日本語でわかる最新の海外医学論文|page:842

RSウイルス感染にGS-5806が有効/NEJM

 開発中の抗ウイルス薬GS-5806は、RSウイルス(RSV)感染健常人のウイルス量を減少させ、臨床症状の重症度を低下することが、米国・テネシー大学医学大学院のJohn P. DeVincenzo氏らの検討で示された。RSVは乳児の入院の主要な原因であり、重篤な疾患や死亡の原因としての認識が高まっているが、有効性が確認されている抗ウイルス治療はない。GS-5806は、ウイルスエンベロープの宿主細胞膜との融合を阻害することで、低ナノモル濃度でRSVの細胞内侵入を阻止する低分子量の経口薬である。NEJM誌2014年8月21日号掲載の報告。

降圧薬の投与は治療前の心血管リスクで判断すべきか/Lancet

 降圧薬治療による心血管リスクの相対的な抑制効果は、ベースラインの絶対リスクの高低にかかわらずほぼ一定だが、絶対リスクの低下の程度は、ベースラインの絶対リスクが高いほど大きくなることが、スウェーデン・ウプサラ大学のJohan Sundstrom氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)の検討で示された。この知見は、降圧薬治療は血圧の高い集団ではなく心血管リスクの高い集団をターゲットとすべきとの見解を支持するものだという。BPLTTCは本論文を、「リスクに基づくアプローチは、血圧に基づくアプローチよりも費用効果が優れるとともに、治療を要する患者数を減らし、薬剤費を抑制する一方で、脳卒中や心臓発作の回避数を増やす」と締めくくっている。Lancet誌2014年8月16日号掲載の報告。

脳卒中発症後の手術では、心血管有害事象のリスクが高く、時間依存的に関連(解説:中川原 譲二 氏)-234

虚血性脳卒中新規発症例に対する手術タイミングは重要な問題であるが、これまで不十分に扱われてきた。デンマーク・コペンハーゲン大学のMads E. Jorgensen氏らは、同国住民コホートで待機的非心臓手術を受けた約48万件の手術データを後ろ向きに解析し、とくに発作後9ヵ月未満で手術を行った場合は、脳卒中既往は術後の心血管系の有害転帰と関連することを明らかにした。

ALS、前頭側頭型認知症に小脳の萎縮が関与

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)と前頭側頭型認知症(bvFTD)は、認知・神経精神学的症状および運動症状が重複して現れる多系統の神経変性疾患である。この10年の間、認知および神経精神症状の発現過程に小脳の構造が関連するというエビデンスが示されているものの、長い間、小脳は正常な運動機能に重要なものとして知られてきた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のRachel H. Tan氏らは、ALSとbvFTD患者の小脳領域の状況を明らかにし、特定の小脳萎縮領域が、両疾患に重複してみられる認知症状、神経精神および運動症状と関連しているか否かを検討した。その結果、ALS-bvFTDスペクトラムに小脳が重要な役割を担っており、ALS、ALS-bvFTD、bvFTDという3つの表現型すべてにおいて、それぞれが呈する症候と関連する小脳領域の萎縮が認められることを報告した。PLoS One誌オンライン版2014年8月21日号の掲載報告。

スタチンと神経障害性疼痛の関係は?

 神経障害性疼痛は体性感覚神経系の障害に起因しているが、最近、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の関与が注目されている。インド・パンジャブ大学のShrutya Bhalla氏らは、スタチンと神経障害性疼痛に関する研究についてレビューを行い、臨床研究と基礎研究で相反する作用が報告されていることを示した。

双極性障害、退院後の自殺リスクが高いタイプは

 精神疾患入院患者において、退院後に自殺リスクが顕著に高まることは報告されている。しかし、双極性障害患者における自殺リスク、時間経過との関連やリスク因子については明らかにされていなかった。研究グループは、双極性障害のタイプ別にどのようなパターンがみられるかを調べた。フィンランド・ヘルシンキ大学のErkki Isometsa氏らによる研究。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年7月24日号の掲載報告。

EGFR-TKIで脳転移の放射線治療を温存

 非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の脳転移については、一般的に放射線治療が行われているが、EGFR-TKIの登場により変化が起こりそうである。2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、千葉県立がんセンターの井内 俊彦氏は「EGFR-TKI時代の非小細胞肺癌脳転移治療~非照射TKI単独治療の効果と安全性」と題し、自施設での臨床試験の結果を紹介した。

若者への新規髄膜炎ワクチンの効果/Lancet

 4価髄膜炎菌結合型(MenACWY-CRM)ワクチンとB群血清型(4CMenB)ワクチンについて、接種後1ヵ月時点で両群間の髄膜炎菌保菌率に有意差はみられず、接種後1年間の保菌率も低下したことが示された。英国・サウサンプトン大学のRobert C Read氏らによる観察者盲検第III相無作為化試験の結果、報告された。著者は、「広範な接種導入により、伝播が抑制される可能性がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年8月19日号掲載の報告より。