日本語でわかる最新の海外医学論文|page:704

性行為は認知機能を上げる? 50歳以上の男女

 健康な50歳以上の男女において、性行為は認知機能向上との関連が認められることが、英国・コヴェントリー大学のHayley Wright氏らの研究で明らかになった。過去12ヵ月で性行為を行った男性は実行機能と記憶機能、女性は記憶機能が、行わなかった人と比べて有意に高かった。この関連のメカニズムとしては、現在、神経伝達物質がメディエーターとして働いている可能性が議論されている。50歳以上の人に対して、医療現場での性カウンセリングを促進することで、認知機能のささやかな向上が見込めるかもしれない。Age and ageing誌2016年3月号の報告。

新規抗好酸球抗体薬、重症喘息を約6割まで減少/Lancet

 血中好酸球数が300/μL以上で、吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬を併用(ICS+LABA)投与してもコントロール不良な重度喘息の患者に対し、開発中の抗好酸球モノクローナル抗体benralizumab(抗IL-5受容体抗体)は、喘息増悪の年間発生リスクを約6割に減少することが報告された。米国・Wake Forest School of MedicineのJ. Mark FitzGerald氏らが行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験「CALIMA」の結果で、Lancet誌オンライン版2016年9月5日号で発表された。

心房細動はすべての心血管リスク増大と関連/BMJ

 心房細動は、死亡リスクを増大し、心血管および腎疾患のリスク増大と関連することが、104のコホート試験、被験者総数約970万人を対象にしたメタ解析により、明らかにされた。英国・オックスフォード大学のAyodele Odutayo氏らが行い、BMJ誌オンライン版2016年9月6日号で発表した。これまでの試験結果から、心房細動は全死因死亡や脳卒中リスクを増大することは知られていたが、脳卒中に限らず、広く心血管イベントのリスクを増大するかは不明であった。今回の結果を踏まえて著者は、「心房細動患者では、脳卒中に限らず広範なアウトカムを減じる介入が必要であることが示された」とまとめている。

双極性障害とうつ病の鑑別診断への試み:奈良県立医大

 躁状態歴が明確にわからない患者では、双極性障害とうつ病を区別することが困難である。鑑別診断のために、客観的なバイオマーカーが必要とされている。奈良県立医科大学の松岡 究氏らは、拡散テンソル画像を用いて、双極性障害患者とうつ病患者の脳白質の微細構造の違いを検討した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2016年8月30日号の報告。

若年性認知症の診断、どうあるべき―医師、患者の観点から

 高齢化と結び付けて考えられるのが“常識”となっている認知症。はたして本当にそうなのだろうか。先月、都内で日本イーライリリー株式会社がプレスセミナーを開催し、専門医による認知症の診断や治療をめぐる現状と課題についての講演と、若年性認知症の診断を受けた当事者が、診断を取り巻く環境や自身の体験について語るディスカッションが行われた。

可愛い孫は、肺炎を持ってくる

 大都市の待機児童の問題にみられるように、保育園や幼稚園に入所できず、祖父母に子供を預ける共働き世帯も多い。また、地方では、2世帯同居が珍しくなく、日中、孫の育児を祖父母がみるという家庭も多い。そんななか、預かった孫の世話に追われ、体力的にも精神的にも疲れてしまう「孫疲れ」という現象が、最近顕在化しているという。晩婚化のため祖父母が高齢化し、体力的に衰えてきているところに、孫の育児をすることで、身体が追いついていかないことが原因ともいわれている。

エドキサバンは電気的除細動時の抗凝固療法として有用/Lancet

 エドキサバンは、心房細動(AF)患者への電気的除細動施行時の抗凝固療法として、エノキサパリン+ワルファリンと同等の高度な安全性と有効性を発揮することが、ドイツ・St Vincenz病院のAndreas Goette氏らが実施したENSURE-AF試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年8月30日号に掲載された。経口第Xa因子阻害薬エドキサバンは、AF患者の抗凝固療法において、エノキサパリン+ワルファリンと比較して、脳卒中や全身性塞栓症の予防効果が非劣性で、出血は少ないことが知られている。一方、AFへの電気的除細動の試験の事後解析では、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の良好な安全性プロファイルが示されているが、エドキサバンの安全性データは十分ではないという。

非虚血性収縮不全の心不全例に対する予防的ICDは予後を改善しない(解説:今井 靖 氏)-591

植込み型電気除細動器(ICD)は、虚血性・非虚血性心不全のいずれにおいても、心室細動・血行動態の破綻を伴う心室頻拍の既往例の再発予防(2次予防)として、また既往がなくともそのリスクが高い症例の予防(1次予防)として適応され、国内外いずれのガイドラインでも推奨・考慮される治療法として掲げられている。

安全性情報(2016年9月13日改訂指示分)

2016年9月13日改訂指示分 【成分名】 ・ナタリズマブ(遺伝子組換え) ・フィルグラスチム(遺伝子組換え) ・フィルグラスチム(遺伝子組換え)[フィルグラスチム後続1] ・フィルグラスチム(遺伝子組換え)[フィルグラスチム後続2] ・フィルグラスチム(遺伝子組換え)[フィルグラスチム後続3] ・レノグラスチム(遺伝子組換え) ・ナルトグラスチム(遺伝子組換え) ・ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え) ・エルトロンボパグ オラミン ・アファチニブマレイン酸塩 ・コルチコレリン(ヒト)

第Xa因子阻害薬の中和薬、急性大出血の79%を止血/NEJM

 第Xa因子阻害薬に関連する急性大出血において、andexanet alfaは抗第Xa因子活性を大幅に低減し、高い止血効果をもたらすことが、カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らが実施したANNEXA-4試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年8月30日号に掲載された。第Xa因子阻害薬は、心房細動患者の静脈血栓塞栓症の治療や予防および脳卒中の予防に有効であるが、大出血や致死的出血のリスクがある。andexanet alfaは、遺伝子組換えヒト第Xa因子デコイ蛋白で、第Xa因子阻害薬の作用を特異的に、直接かつ間接に中和する。

肺音(呼吸音)研究会 「第6回肺聴診セミナー」のご案内

 肺音(呼吸音)研究会は、2016年10月9日(日)に「第6回肺聴診セミナー」を開催する。セミナーでは、肺音の成り立ち、用語の歴史、実際に音を聴いてどのように判断するのか、身体所見の1つとしての利用方法、実際の肺音解析の仕方などを1日で幅広く学ぶことができ、すべての講演の内容を盛り込んだハンドアウトも用意される。また、今年は第41回国際肺音学会(ILSA2016)も同時開催となるため、両方に事前参加登録をする場合の特別料金も設定されている。

非虚血性心不全への予防的ICDは有益か?/NEJM

 冠動脈疾患に起因しない症候性収縮期心不全患者への予防的植込み型電気除細動器(ICD)の施行は、通常ケアと比較して、長期的な全死因死亡の低下には結び付かないことが明らかにされた。デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Kphiber氏らが、556例を対象に行った無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2016年8月27日号で発表した。同患者への予防的ICDについては、これまでサブグループ解析によるエビデンスが主であった。

DES vs.BMS、留置から6年時点のアウトカム/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で使用する留置ステントの長期有効性について、薬剤溶出ステント(DES)vs.ベアメタルステント(BMS)を検討した結果、追跡6年時点の複合エンドポイント(全死因死亡・非致死的自然発症心筋梗塞)の発生について有意差は認められなかった。一方で、血行再建術の再施行率は、DES群の有意な減少が認められたという。ノルウェー・トロムソ大学のK.H. Bonaa氏らが同国でPCIを受けた9,013例について行った無作為化試験の結果、明らかにした。NEJM誌オンライン版2016年8月30日号掲載の報告。

各認知症の重症度とBPSD:大阪大

 認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)は、認知症者の予後に負の影響を及ぼし、介護者の負担を増大させる。大阪大学の數井 裕光氏らは、4つの主要な認知症において疾患重症度別に12種類のBPSD経過の違いを明確化し、日本多施設研究(J-BIRD)のデータを用いBPSDの頻度、重症度、介護者の負担を示すグラフを開発した。PLOS ONE誌2016年8月18日号の報告。

“経口”の血小板産生促進剤、ムルプレタ

 2016年8月30日、塩野義製薬株式会社主催の第2回「いのちを考える」プレスセミナーが開催された。そのなかで、武蔵野赤十字病院 院長の泉 並木氏は「慢性肝疾患の検査・治療に伴う様々なリスクをどう乗り越えるか」と題して、慢性肝疾患における血小板減少症に対する既存治療とムルプレタ(一般名:ルストロンボパグ)の登場による今後の展望について述べた。