日本語でわかる最新の海外医学論文|page:784

侮れない侵襲性髄膜炎菌感染症にワクチン普及願う

 サノフィ株式会社は2015年7月3日、侵襲性髄膜炎菌感染症(Invasive Meningococcal Disease、以下IMD)を予防する4価髄膜炎菌ワクチン(ジフテリアトキソイド結合体)(商品名:メナクトラ筋注)のプレスセミナーを開催。川崎医科大学小児科学主任教授 尾内 一信氏と、同大学小児科学教授 中野 貴司氏がIMDの疾患概要や予防ワクチンの必要性について講演した。

大腿膝窩動脈疾患での薬剤コーティングバルーンの成績/NEJM

 症候性大腿膝窩動脈疾患の患者に対し、パクリタキセル・コーティングバルーンによる血管形成術は、通常のバルーン血管形成術に比べ、長期アウトカムが良好であることが報告された。米国・マサチューセッツ総合病院のKenneth Rosenfield氏らが行った単盲検無作為化試験LEVANT2の結果、術後12ヵ月時点での標的病変1次開存性は、12.6ポイント高く、安全性についてもパクリタキセル・コーティングバルーンの非劣性が示された。経皮的血管形成術(PTA)による末梢動脈疾患(PAD)治療は、血管リコイルや再狭窄の発生により限定的である。薬剤コーティングバルーンによる血管形成術は、再狭窄による開存性を改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2015年6月24日号掲載の報告より。

静脈血栓症でのがんスクリーニング、CT追加でも検出率向上せず/NEJM

 初回特発性深部静脈血栓症(DVT)を発症した人のうち、原発不明がんの罹患率は4%未満と低率で、血栓症発症時に腹部・骨盤部CT検査を含めたスクリーニングを行っても、がん検出率は向上しないことが明らかになった。カナダ・オタワ大学のMarc Carrier氏らが多施設共同非盲検無作為化比較試験の結果、報告した。静脈血栓症は、最も初期のがん徴候である可能性が示唆されている。一方、原発不明がんのスクリーニングについてはばらつきが大きいのが現状だった。NEJM誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告より。

憎きCOPDの喉元に食らいつく治療法:気管支鏡で肺を“つぶす”?(解説:倉原 優 氏)-382

 COPDの外科治療といえば、肺容量減量手術(Lung volume reduction surgery:LVRS)である。まるで早口言葉のような言い回しだが、これはその名のとおり、肺の容量を減量する手術のことである。病的肺を切除して、健常肺の機能を活かそうというのがその治療原理である。LVRSはリスクの高い手術ではあるが、上葉優位な重度の気腫肺がある患者では、生存期間を延長する効果があるとされている。メタアナリシスでLVRSを積極的に推奨しているわけではないが、症例を選べば妥当な選択肢であるとしている。

精神疾患発症と喫煙の関連性

 喫煙は、健康な人よりも統合失調症やうつ病を有する患者においてより多くみられる。そこで、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarie Kim Wium-Andersen氏らは、喫煙は一般集団における抗精神病薬の使用、統合失調症、抗うつ薬使用やうつ病の発症原因となっていると仮定し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)との関連と比較を行った。その結果、喫煙は、統合失調症の発症に影響しているようだが、うつ病には影響しないようだという見解を報告した。International Journal of Epidemiology誌2015年4月号(オンライン版2015年6月7日号)の掲載報告。

低ホスファターゼ症治療薬として日本で世界初の承認を取得

 2015年7月6日、米国・アレクシオン ファーマスーティカルズ(Nasdaq:ALXN)は、日本の厚生労働省が、生命を脅かすきわめてまれな代謝性疾患である低ホスファターゼ症(HPP)に対する治療薬として、ストレンジック(一般名:アスホターゼ アルファ)の使用に関する新薬承認申請(NDA)を承認したことを発表した。骨を標的とした酵素補充療法であるストレンジックは、HPPの治療薬として世界に先駆けて日本で初めての承認となる。

特発性肺線維症治療薬ニンテダニブが承認

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は2015年7月3日、チロシンキナーゼ阻害剤/抗線維化剤ニンテダニブエタンスルホン酸塩(商品名:オフェブ カプセル100mg、同カプセル150mg)が特発性肺線維症の効能・効果で製造販売承認を取得したと発表した。

単純ヘルペスへのイノシンプラノベクスの有効性

 中国・西南病院のYi You氏らは、単純ヘルペスに対するイノシンプラノベクスの有効性および安全性を、アシクロビルと比較する3ヵ月間の多施設共同無作為化二重盲検ダブルダミー並行群間比較試験を行った。その結果、イノシンプラノベクスの有効性はアシクロビルと同等で、性器ヘルペスの短期再発率は低いことを示した。ただし著者は、「6ヵ月間の再発率はまだ明らかになっておらず、イノシンプラノベクスは高尿酸血症の副作用についてモニタリングが必要」とまとめている。Journal of Dermatology誌2015年6月号(オンライン版2015年3月26日号)の掲載報告。

COPDの肺容量減少術、気管支鏡下弁留置が有用か/Lancet

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、気管支内弁を用いた気管支鏡下肺容量減少手術(BLVR)は、肺機能および6分間歩行距離を有意に改善することが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのClaire Davey氏らによるBeLieVeR-HIFi試験で示された。肺の最も増悪した病変部位を切除する肺容量減少手術(LVRS)は、肺気腫患者の肺機能や運動能、生存期間を改善するが、重大な合併症や約5%という早期死亡率が報告されている。BLVRは、最も肺気腫が進行した部位へ向かう気道に、気管支鏡で一方向弁を留置することで、病変のある肺葉を虚脱させる方法である。Lancet誌オンライン版2015年6月23日号掲載の報告。

いわゆる「新規経口抗凝固薬」:中和剤は臨床的に意味があるか?【1】(解説:後藤 信哉 氏)-380

 長らく使用されてきたワルファリンには、経験的に中和法が確立されている。ワルファリンの抗凝固薬としての作用機序は、経験に基づいて理解されてきた。ワルファリンは、基本的には第II、VII、IX、X因子の機能的完成を阻害する薬剤であるため、濃縮血漿を加えることにより抗凝固活性を速やかに阻害することができる。最近開発された新規経口抗凝固薬(抗Xa、抗トロンビン薬)存在下では濃縮血漿を加えても、ダビガトラン存在下では第II因子機能、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン存在下では第Xa活性の速やかな回復は期待できない。第Xa因子は血漿中でプロトロンビンをトロンビンに転換するのみならず、活性化血小板膜上のprothrombinase complexにより、固相でもトロンビンを産生するため、生体におけるXa活性の中和は論理的にも困難である。

抗精神病薬の変更は何週目が適切か

 統合失調症において抗精神病薬が無効な場合、どの程度の期間を待ったうえで治療変更すべきかという臨床上の課題は未解決である。この点に関して、各ガイドラインの見解はさまざまであった。オランダ・アムステルダム大学のMyrto T. Samara氏らは、統合失調症において抗精神病薬の変更を考える場合の効果判定時期の目安を明らかにすべく、メタ解析を行った。その結果、治療開始2週時点で効果が認められない場合は、その後も効果が得られる可能性が低いことを報告した。American Journal of Psychiatry誌2015年7月1日号の掲載報告。

【JSMO2015見どころ】消化器がん

 2015年7月16日(木)から3日間にわたり、札幌にて、第13回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち、6月25日、日本臨床腫瘍学会(JSMO)主催のプレスセミナーが開催され、今年のJSMOで取り上げられる各領域のトピックスや、期待が高まるがん免疫療法などについて、それぞれ紹介された。  消化器がんについては、小松 嘉人氏(北海道大学病院 腫瘍センター)が、大腸がんを中心にJSMOでの見どころや注目演題を紹介した。

安全性情報(2015年7月7日改訂指示分)

2015年7月7日改訂指示分 【成分名】 ・トラマドール塩酸塩(徐放性製剤を除く) ・トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン ・インダパミド ・アナグリプチン ・アビラテロン酢酸エステル ・ダクラタスビル塩酸塩 ・アスナプレビル ・アデホビル ピボキシル ・インフルエンザ HAワクチン ・多発性硬化症の再発予防

心房細動患者の手術、ブリッジング抗凝固療法は必要か/NEJM

 待機的手術などの侵襲性の処置のためにワルファリン治療を中断する必要のある、心房細動(AF)患者に対するブリッジング抗凝固療法の必要性は不明とされる。今回、カナダ・マクマスター大学のJames D Douketis氏らは、BRIDGE試験を行い、低分子量ヘパリンによる周術期のブリッジング抗凝固療法は、動脈血栓塞栓症の予防や大出血リスクの抑制には効果がないことを確認したことを報告した。ブリッジング抗凝固療法の必要性そのものに対する根本的な疑問があり、エビデンスもないため、現行の診療ガイドラインの勧告には説得力がなく、一貫性に欠ける状況だという。NEJM誌オンライン版2015年6月22日号掲載の報告。