先天奇形の出産は長期死亡率を高めるか/JAMA 最終更新:2017/01/10 ジャーナル四天王 先天奇形を有さない児を出産した母親と比べて、先天奇形を有する児を出産した母親の長期死亡率は、わずかだが統計的に有意に高いことが、カナダ・トロント大学のEyal Cohen氏らが行った、デンマーク住民ベースのコホート研究で明らかにされた。ただし、著者は「今回の結果について臨床的重要性は不明である」と述べている。先天奇形のある児の出産は、女性にとって深刻なライフイベントだが、そうした女性の長期的な健康への影響についてはほとんど知られていない。JAMA誌2016年12月20日号掲載の報告。
米国の認知症有病率が低下、その要因は 最終更新:2017/01/10 医療一般 高齢化は、認知症者数の増加につながる。しかし、米国や他の高所得国における近年の研究では、認知症の年齢別リスクが過去25年間で減少している可能性があることが示唆されている。認知症の有病率やリスクの現在および今後の人口動向を明らかにすることは、患者、家族、国家プログラムにおいて重要な意味を持つ。米国・ミシガン大学のKenneth M Langa氏らは、2000年と2012年の米国における認知症有病率の比較を行った。JAMA internal medicine誌2017年1月号の報告。
増加する訪日外国人!対応に欠かせない医療通訳の真の役割とは 最終更新:2017/01/10 医療一般 多言語遠隔医療通訳サービスを全国の医療機関に提供している一般社団法人JIGHは、2016年12月に都内で日本語・中国語医療通訳者向けの研修会を開催した。2016年に訪日外国人旅行者数は初めて年間2,000万人を突破したが、政府はこれを2020年に4,000万人、2030年に6,000万人に増やす目標を掲げている。それに伴い医療機関でも訪日外国人へ対応する機会が今後増えることが予想され、体制を整えることが求められている。
新生児期の飼い犬との触れ合いがアトピーのリスク低下に関与 最終更新:2017/01/10 医療一般 デンマーク・コペンハーゲン大学のSunna Thorsteinsdottir氏らは、コペンハーゲン小児喘息前向きコホート研究(Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood:COPSAC)から2つの独立した出生コホートを用い、生後3年間における室内犬への曝露がアトピー性皮膚炎発症に影響を及ぼすかどうかを検討した。その結果、新生児の室内犬への曝露はアトピー性皮膚炎のリスク減少と強く関連しており、その関連は飼犬頭数に依存的であることを明らかにした。著者は、「機序は不明だが、今回の結果は胎児のときの曝露量がアトピー性皮膚炎のリスクに影響を及ぼす可能性を提起するもので、疾患の経過について早期における環境要因の重要性を強調するものである」とまとめている。Allergy誌2016年12月号(オンライン版2016年8月9日号)掲載の報告。
双極性障害「初期診断はうつ病 65%」「正確な診断まで平均4年」 最終更新:2017/01/10 医療一般 双極性障害は、最初の医療機関を受診時に正しく診断される患者が約4分の1しかおらず、初診から正確な診断に至るまでには平均4年かかることが、杏林大学の渡邊 衡一郎氏らによる調査で明らかになった。Neuropsychiatric disease and treatment誌2016年11月21日号の報告。
てんかん重積状態への低体温療法は有益か/NEJM 最終更新:2017/01/09 ジャーナル四天王 痙攣性てんかん重積状態の患者に対し、標準治療に加えて低体温療法を行うことで神経保護効果が得られるのか。フランス・ベルサイユ総合病院のStephane Legriel氏らが多施設共同非盲険無作為化試験を行った結果は、90日アウトカムについて有意な差は認められないというものであった。低体温療法の抗てんかん作用および神経保護効果は、動物モデル試験で認められ、ヒトにおいても超難治性てんかん重積患者にアジュバント療法として用いられている。さらに、これまで脳梗塞や脳出血、脳外傷といったてんかん重積状態の基礎的疾患において、神経保護治療としての検証が行われているが、結果は概して否定的なものであった。NEJM誌2016年12月22日号掲載の報告。
統合失調症はがんになりにくいといわれていたが 最終更新:2017/01/09 医療一般 ほぼ一世紀の間、統合失調症患者におけるがんの罹患率は、一般人より低いといわれてきた。しかし、ここ10年間で、がんと統合失調症との関係は明確ではなくなってきている。台湾・台北市病院のL Y Chen氏らは、若者や中年の統合失調症患者におけるがんリスクを調査した。Epidemiology and psychiatric sciences誌オンライン版2016年11月21日号の報告。
2歳未満の中耳炎、抗菌薬投与期間を短縮できるか/NEJM 最終更新:2017/01/06 ジャーナル四天王 生後6~23ヵ月の急性中耳炎乳幼児において、抗菌薬の投与期間を短縮した場合の予後は標準治療と比較して良好とはいえず、有害事象の発現率低下や抗菌薬耐性の出現率低下も認められなかった。米国・ピッツバーグ大学医療センターのAlejandro Hoberman氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照第IIb相試験の結果を報告した。急性中耳炎の小児で抗菌薬の投与期間を制限することは、抗菌薬耐性リスクを低下させ得る戦略と考えられているが、これまで臨床試験でその効果は確認されていなかった。NEJM誌2016年12月22日号掲載の報告。
腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱へのメッシュ手術の安全性/Lancet 最終更新:2017/01/06 ジャーナル四天王 スコットランドで行われた地域住民対象のコホート研究において、腹圧性尿失禁に対しては、長期転帰のさらなる調査が必要ではあるもののメッシュ手術の使用が支持され、一方、前膣壁脱および後膣壁脱に対しては単独で最初の修復として行う場合、メッシュ手術による一次脱修復は推奨されないことが示された。また、骨盤臓器脱の修復に関しては、経膣および経腹メッシュ手術はいずれも、経膣非メッシュ手術との比較において有効性および合併症は同程度であった。英国・NHS National Services ScotlandのJoanne R Morling氏らは、「今回の結果は、明確に支持できる特定の骨盤臓器脱修復術はないことを示すものである」と結論している。腹圧性尿失禁および骨盤臓器脱に対するメッシュを用いた経膣的修復術は、長期的な有効性や術後合併症に関するエビデンスが乏しく、その安全性が懸念されていた。Lancet誌オンライン版2016年12月20日号掲載の報告。
妊娠中のコーヒー摂取、子供のADHDへの影響は 最終更新:2017/01/06 医療一般 妊娠中のカフェイン摂取や長期的なアウトカム(子供の神経行動など)を評価した研究は、まだ不十分であり、研究結果は一貫していない。ブラジル連邦大学のBianca Del-Ponte氏らは、妊娠中の母親のカフェイン摂取とその子供が11歳時のADHDとの関連を評価するため検討を行った。BMJ open誌2016年12月5日号の報告。
高齢者のロービジョンケアへのリハビリ併用効果 最終更新:2017/01/06 医療一般 視覚機能が低下したロービジョン(LV)高齢者を対象に、基本的なデバイス使用のLVケア介入と、そこにリハビリテーションを併用する介入(LVR)の有用性を、無作為化臨床試験で比較検討した結果が報告された。結果は、LVRの有効性が顕著だったのは最良矯正遠見視力(BCDVA)が20/63~20/200の患者においてのみであることが示されたという。
第3世代TKIの登場と肺がん再生検の現状 最終更新:2017/01/06 医療一般 EGFR-TKIはEGFR活性変異陽性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の1次治療薬である。しかし、初期の効果にもかかわらず、1~2年で耐性が発現し病勢進行にいたる。その耐性の60%を占める新たな変異は790Mをも標的とする第3世代EGFR-TKIオシメルチニブが本邦でも登場した。この新たなTKIの適正な使用には再生検などによるT790Mの特定が必要である。本邦の再生検では、経気管支組織による採取が一般的だが、腫瘍病巣へ到達の困難さや、侵襲性などにより、その成功率は制限される。
多発性硬化症、抗CD20抗体ocrelizumabで再発率低下/NEJM 最終更新:2017/01/05 ジャーナル四天王 多発性硬化症再発患者において、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体ocrelizumabはインターフェロンβ-1aよりも、疾患活動性および進行を有意に抑制することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のStephen L Hauser氏らによる、2つの第III相国際多施設共同無作為化試験OPERAIとOPERAIIの結果で、NEJM誌オンライン版2016年12月21日号で発表された。多発性硬化症にはB細胞が関与していることが知られる。ocrelizumabはCD20+B細胞を選択的に減少する作用を有している。
「前糖尿病」状態と心血管障害の関連(解説:小川 大輔 氏)-632 最終更新:2017/01/05 CLEAR!ジャーナル四天王 前糖尿病状態と心血管障害の関連の有無についてはこれまで議論があったが、最近161万例もの前糖尿病状態を含む前向きコホート研究のメタ解析が行われ、前糖尿病状態は心血管疾患リスクの増加と関連することが報告された。
双極性障害、再入院リスクの低い治療はどれか 最終更新:2017/01/05 医療一般 気分安定薬(MS)による抗精神病薬補助療法が再発予防につながるとされる概念は、双極性障害(BD)患者における少数の自然主義的研究により支持されている。イスラエル・テルアビブ大学のEldar Hochman氏らは、MS(リチウムまたはバルプロ酸)単独療法または非定型、定型抗精神病薬補助療法により退院した双極性障害I型の躁病患者における1年間の再入院率を比較した。Bipolar disorders誌2016年12月号の報告。
アルツハイマーの認知機能低下、冠動脈疾患で加速 最終更新:2017/01/05 医療一般 冠動脈疾患(CHD)がアルツハイマー病(AD)における認知機能低下を加速させるかどうかを、ドイツ・ボン大学のMarkus Bleckwenn氏らがプライマリケアでの前向き縦断的コホート研究で検討したところ、CHDは晩期発症型の高齢認知症患者における認知機能低下に有意に影響を及ぼすことが認められた。心血管疾患の予防が認知症の進行に影響するかもしれない。The British journal of general practice誌オンライン版2016年12月19日号に掲載。
新たな人工膵臓システム、日常生活下で有用/Lancet 最終更新:2017/01/04 ジャーナル四天王 1型糖尿病成人患者への新たな連続血糖測定(CGM)付きインスリンポンプの安全性と有用性について、自由生活下で検討した多施設共同無作為化クロスオーバー比較試験の結果が発表された。米国・ボストン大学のFiras H El-Khatib氏らが検討したのは、iPhone 4SとG4 Platinum CGMを連動させた人工膵臓システムで、体格の情報のみで初期化し、インスリンおよびグルカゴンを自動投与する。既存のセンサー増強型インスリンポンプとの比較において、カーボカウントの食事療法を要することなく優れた血糖コントロールを達成したことが示された。CGM付きインスリンポンプについて、これまで、自宅で自由に生活しながらという設定で安全性・有効性を調べる臨床試験は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2016年12月20日号掲載の報告。
飽和脂肪酸の不飽和脂肪酸による置換は冠動脈疾患リスクを低下させる!(解説:島田 俊夫 氏)-631 最終更新:2017/01/04 CLEAR!ジャーナル四天王 私たちは、炭水化物、脂肪、タンパク質と少量のミネラル、ビタミンを摂取することによりエネルギーを獲得している。しかしながら、炭水化物の過剰摂取と運動不足が糖尿病・肥満の主要因になっている。糖質制限は治療上重要だが、適切な供給カロリーを維持するためには炭水化物以外の栄養素からエネルギーを獲得することが必要となる1)。1g当たりの産生カロリーは、炭水化物4kcal、脂肪9kcal、タンパク質4kcalのエネルギーを産生する。単純計算から、糖質制限食は代替エネルギーを脂肪またはタンパク質から取らざるを得ない。
RCTの先を行く?リアルワールドでのTAVR対象患者(解説:香坂 俊 氏)-630 最終更新:2017/01/04 CLEAR!ジャーナル四天王 “循環器内科といえば冠動脈インターベンション!”というわけでは現在すでになく、今は弁膜症に対してもさまざまなカテーテル手技が行われるようになってきています。