研究を行う必要性が強力に示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年8月1日号掲載の報告より。

脳転移乳がんのタイプ別予後~国内24施設

 東海大学の新倉 直樹氏らは、脳転移した乳がん患者の予後因子を調べるために、国内24施設で脳転移と診断された乳がん患者において、乳がんのサブタイプごとに臨床経過と予後を比較し、死亡原因を分析した。その結果、脳転移した乳がん患者における転移前・後の臨床経過および予後は、サブタイプにより異なることが示唆された。著者らは、乳がんのサブタイプに着目することにより、脳転移の予防や早期発見、治療の改善を最大限に行えるとしている。Breast cancer research and treatment誌オンライン版2014年8月9日号に掲載。

抗てんかん薬の使い分け:独での使用調査

 抗てんかん薬の選択に影響を及ぼす要因は何なのか。ドイツ・エアランゲン大学のHajo M. Hamer氏らは、同国における抗てんかん薬(AED)の使用実態を、大規模データベースを用いて後ろ向きに分析し調査した。その結果、AEDによる治療は個人の置かれている状況によりさまざまで、性別、保険の種類および住んでいる場所により異なることを報告した。CNS Drugs誌2014年8月号の掲載報告。

4.5時間以内のrt-PAが脳卒中転帰を改善/Lancet

 脳卒中発症後4.5時間以内のアルテプラーゼ(商品名:アクチバシンほか)投与は、早期の致死的頭蓋内出血リスクを増大させるが、脳卒中アウトカムの全般的な改善をもたらすことが、英国・オックスフォード大学のJonathan Emberson氏らStroke Thrombolysis Trialists’ Collaborative Groupの検討で示された。4.5時間以内であれば治療開始が早いほどベネフィットが大きいこともわかった。遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)であるアルテプラーゼは、急性虚血性脳卒中の治療に有効であるが、高齢者や脳卒中の重症度が高い患者への、発症から長時間経過後の使用については議論が続いている。Lancet誌オンライン版2014年8月6日号掲載の報告。

PALB2変異で乳がんリスクが5~9倍/NEJM

 PALB2遺伝子の機能喪失型変異は遺伝性乳がんの重要な原因であることが、英国・ケンブリッジ大学のAntonis C Antoniou氏らの検討で示された。生殖細胞系におけるPALB2遺伝子の機能喪失型変異は、乳がん発症の素因となることが知られているが、この変異がもたらす乳がんの生涯リスクは明らかにされていないという。NEJM誌2014年8月7日号掲載の報告。

大腸がん診断後のスタチンで生存延長

 英国・クイーンズ大学ベルファストのChris R Cardwell氏らは、大規模な大腸がん患者のコホートにおいて、大腸がん診断後のスタチン使用が大腸がん特異的死亡リスクを低下させるかどうかを調査した。その結果、大腸がん診断後のスタチン使用が生存期間延長に関連することが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年8月4日号に掲載。

不眠と腰痛、その因果関係は

 腰痛は成人における最も頻度の高い疼痛性障害の1つで、不眠症を伴うことが多い。しかしながら、腰痛が不眠症に先行するのか、はたまた不眠症が腰痛に先行するのか明らかではなかった。イスラエル・ハイファ大学のMaayan Agmon氏らは、健康な人における不眠症は、腰痛発症のリスク因子である可能性を報告した。また、逆のエビデンス(腰痛は不眠症のリスク因子)は見つからなかったという。PLos One誌2014年8月1日号の掲載報告。

アレムツズマブ、腎移植の拒絶反応を大幅減/Lancet

 腎移植患者に対する、リンパ球枯渇抗体アレムツズマブ(国内未承認)による導入療法は、バシリキシマブ(商品名:シムレクト)導入療法に比べ、移植後6ヵ月の急性拒絶反応発生リスクが4割近く減少することが示された。英国・オックスフォード大学のPeter Friend氏ら「3C試験」共同研究グループが報告した。結果を踏まえて著者は、「今回示された効果が、移植臓器および生存に影響をもたらすかを、長期の追跡研究で評価する必要があるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告より。

献血ドナーのHEV感染率は予想以上/Lancet

 英国の献血ドナー中の遺伝子3型E型肝炎ウイルス(HEV)感染者の割合は0.04%と、予想以上に高率で存在することが明らかになった。また、そうした感染者の献血を受けたレシピエントのうち、同ウイルスへの感染は4割以上で検出されたという。英国National Health Service Blood and TransplantのPatricia E Hewitt氏らが、同国で行われた献血後ろ向きに調査を行い報告した。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告より。

抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か

 グルタミン酸は中枢神経系(CNS)の主な興奮性神経伝達物質であり、多くの主要な神経機能に必要な物質である。しかし、過剰なグルタミン酸はグルタミン酸受容体活性化を介した有害な興奮毒性により、重度の神経細胞死と脳害を引き起こす。イスラエル・School of Behavioral Sciences, Academic College of Tel-Aviv-YafoのMia Levite氏は、抗グルタミン酸受容体抗体に関して、これまでに得られている知見をレビューした。抗AMPA-GluR3B抗体、抗NMDA-NR1 抗体、抗NMDA-NR2A/B抗体、抗mGluR1抗体、抗mGluR5抗体、以上5種類の抗グルタミン酸受容体抗体について言及し、いずれもさまざまな神経疾患に高頻度に認められ、神経系にきわめて有害な影響を及ぼしていることを示唆した。Journal of Neural Transmission誌オンライン版2014年8月号の掲載報告。