日本語でわかる最新の海外医学論文|page:839

新規アンドロゲン標的薬が無効なCRPCの予測因子/NEJM

 去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者の血中循環腫瘍細胞(CTC)におけるアンドロゲン受容体スプライスバリアント7のmRNA(AR-V7)は、CRPC治療薬エンザルタミドやアビラテロンに対する抵抗性獲得の原因である可能性が、米国ジョンズ・ホプキンス大学のEmmanuel S. Antonarakis氏らの検討で示された。両薬剤は、転移性CRPC(mCRPC)の治療にブレークスルーをもたらしたが、患者の約20~40%が反応せず、奏効例も最終的に抵抗性となる。抵抗性の原因として、アンドロゲン受容体のスプライスバリアントの可能性が指摘されており、AR-V7によってコードされるタンパク質は、両薬剤が標的とする受容体のリガンド結合領域を欠くが、リガンド非依存性の転写因子として構成的活性化の状態にあることが知られている。NEJM誌2014年9月11日号(オンライン版2014年9月3日号)掲載の報告。

HPV16/18型ワクチン、感染歴ある成人にも有効/Lancet

 25歳以上の女性においても、ヒトパピローマウイルス(HPV)16/18型AS04アジュバントワクチンは、31/45型を含むHPV感染および子宮頸部病変に対し効果を発揮することが、オーストラリア・テレソン小児健康リサーチ研究所のS Rachel Skinner氏らが行ったVIVIANE試験で示された。HPV予防ワクチンの主な対象は思春期の少女であるが、すでにHPV 6/11/16/18型ワクチンは成人女性(24~45歳)にも有効との知見がある。発がん性のあるHPVは16/18/45/31/33型が約85%を占めるが、感染歴のある成人女性は新たなパートナーから以前とは異なる型のHPVに感染する可能性が高いという。Lancet誌オンライン版2014年9月2日号掲載の報告。

どの尺度が最適か、てんかん患者のうつ病検出

 てんかん患者のうつ病併発検出には、一般的なスクリーニングツールが用いられているが、現在使用されている尺度について、ゴールドスタンダードによる検証は行われていなかった。カナダ・カルガリー大学のKirsten M. Fiest氏らは、てんかん患者のうつ病併発を見つけるために一般的に用いられている3つのスクリーニング尺度について、検証と新たなカットポイント値の評価を行った。結果、感度が最も高かったのは、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)、特異度が最も高かったのはPatient Health Questionnaire(PHQ)-9であったことなどを報告した。Epilepsia誌オンライン版2014年8月28日号の掲載報告。

PIK3CA変異乳がんは抗HER2療法の効果低い

 乳がんではホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K) / AKT経路の異常はよくみられ、PIK3CAの変異が最も多い。ドイツ乳がんグループのSibylle Loibl氏らは、術前補助化学療法に加えてdualもしくはsingle 抗HER2療法を行ったHER2陽性乳がんにおいて、PIK3CA遺伝子型と病理学的完全寛解(pCR)率との関連を調査した。その結果、PIK3CA変異のあるHER2陽性乳がんでは、アントラサイクリン・タキサンの化学療法と抗HER2療法(dual抗HER2療法であっても)による術前補助化学療法後に、pCRを達成する可能性は低いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年9月8日号に掲載。

各種ダイエット法の減量効果/JAMA

 アトキンス式(Atkins、低炭水化物[糖質制限]食)やオーニッシュ式(Ornish、低脂肪食)など固有の名称が付されたダイエット法は、実際に良好な減量効果をもたらしていることが、カナダ・トロント大学のBradley C Johnston氏らの調査で示された。個々のダイエット法の優位性については種々の主張があり、どの方法が優れるかは明らかではなかったが、今回の解析では、どれも大きな差はないことが確認された。JAMA誌2014年9月3日号掲載の報告。

PCI前の血栓吸引、1年死亡率も改善せず/NEJM

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前の冠動脈内血栓吸引療法は、PCI単独に比べ1年後の全死因死亡を改善しないことが、スウェーデン・ウプサラ大学のBo Lagerqvist氏らが行ったTASTE試験で示された。急性STEMIの多くは冠動脈内の血栓形成に起因し、血栓の重症度や血流量低下、心筋灌流障害は、不良な臨床アウトカム(心筋梗塞の再発、ステント血栓症、死亡など)の重要な予測因子とされる。プライマリPCI前の血栓吸引療法の有用性が示唆されているが、短期的な死亡率の改善効果は確立されていない。NEJM誌オンライン版2014年9月1日号掲載の報告。

「過去の投影」による「未来予測」の限界(解説:後藤 信哉 氏)-239

英国は医療情報のデータベース化が進んでいる。診療の結果の多くはデジタル化され、コンピューターによる解析可能な形式にある。日本でも同じ会社の電子カルテシステムを使用している開業医が500人ほど集まってデータベースを作る気になれば英国以上の物を容易に作成できると思う。

うつになったら、休むべきか働き続けるべきか

 うつ病を有する就業者について、疾病休業(absenteeism)と継続出勤による労働遂行能力低下(presenteeism)のコストおよび健康アウトカムについて比較した結果、サービス利用費を除くと両者間に有意な差はみられなかったことが示された。ただし、仕事によっては有意性に違いがみられた。オーストラリア・タスマニア大学のFiona Cocker氏らが、マルコフモデルを使用したコホート・シミュレーションの結果、報告した。うつ病で働き続けていてもメンタルヘルス改善は可能だが、集中力の低下や疲労感、仕事中のパフォーマンス低下によるリスクおよびコストをもたらす。しかし、出勤についてエビデンスに基づく推奨はなく、出勤が個人と事業者にもたらす有益性に関するデータは不足していた。PLoS One誌オンライン版2014年9月2日号の掲載報告。

新薬2剤が発売、去勢抵抗性前立腺がん治療の今後

 去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)に対する新たな選択肢として、5月発売のエンザルタミド(商品名:イクスタンジ)に続き、今月、アビラテロン(同:ザイティガ)とカバジタキセル(同:ジェブタナ)が発売された。これら2剤の発売を機に、先日、それぞれのメディアセミナー(ザイティガ:ヤンセンファーマ株式会社・アストラゼネカ株式会社、ジェブタナ:サノフィ株式会社)が開催された。両セミナーで、近畿大学医学部泌尿器科教授 植村 天受氏が講演し、CRPCにおける治療の変化について解説した。

強迫的行動の抑制にセロトニン5-HT2Aが重要

 スケジュール誘発性多飲(SIP:Schedule-induced polydipsia)は、ラットの強迫的行動を研究するために確立されたモデルである。セロトニン作動薬は、SIPにおける強迫的な多飲を効果的に減少させる。また、SIPにより選別された強迫性多飲が高度なラットでは、セロトニン作動性の脳活性に違いがみられる。しかし、SIPの強迫的行動を調節する、特異的なセロトニン作動性受容体は依然不明である。スペイン・アルメリア大学のSilvia Victoria Navarro氏らは、ラットのSIPモデルを用い、強迫性SIP行動におけるセロトニン2AまたはC(5-HT2A/C)受容体の役割について検討を行った。その結果、セロトニン5-HT2A受容体活性化が強迫性多飲を減少させることを報告した。Psychopharmacology誌オンライン版2014年8月26日号の掲載報告。

蚊に刺されないことが最大の予防

 9月11日(木)、都内にて「蚊でうつる感染症~都心のデングを考える」と題し、国立国際医療研究センターメディアセミナーが開催された。今回のセミナーでは、「蚊」にフォーカスを当て、昨今問題となっているデング熱の診療や、蚊が媒介する感染症であるマラリアや日本脳炎などについてミニレクチャーが行われた。

乳がん、新たな抗HER2療法にさらなる期待

 乳がんの抗HER2療法はトラスツズマブの登場後、飛躍的な進化を遂げているが、さらに新たな展開が期待できそうである。2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、米国スタンフォード大学のMark D.Pegram氏が「New paradigms in the treatment of HER2+ BC」と題し、抗HER2療法の3つの新しいアプローチについて紹介した。

早産児へのEPO、脳損傷リスク大幅減/JAMA

 早産児への、出生前3時間~出生後42時間のエリスロポエチン(EPO)製剤投与は、脳損傷リスクを約40~80%低減することが示された。スイス・ジュネーブ大学病院のRussia Ha-Vinh Leuchter氏らが、早産児165例について行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告した。JAMA誌2014年8月27日号掲載の報告より。

痂皮性膿痂疹にST合剤が有用/Lancet

 小児の痂皮性(非水疱性)膿痂疹に対する、経口ST合剤(トリメトプリム+スルファメトキサゾール、商品名:バクトラミンほか)の3~5日投与は、従来のベンジルペニシリンベンザチン筋注(同:バイシリンG)による治療と比べて非劣性であることが示された。オーストラリアのチャールズ・ダーウィン大学Asha C. Bowen氏らが、504例の小児患者について行った無作為化非劣性試験の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2014年8月27日号掲載の報告より。