日本語でわかる最新の海外医学論文|page:706

再発/転移上咽頭がん、GEM+CDDPが有用/Lancet

 再発または転移上咽頭がんに対し、ゲムシタビン+シスプラチンはフルオロウラシル+シスプラチンと比較して、無増悪生存期間を有意に延長することが報告された。中国・中山大学がんセンターのLi Zhang氏らが第III相多施設共同無作為化非盲検試験の結果を、Lancet誌オンライン版2016年8月23日号で発表した。試験は中国国内22施設で、ECOG PSが0または1、臓器機能正常、RECISTガイドラインver1.1で測定可能病変を有する患者を対象に行われたもの。再発または転移上咽頭がんの転帰は不良であり、1次治療の化学療法は確立されていない。今回の結果を踏まえて著者は、「本検討の患者集団においてゲムシタビン+シスプラチンは、1次治療の治療オプションであることが確認された」とまとめている。

統合失調症に対するヨガ効果、標準治療との比較

 ヨガや運動は、統合失調症の認知機能障害のための補助的介入として用いられるが、対照比較研究は不十分である。インド・RML病院のTriptish Bhatia氏らは、パイロット研究に基づき、ヨガや運動トレーニングが統合失調症患者の認知機能を向上させるかを評価するために単盲検ランダム化比較試験を行った。Acta neuropsychiatrica誌オンライン版2016年8月12日号の報告。

生体吸収性スキャフォールド、中長期の臨床成績

 Absorb生体吸収性冠動脈スキャフォールド(Bioresorbable vascular scaffold:BVS、Abbott Vascular社)の1年超の臨床結果が、JACC: Cardiovascular Intervention誌 2016年9月号に発表された。ABSORB II、ABSORB JAPANなどの複数の試験によって、実現性と安全性が証明されているが、中長期の臨床結果に関する報告が限られているうえ、先行研究は比較的単純な冠動脈病変のみを対象としていた。

早期乳がんの遺伝子診断で過剰な術後化療を回避/NEJM

 遺伝子診断の導入により、臨床リスクが高い乳がん患者の半数近くが、術後の化学療法は不要と判定され、毒性を伴う化学療法による過剰治療の回避につながる可能性があることが、ポルトガル・Champalimaud臨床センターのFatima Cardoso氏らが行ったMINDACT試験で示された。研究の成果はNEJM誌2016年8月25日号に掲載された。早期乳がん患者への術後補助療法の適用は、腫瘍および患者の特性に基づく臨床リスクで決定される。これらの特性を判定する診断ツールのアルゴリズムは、個々の患者の腫瘍の生物学的特性を考慮していないため、多くの患者が過剰治療となり、効果のない治療による毒性のリスクに曝されている可能性があるという。70遺伝子シグニチャー検査(MammaPrint)は、早期乳がん女性の臨床アウトカムの予測を改善することが示されている。

顔面移植術後の長期アウトカムは?/Lancet

 顔面移植では術前の十分な手術可否の検討と、術後の長期的なサポートプログラムが必要であることを、フランス・パリ第5大学のLaurent Lantieri氏らが単施設において前向きに追跡した結果、報告した。顔面移植は2005年以降に30件以上が実施されているが、これまでに長期追跡の報告論文はなかった。Lancet誌オンライン版2016年8月24日号掲載の報告。

レビー小体型とアルツハイマー型認知症、脳血管病変の違いは

 MRI上の脳血管病変は、アルツハイマー型認知症(AD)では一般的であるが、レビー小体型認知症(DLB)における頻度や影響はあまり知られていない。米国・メイヨークリニックのLidia Sarro氏らは、DLB患者の脳血管病変に関して検討を行った。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2016年8月10日号の報告。  連続したDLB患者81例、AD患者240例のMRIによる白質病変(WMHs)と梗塞を評価し、年齢、性別をマッチさせた認知機能正常者(CN)との比較を行った。

患者・医師間のShared Decision Makingをサポートする新サービスを開発

 治療支援デジタルサービスを展開する株式会社ウェルビー(本社:東京都千代田区、代表取締役:比木武、以下ウェルビー)は、患者・医師間の治療方針選択時のコミュニケーションである、Shared Decision Making(SDM)をサポートする新サービス「Welbyマイチョイス」を本年10月より提供開始する。

骨粗鬆性脊椎骨折への椎体形成術、急性期が至適/Lancet

 発症後6週未満の急性期有痛性骨粗鬆性脊椎骨折に対する椎体形成術は、偽処置より除痛効果に優れていることが認められた。オーストラリア・St George Private HospitalのWilliam Clark氏らが、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。椎体形成術の至適時期については議論の的となっており、発症後12ヵ月までの骨粗鬆性脊椎骨折患者を対象とした2件の無作為化二重盲検プラセボ対照試験では有益性が認められなかった。しかし、これらの研究で6週未満の患者は少なく、急性期患者に対する椎体形成術の有効性の評価は不十分であった。著者は今回の結果から、「椎体形成術は、急性疼痛を伴う骨粗鬆性脊椎骨折患者の新たな疼痛コントロール法となりうる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月17日号掲載の報告。

本態性振戦に集束超音波視床破壊術は有効/NEJM

 薬剤難治性本態性振戦に対し、MRIガイド下集束超音波療法による視床破壊術が有効であることが確認された。同治療法により手の振戦が減少し、副作用は感覚障害や歩行障害などであった。米国・ヴァージニア大学のW. Jeffrey Elias氏らが、中等度~重度の本態性振戦患者を対象に二重盲検無作為化比較試験を行い明らかにしたもの。同氏らは、パイロット試験で本態性振戦に対する集束超音波視床破壊術の効果を示唆していた。NEJM誌2016年8月25日号掲載の報告。

医師や病院への金銭提供は薬剤の処方へ強く影響していた(解説:折笠 秀樹 氏)-587

米国の医療保険制度は民間医療保険が主ではあるが、公的医療保険としてMedicare(65歳以上の高齢者および65歳未満の身体障害者向け)とMedicaid(低所得者向け)とがある。MedicareにはPart A~Dがあり、今回の研究対象であるPart Dは薬剤費に関する医療保険のことである。

うつ病治療反応、心理テストで予測可能:弘前大

 気質と性格についての心理テスト[Temperament and Character Inventory(TCI)]は、パーソナリティ特性を評価する際、よく使用される。多くの研究において、うつ病患者の治療反応をTCIで予測する可能性が示唆されている。弘前大学の冨田 哲氏らは、以前の研究でTCIの10項目と治療反応との関連が示唆されていた。今回、同氏らは10項目を再分析し、カットオフ値を明らかにするため本検討を行った。BMC psychiatry誌2016年8月12日号の報告。

運動での消費カロリーの情報は体重管理に逆効果?

 運動での消費カロリーを実際より高く伝えられると、その後の食事の摂取カロリーが高くなる可能性があることを、英国・ブリストル大学Duncan C McCaig氏らが報告した。モバイルアプリなどによる消費カロリーの情報提供は、健康的な体重管理に逆効果となるかもしれないと考察している。Appetite誌オンライン版2016年8月20日号に掲載。

再発/難治性多発性骨髄腫、daratumumab追加の3剤併用も有効/NEJM

 再発性または再発・難治性多発性骨髄腫に対し、ヒトIgGκモノクローナル抗体daratumumabを、ボルテゾミブとデキサメタゾンに併用することで、2剤のみの場合に比べ無増悪生存期間が延長し、12ヵ月無増悪生存率は約60%になることが示された。イタリア・トリノ大学のAntonio Palumbo氏らが、約500例の患者を対象に行った第III相無作為化比較試験の結果、明らかにした。daratumumabはCD38をターゲットとし、直接的・間接的な抗骨髄活性を誘発する。先行研究で、多くの前治療歴のある多発性骨髄腫患者に対して、単独療法の高い有効性が示され、またボルテゾミブとの併用療法では、新規に診断された多発性骨髄腫患者において同様の高い効果が示されていた。NEJM誌2016年8月21日号掲載の報告より。

製薬企業から医師への報酬、処方に有意に影響/BMJ

 製薬企業から医師に支払われる、講演料やコンサルティング料などは、その地域で営業活動が展開されている経口抗凝固薬と非インスリン糖尿病治療薬の、処方日数の増加と結び付いていることが明らかにされた。同処方増は、報酬対象が非専門医よりも専門医の場合であったほうが、有意に大きかったという。米国・エール大学のWilliam Fleischman氏らが、米国306地域の病院医療圏(hospital referral region:HRR)を対象に断面調査を行った結果で、BMJ誌オンライン版2016年8月18日号で発表した。製薬企業から医師への報酬は処方に影響しないと考える医師が多いが、これまでその影響を調べた検討はほとんど行われていなかった。