日本語でわかる最新の海外医学論文|page:843

細気管支炎の入院判断、酸素飽和度のみではできず/JAMA

 緊急救命室を受診した軽症~中等度の細気管支炎を有する乳幼児について、入院の判断をパルスオキシメーター測定値だけで判断することは適切ではないことが明らかにされた。カナダ・Sick Children病院のSuzanne Schuh氏らが、測定酸素飽和度が実際よりも3%高く測定されるように操作介入した場合に入院率が減るかを、無作為化二重盲検並行群間比較試験により検討した結果、仮定したとおりの結果が得られた。しかし、後日の外来受診者数には有意差がみられず、著者は今回の結果を踏まえて「同測定の活用について再評価する必要があるだろう」と指摘している。JAMA誌2014年8月20日号掲載の報告より。

統合失調症患者へのインフォームド・コンセント、有効な方法は

 研究の際のインフォームド・コンセントは、一般集団ですら取得が困難なことがあり、複雑な問題を抱えている。この問題は、統合失調症患者において最も大きい可能性がある。フランス・リール第1大学のT. Fovet氏らは、統合失調症患者を対象とした研究に際してのインフォームド・コンセントについて文献レビューを行った。その結果、統合失調症患者の同意に対するキャパシティは、健常人と比較して低下しているが、適切な介入により同意を得られやすい状態にもっていける可能性を示唆した。Encephale誌オンライン版2014年8月12日号の掲載報告。

やはり果糖は高血圧に関連せず

 血圧における果糖の悪影響はほとんどの試験で示されていないが、高血圧における果糖の影響が懸念され続けている。そこで、カナダ・Clinical Nutrition and Risk Factor Modification CenterのViranda H Jayalath氏らは、果糖を含む糖(異性化糖、ショ糖、果糖)摂取と高血圧発症との関連を定量化するため、米国の男女における3つの大規模前向きコホート研究の系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、果糖全体の摂取量は高血圧リスク増加と関連していなかったことが報告された。Journal of the American College of Nutrition誌オンライン版2014年8月21日号に掲載。

マイカー通勤をやめて肥満を予防/BMJ

 公共交通機関利用通勤者やアクティブ通勤者(徒歩や自転車を通勤の全部または一部に利用)は、自家用車通勤者と比べてBMIや体脂肪率が有意に低いことが明らかにされた。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のEllen Flint氏らが、英国住民ベースの断面調査の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2014年8月19日号掲載の報告より。

周術期心房細動、術後脳卒中リスクを1.3~2倍に/JAMA

 周術期に新規心房細動が認められると、術後長期の虚血性脳卒中リスクは1.3~2倍に増大することが判明した。同関連は、心臓手術よりも非心臓手術で大きいという。米国・ワイルコーネル大学医学部のGino Gialdini氏らが、約173万例について行った後ろ向きコホート試験で明らかにした。心房細動は虚血性脳卒中リスクを増大することが知られている。一方で、周術期心房細動は生理的ストレスへの過渡反応とみなされており、また発症後の長期脳卒中リスクについては不明であった。JAMA誌2014年8月13日号掲載の報告より。

メタ解析アウトカム、選択論文でばらつき大/JAMA

 メタ解析で得られる推定アウトカムは、解析対象に含む試験の選択基準の違いにより、異なる結果が得られることが示された。すべての対象試験を組み込んでメタ解析を行った場合、最も正確に行われた単一試験と比べて、推定治療アウトカムは大きくなることがわかった。フランス・オテル=デュー病院のAgnes Dechartres氏らが、160件超のメタ解析論文について調べ明らかにした。JAMA誌2014年8月13日号掲載の報告より。

就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大

 奈良県立医科大学の大林 賢史氏らは、住民ベースのコホート研究「平城京スタディ」により、夜間光曝露が高齢者の主観的・客観的な睡眠の質と有意に関連していることを明らかにした。実験室での検討で、夜間光はメラトニン分泌を抑制し、体内生体リズムに遅延を生じさせ眠気を抑制することが示されていた。研究グループは、実生活における夜間光曝露が、サーカディアンリズムの乱れと不眠症を引き起こす可能性があるとして両者の関連について評価を行った。Chronobiology International誌オンライン版2014年7月15日号の掲載報告。

野菜摂取増で肝細胞がんリスク低下

 野菜の摂取量を1日当たり100g増やすことで肝細胞がん(HCC)の発症リスクが8%低下することが、中国・浙江がん病院のYang Yang氏らのメタ解析によって明らかとなった。果物では同様の結果は認められなかった。著者らは、今回の知見について、検証アンケートや交絡因子を厳密にコントロールしたさらなる研究によって確認されるべきとしている。Gastroenterology誌オンライン版8月12日号掲載の報告。

Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM

 ナトリウム・カリウム摂取量と血圧とには、非線形の相関がみられ、それらは高塩分食摂取者や、高血圧症、高齢者で顕著であることが、カナダ・マックマスター大学のAndrew Mente氏らPURE研究グループによる検討の結果、明らかにされた。ナトリウム摂取量が高値であるほど血圧値が高値である相関性は報告されている。しかし同関連が、ナトリウムまたはカリウム摂取量の違いや集団の違いで異なるのかについては、これまで検討されていなかった。NEJM誌2014年8月14日号掲載の報告より。

S状結腸鏡での大腸がん検診、発症・死亡を抑制/JAMA

 1回のS状結腸鏡検査、または+便潜血検査を行うスクリーニングは、大腸がんの発生および死亡を抑制したことが示された。ノルウェー・Sorlandet病院のOyvind Holme氏らが50~64歳の一般集団レベルを対象に、スクリーニングをしない集団と比べた無作為化試験の結果、報告した。JAMA誌2014年8月13日号掲載の報告より。

統合失調症の妄想低減へ、新たな介入方法

 統合失調症患者に対する認知療法としてのメタ認知トレーニング(MCT)は、抗精神病薬治療の効果を上回る妄想減少の持続的効果があることが示された。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのSteffen Moritz氏らが無作為化試験の結果、報告した。MCTは妄想に関する認知バイアスをターゲットとする介入だが、さらに3年時点では自尊心やQOL改善といった、予期しない“スリーパー”効果などもみられたという。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年8月6日号の掲載報告。

日本血管病理研究会 第19回学術集会開催のお知らせ

 血管障害に関わる疾患の中で「血管炎」とは、病理学的に「血管壁の壊死と炎症細胞の浸潤」と定義される。民族や国・地域によって、疾患の頻度やその臨床症状が異なるために、臨床現場で血管炎の診療は難しく、専門的な知識と経験が必要となる。そのため、血管炎は古今東西の難しい学問・臨床分野の1つであると考えられ、年月を経ても理解に至らない疑問が数多く存在する。

肥満で10がん腫の発症増加/Lancet

 過体重や肥満は、子宮体がんや胆嚢がんなど10のがん種の発症増加に寄与していることが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のKrishnan Bhaskaran氏らの検討で示された。前立腺がんと閉経前乳がんは肥満者では少ないこともわかった。BMIが高いと特定のがんに罹患しやすくなることが、いくつかのコホート試験やメタ解析で示されている。しかし、がんのリスクパターンの特性を、可能性のある交絡因子を補正したうえで、大規模かつ詳細に検討した試験はこれまでなかったという。Lancet誌オンライン版2014年8月14日号掲載の報告。

塩分過剰による心血管死、世界で年間165万人/NEJM

 全世界の平均ナトリウム摂取量は、基準値のおよそ2倍で、ナトリウム過剰摂取に起因する心血管疾患死は、年間165万人に上ることが明らかになった。米国・ハーバード公衆衛生大学院のDariush Mozaffarian氏らが、世界の成人の約74%について行った調査で明らかにした。ナトリウム摂取が心血管死亡率に与える影響について、世界レベルの検討はこれまで行われていなかった。NEJM誌2014年8月14日号掲載の報告より。

認知症にイチョウ葉エキス、本当に有効なのか

 認知障害および認知症に対するイチョウ葉エキスの有益性および有害事象については、長年にわたって議論の的となっている。中国海洋大学のMeng-Shan Tan氏らは、認知障害および認知症に対しイチョウ葉エキス(EGb761)の有効性および有害性についてシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、同240mg/日の22~26週投与により、認知、機能、行動の低下および全般的な低下を、阻止あるいは遅らせうることが、とくに神経精神症状を伴う患者で示されたと報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2014年8月11日号の掲載報告。

COPD増悪患者の換気法 口or鼻?

 オープンマウスピース換気法は、従来型の鼻マスクによる換気法と同様に、軽症から中等症アシドーシスのCOPD患者のガス交換において、さらなる悪化を防ぐ可能性があることを、イタリアのセストリ・レヴァンテ病院のAntonello Nicolini氏らが明らかにした。RESPIRATORY CARE誌オンライン版2014年8月19日号の掲載報告。  オープンマウスピース換気法は神経筋の疾患を有する患者に対して、効果的であることがわかっている。そこで今回、軽症から中等症のアシドーシスでCOPD増悪を起こしている患者に、この換気法を実施した。