日本語でわかる最新の海外医学論文|page:705

ラムシルマブ非小細胞肺がん2次治療の日本人データ

 ラムシルマブ(商品名:サイラムザ)とドセタキセル(商品名:タキソテール)の併用がプラチナベース化学療法後に増悪した非小細胞肺がん患者の生存期間を延長した。この第II相無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験は、日本人の非小細胞肺がんの2次治療におけるラムシルマブの有効性と安全性を評価したもの。Lung Cancer誌2016年9月号の掲載記事。

冠動脈疾患疑い、非侵襲的検査が不要な血管造影を減らす/JAMA

 冠動脈疾患が疑われる患者において、英国立医療技術評価機構(NICE)ガイドラインに基づく治療方針より心血管磁気共鳴(CMR)検査を用いた治療のほうが、12ヵ月以内の不必要な血管造影を減らせることが明らかとなった。CMR検査と心筋血流シンチグラフィ(MPS)検査とで統計的有意差はなく、主要有害心血管イベント(MACE)の発生率も差はなかった。英国・リーズ大学のJohn P. Greenwood氏らが、Clinical Evaluation of Magnetic Resonance Imaging in Coronary Heart Disease 2(CE-MARC2)試験の結果、報告した。冠動脈疾患が疑われる患者に対しては、非侵襲的画像診断の利用や推奨が拡大しているにもかかわらず、診断初期には侵襲的血管造影が一般的に用いられている。現在のガイドラインで推奨されている異なる画像診断の有効性を比較する大規模試験はこれまでなかった。JAMA誌オンライン版2016年8月29日号掲載の報告。

非STEMIの死亡率は10年間で改善、その要因とは/JAMA

 イングランドおよびウェールズにおいて、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)で入院した患者の全死亡率は2003年から2013年に改善していることが確認された。この改善は、冠動脈侵襲的治療の実施と有意に関連しており、ベースラインの臨床リスク減少や薬物療法の増加とはまったく関連していなかったという。英国・リーズ大学のMarlous Hall氏らが、Myocardial Ischaemia National Audit Project(MINAP)のデータを用いたコホート研究の結果、報告した。急性冠症候群後の死亡率は世界的に低下しているが、この低下がガイドラインで推奨されたNSTEMIの治療とどの程度関連しているかは不明であった。JAMA誌オンライン版2016年8月30日号掲載の報告。

転ばぬ先の杖:TAVIに対する脳血管保護デバイス(解説:香坂 俊 氏)-590

脳血管系の合併症は、だいたい1.5~2.0%の心臓外科手術に起こるとされていて、頻度はそれほど高くないのだが、個人的には避けたい合併症No.1である。実は、頻度からすると「心不全」のほうが術後合併症として起こる確率は高いのだが、こちらはなんとか対応できるイメージなのに対して、脳血管系の合併症は起こってしまうと「本当にどうにもならない」という拭い難いネガティブなイメージが付いてまわる。

クリゾチニブ ROS1陽性の非小細胞肺がんへの新適応症を申請:ファイザー

 ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:梅田一郎)は、2016年8月31日(水)、「ROS1 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(以下、非小細胞肺がんを「NSCLC」と略記)」の治療薬として、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)の承認事項一部変更承認申請を行ったと発表した。

ステント留置後のプラスグレル投与、血小板機能検査は必要か/Lancet

 急性冠症候群(ACS)で冠動脈ステント留置術後の75歳以上ハイリスク患者に対してP2Y受容体拮抗薬プラスグレル(商品名:エフィエント)を投与する際、5mg/日投与後に血小板機能検査によるモニタリングを実施し用量調整を行っても、同検査をせずに5mg/日を投与し続ける場合と比べ、1年後までの心血管イベント発生率は変わらないことが明らかにされた。フランス・モンペリエ大学のGuillaume Cayla氏らが、877例を対象に行ったエンドポイント盲検化による非盲検無作為化比較試験「ANTARCTIC」試験の結果、明らかにしLancet誌オンライン版2016年8月28日号で発表した。

冠動脈疾患患者への降圧治療、Jカーブリスクに留意が必要/Lancet

 安定冠動脈疾患で降圧治療を受ける患者において、収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧70mmHg未満と、それぞれ140mmHg以上、80mmHg以上で、死亡を含む有害心血管イベント発生リスクが増大するという「Jカーブ」を描くことが確認された。フランス・パリ第7大学のEmmanuelle Vidal-Petiot氏らが、45ヵ国、約2万3,000人を対象に行った前向きコホート研究の結果、明らかにした。至適降圧目標についてはなお議論の的であり、とくに冠動脈疾患患者では、拡張期血圧が低すぎる場合に心筋の血流低下が起きることが懸念されている。結果を踏まえて著者は、「所見は、冠動脈疾患患者に対する降圧治療は注意深く行うべきことを示すものだった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月26日号掲載の報告。

ピオグリタゾンと膀胱がんの関連はいかに…(解説:吉岡 成人 氏)-589

2016年3月末、英国のプライマリケアのデータベースを利用して、14万5,806例の新たに治療を開始した2型糖尿病患者を解析したデータにおいて、ピオグリタゾン投与群ではそれ以外の薬剤治療群と比較してハザード比で1.63(95%信頼区間:1.22~2.19)倍、膀胱がんの発症が多いことがBritish Medical Journal誌に報告された。

統合失調症は進化の過程でどう生まれたのか

 なぜ統合失調症は、適応能力に対し負の影響を有しているにもかかわらず、人類の歴史を通じて淘汰されずにいるのかは、進化の謎のままである。統合失調症は、人間の脳の複雑な進化における副産物であり、言語や創造的思考、認知能力の融合物と考えられる。ノルウェー・オスロ大学のSaurabh Srinivasan氏らは、統合失調症に関する大規模ゲノムワイド研究などを分析した。Biological psychiatry誌2016年8月15日号の報告。

ゲーム感覚で小児の視力を自動測定できるタブレット端末

 小児の視力を自動的に測定するタブレット型コンピュータが開発された。ゲームデザインを用いたアプリケーションソフトウェアが搭載されている。英国・マンチェスター大学のTariq M Aslam氏らは、100例以上の小児において検討し、このシステムは眼疾患を有する小児の視力を客観的かつ正確に自動測定できることを示した。将来の実用性が期待される。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年8月17日号掲載の報告。

プライマリケアでの高リスク処方を減らすには/BMJ

 プライマリケアでの高リスク処方減少に、どのような介入が有効か。英国・ダンディー大学のBruce Guthrie氏らは、教育的介入とフィードバックを行う介入、さらにフィードバックに行動変容を促す介入を加えた3つの方法を比較するクラスター無作為化試験を行った。結果、教育的介入では有意な減少効果はみられなかったが、フィードバックを加味した2つの介入は教育的介入との比較で12~14%減少し、高リスク処方減少に有効であることが認められたという。医療やアウトカムの質の向上や安全対策では、審査とフィードバックを行う介入が有効であることが示されているが、処方安全の観点ではエビデンスはほとんどなかった。また、これまでのフィードバック試験では、方法論的に限界があった。BMJ誌オンライン版2016年8月18日号掲載の報告。

観察研究の限界超えられず:CLARIFY登録観察研究(解説:桑島 巖 氏)-588

冠動脈疾患合併の高血圧症例では、過度な降圧によってかえって心血管予後が悪くなるという、いわゆるJカーブ論争というのが古くからあるが、本研究はそれをぶり返す論文である。すなわち、登録時および観察中の血圧が120mmHg以上では心血管死、心血管合併症は増えるものの、120mmHg未満であっても予後は悪化するという結論である。

魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か

 魚類の摂取やn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、うつ病予防に効果的であるといわれているが、賛否両論がある。イタリア・Ospedaliero-Universitaria Policlinico-Vittorio EmanueleのGiuseppe Grosso氏らは、食事による魚類やn-3PUFAの摂取とうつ病との関連を調査した観察研究の結果からシステマティックレビュー、メタ解析を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年8月16日号の報告。

滅菌手袋 vs.非滅菌手袋、外来での皮膚外科手術後の創部感染発症率は?

 外来での皮膚外科手術後の創部感染発症率に、使用した手袋が滅菌か非滅菌かにより影響を及ぼすかどうかは結論が得られていない。米国・メイヨークリニックのJerry D. Brewer氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、滅菌手袋と非滅菌手袋とで術後創部感染の頻度に差はないことを報告した。JAMA Dermatology誌オンライン版2016年8月3日号掲載の報告。