日本語でわかる最新の海外医学論文|page:687

トリプルネガティブ乳がんにエリブリンとペムブロリズマブの併用:サン・アントニオ乳癌シンポジウム

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、エリブリンメシル酸塩(製品名:ハラヴェン)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 米国とカナダ以外ではMSD)との併用療法による、転移性トリプルネガティブ乳がんを対象としたグローバル臨床第Ib/II相試験(218試験)の中間解析結果の成績を報告した。この報告は第39回サン・アントニオ乳癌シンポジウムにて発表されたもの。

納豆が心血管疾患死の低下に関連~高山スタディ

 大豆摂取と心血管疾患(CVD)リスクの関連はまだ不明である。また強力な線維素溶解酵素が含まれている納豆については、CVDとの関係を検討されていない。今回、岐阜大学の永田 知里氏らが、住民ベースのコホート研究(高山スタディ)において、納豆・大豆タンパク質・大豆イソフラボンの摂取量とCVD死亡率との関連を調べたところ、納豆の摂取がCVD死亡率の低減に寄与しうることが示唆された。The American journal of clinical nutrition誌オンライン版2016年12月7日号に掲載。

オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長/NEJM

 オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)は、EGFRチロシンキナーゼ(TKI)阻害薬による1次治療で病勢進行したEGFR T790M変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者(中枢神経系転移例も含む)において、標準治療であるプラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法より臨床効果が有意に優れることが認められた。香港・Prince of Wales HospitalのTony S. Mok氏らが、国際非盲検無作為化第III相臨床試験(AURA3試験)の結果を報告した。オシメルチニブは、EGFR-TKI感受性およびT790M耐性変異を有するNSCLCに対する選択的EGFR-TKIで、プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法と比較したオシメルチニブの有効性は知られていなかった。NEJM誌オンライン版2016年12月6日号掲載の報告。

テストステロン療法によるVTE、6ヵ月以内が高リスク/BMJ

 テストステロン療法は静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク増加と関連しており、投与開始6ヵ月以内が高く(ピークは3ヵ月)、その後は漸減することが、ドイツ・Statistics and Informatics GmbHのCarlos Martinez氏らによる症例対照研究の結果、明らかとなった。この関連は、既知のVTEリスク因子を有していない症例で最も高かった。男性へのテストステロン療法は、主に性機能障害や活力減退に対する治療として2010年以降に増えている。テストステロン療法とVTEリスクとの関連性は、これまで一貫した結果が得られていなかったが、VTEリスクへのテストステロン療法の時間的影響は調査されていなかった。著者は、「先行研究では、テストステロン療法のタイミングと継続期間を見落としていたため、テストステロン療法と心血管イベントとの関連が見いだされなかった」とまとめている。BMJ誌2016年11月30日号掲載の報告。

治療効果の性差はあまりないようだが、有意な性差であっても精査が必要だろう(解説:折笠 秀樹 氏)-627

治療効果の性差について、文献に基づく調査がなされた。コクラン共同計画データベースを用いた系統レビューベースの集計では、性差が統計学的有意であったテーマは109件中8件(7%)あった。ランダム化比較試験(RCT)ベースの集計では、162件中15件(9%)で性差が統計学的有意であった。偶然でも5%は統計学的有意になることを鑑みると(有意水準5%なので)、性差がありそうなテーマはほんのわずかという計算になる。

抗精神病薬誘発性体重増加とヒスタミンとの関係

 抗精神病薬誘発性体重増加(AIWG)と脳内ヒスタミンH1受容体(HRH1)アンタゴニスト、H3受容体(HRH3)アゴニストの効果に正の相関があることが実証されている。カナダ・トロント大学のArun K Tiwari氏らは、AIWGに対するHRH1、HRH3遺伝子における一塩基多型(SNP)の潜在的な影響を検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年12月15日号の報告。

心房細動アブレーションによる高度肺静脈狭窄、適切な対処法は?

 心房細動のアブレーションに伴う肺静脈狭窄(PVS)は、その頻度は減っているものの、依然として重篤な病態である。肺静脈拡張やステント留置術が報告されているが、これらの治療における長期成績については知られていない。そこで、メイヨークリニックのDouglas L. Packer氏らが、高度の肺静脈狭窄が認められた患者がどのような症状を有するかを調べるとともに、バルーン単独、もしくはバルーンとステント双方を用いた侵襲的治療後における再狭窄のリスクを評価した。Circulation誌2016年12月号に掲載。  本研究は前向き観察研究で、2000~14年に高度の肺静脈狭窄を認めた124例を対象とした。124例すべてにおいてCTが用いられ、219の肺静脈に高度の狭窄があると診断された。102例(82%)については診断時に症状があり、頻度の高い症状として、息切れ(67%)、咳(45%)、倦怠感(45%)、そして運動耐容能の低下(45%)がみられた。また、27%が喀血を経験していた。

緑内障治療、複視リスクが高いのは?

 複視は、緑内障治療の合併症として知られている。治療後の発生率や原因について前向きに調査した報告はこれまでなかったが、米国・メイヨークリニック医科大学のPhilip Y Sun氏らは複視調査票を用いた研究を行い、外科治療後および薬物治療中の緑内障患者の複視は過小認識されている可能性があることを明らかにした。

ソラフェニブ治療後の肝細胞がん、レゴラフェニブで生存延長/Lancet

 ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療後に病勢進行がみられた原発性肝細胞がんに対し、レゴラフェニブ(同:スチバーガ)の投与により、全生存期間が有意に延長したことが示された。無増悪生存期間や病勢進行までの期間についても、レゴラフェニブによる改善が認められた。スペイン・バルセロナ大学のJordi Bruix氏らが行った、第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、Lancet誌オンライン版2016年12月5日号で発表した。

心筋ミオシン活性化薬、収縮期心不全の機能改善/Lancet

 左室駆出分画率40%以下の症状が安定している慢性心不全患者に対する新規開発中の経口薬、心筋ミオシン活性化薬omecamtiv mecarbilは、血漿中OM濃度に基づく投与量の増加で、心機能の改善、および左室径の縮小と関連することが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のJohn R. Teerlink氏らが、患者448例を対象に行った第II相プラセボ対照無作為化二重盲検試験、COSMIC-HF(Chronic Oral Study of Myosin Activation to Increase Contractility in Heart Failure)の結果で、Lancet誌オンライン版2016年11月30日号で発表した。

頭髪分析による薬物モニタリング、頭痛患者での精度は

 慢性的に治療している頭痛患者の服薬アドヒアランスをモニタリングするため、頭髪分析が有益なのかという可能性について、イタリアのモデナ・レッジョ・エミリア大学のAnna Ferrari氏らが評価した。本研究では、(1)頭痛患者の頭髪における23種類の薬剤検出率(2)患者が自己報告した薬剤と頭髪から検出された薬剤の一致度(3)患者自己報告の薬剤摂取量に頭髪から検出されたレベルが反映されているかについて分析を行った。European journal of clinical pharmacology誌オンライン版2016年11月20日号の報告。

1日1本未満の喫煙でも肺がん死亡リスクが9倍

 米国では10本/日未満の喫煙者が増加しているが、生涯にわたる1日数本程度の喫煙による健康への影響は、ヘビースモーキングによる影響に比べてよくわかっていない。米国国立がん研究所のMaki Inoue-Choi氏らは、1本/日未満もしくは1~10本/日での長期喫煙と全死因死亡率・原因別死亡率との関連について、非喫煙と比較し評価した。その結果、1本/日未満や1~10本/日での長期喫煙者は非喫煙者より死亡リスクが高いこと、禁煙によるベネフィットがある可能性が示された。このことから、タバコの煙への曝露には安全というレベルはないことが示唆される。JAMA internal medicine誌オンライン版2016年12月5日号に掲載。

AIの画像診断能、糖尿病網膜症の検出で確認/JAMA

 成人糖尿病患者の網膜基底部の画像評価について、ディープラーニングをベースとした診断アルゴリズムは、糖尿病網膜症の検出に関し、高い感度、特異度を示したことを、米国・Google社のVarun Gulshan氏らが発表した。ディープラーニングは、コンピュータアルゴリズムのプログラムに、自身で膨大な症例から学び適切な行動を示すことを容認する人工知能(AI)技術の1つで、プログラムに明確なルールを記述する必要がない。研究グループは、この技術を医学画像診断に適用できるか、評価と検証試験を行った。JAMA誌オンライン版2016年11月29日号掲載の報告。

やはり高齢者では、抗血栓薬、糖尿病治療薬で薬物有害事象が多発(解説:桑島 巖 氏)-626

米国において2013~14年の58ヵ所の救急診療部に搬送された症例のうち、薬剤の有害事象についてまとめた報告である。予想どおり、抗凝固薬、糖尿病治療薬による出血事故や低血糖症状などの有害事象が、とくに65歳以上で多いことが明らかにされた。

アリピプラゾールの至適用量、1週目の血漿中濃度で予測可能:琉球大

 急性増悪期の統合失調症患者に対し、アリピプラゾールで良好な治療反応を得るための血清トラフ濃度は、アリピプラゾールおよびその活性代謝物であるデヒドロアリピプラゾールを合わせて225ng/mLであると言われている。琉球大学の永井 五洋氏らは、アリピプラゾールの至適用量を1週目の血漿中濃度から予測できるかどうかを調査した。Therapeutic drug monitoring誌オンライン版2016年11月16日号の報告。