日本語でわかる最新の海外医学論文|page:627

自撮り写真でのにきびの遠隔診断、対面診断とほぼ一致

 テレダーマトロジー(遠隔皮膚診断)は過去20年で急激に成長し、特定の皮膚科アプリケーションについて多くの技術革新が、必ずしも検証研究を受けることなく利用できるようになっている。米国・コロンビア大学のHannah M. Singer氏らは、予備的な臨床試験を行い、Network Oriented Research Assistant(NORA)による自己撮影写真を用いたざ瘡(にきび)の評価と、対面診断の結果が一致することを明らかにした。著者は、「NORAは信頼性が高い遠隔診療技術であり、皮膚科学研究のための遠隔皮膚診断プラットフォームとして使用することができ、皮膚科診療へのアクセスを増やすことができるものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年12月20日号掲載の報告。

PARP阻害剤オラパリブ卵巣がんに国内承認~BRCA変異問わず~

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年1月19日、「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」を効能・効果とした本邦初のPARP阻害剤オラパリブ(商品名:リムパーザ錠)の国内における製造販売承認を取得したと発表。  オラパリブは、DNA損傷応答(DDR)機能を活用した新規の作用機序を持つ世界初のPARP阻害薬。DNAの相同組換え修復機構が機能していないがん細胞に特異的に細胞死を誘導する画期的な作用機序を有する。

FDA、HR+/HER2-閉経前乳がんのribociclibにブレークスルーセラピー

 Novartis社は2018年1月3日、米国食品医薬品局(FDA)が、ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)の進行または転移を有する閉経前乳がんに対するCDK4/6阻害薬ribociclibとタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬との併用による初回内分泌療法をブレークスルーセラピー指定にしたと発表。

術中の麻酔医交代で、術後の有害転帰が増大/JAMA

 大手術を受ける成人患者では、術中に麻酔科医の引き継ぎが行われた場合、引き継ぎがない場合に比べ、術後の有害な転帰のリスクが増加することが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のPhilip M. Jones氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年1月9日号に掲載された。個人的または職業的な義務、体調不良や疲労により、術中に麻酔科医が別の麻酔科医に交代することがある(一時的引き継ぎ[引き継いで、後で戻る場合]と完全な引き継ぎがある)。多忙な環境で安全な麻酔診療の全情報を医師間で伝達する必要があるため、引き継ぎ中は患者にとって危険な時間となる可能性があるという。

健康的な食事の順守、肥満遺伝リスクの高い人ほど有効/BMJ

 健康的な食事パターンの順守は、体重増加との遺伝的関連性を弱める可能性が示された。米国・テュレーン大学のTiange Wang氏らによる、遺伝的素因と食事の相互作用解析の結果で、その有益な影響は、とくに肥満の遺伝的リスクの高い人々で明確にみられたことも示された。多くの先行試験で、健康的な食事パターンの順守が体重減と関連することは明らかになっていたが、そうした食事の質のスコアと肥満の遺伝的素因(BMIや体重の長期的な変化に関連するもの)との関連性については、これまで検討されていなかったという。BMJ誌2018年1月10日号掲載の報告。

ORBITA試験:冷静な判断を求む(解説:野間重孝氏、下地顕一郎氏)-800

COURAGE試験において安定狭心症に対するPCIは、薬物療法に比してMIや死亡を減らすことができないことが示され、現在では症状の改善を主目的として施行されている。そこで狭心症状という主観的なアウトカムが、PCIのプラセボ効果による修飾を受けているのではないかとの設問を立て、PCIのプラセボ手術(sham operationといった方が一般的か)を用いてこれを検証したところ、PCIは症状の改善すら薬物療法に対しての優位性を示せなかったというのが本論文の結論であった。倫理的な問題は後述するとして、手法としては完全であった点では評価されなければならないと思われる。

血漿中脂質過酸化反応に対する抗精神病薬の影響

 ポーランド・ウッチ医科大学のAnna Dietrich-Muszalska氏らは、ユニークな作用機序を有する新規抗精神病薬であるアリピプラゾールに関して、酸化ストレスのマーカーであるTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)レベルで測定したヒト血漿中脂質過酸化に及ぼす影響について、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、リスペリドン、ziprasidoneなどの他の抗精神病薬と比較し、評価を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年12月27日号の報告。

ニボルマブ・イピリムマブ併用、腎細胞がんに国内申請

 小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は2018年1月15日、抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)および抗CTLA-4抗体イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)について、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対する両剤の併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。

米国で乳がん死減少、寄与した因子は?/JAMA

 米国女性の乳がん死亡率は2000年から2012年にかけて減少しており、乳がんの分子サブタイプで異なるものの、その減少にはマンモグラフィ検診および術後補助療法の進歩が寄与していることが示された。米国・スタンフォード大学のSylvia K. Plevritis氏らが、シミュレーションモデル研究により明らかにした。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。

軽~中等度アルツハイマー病に新薬idalopirdineは有効か/JAMA

 選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬idalopirdineは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能を改善しないことが、米国・California Pacific Medical CenterのAlireza Atri氏らが、idalopirdineの24週間投与の有効性を検証した3件の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(STARSHINE、STARBEAM、STARBRIGHT)の結果を報告した。アルツハイマー病は、高齢者での有病率が上昇し、治療費も増加していることから、新たな治療法が必要とされているが、今回の結果を受けて著者は、「アルツハイマー病の治療にidalopirdineを用いることは支持されない」とまとめている。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。

統合失調症の発症バイオマーカーを共同研究

 ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社⻑:クリス・フウリガン)は2018年1月15日、統合失調症前駆期の正確な診断、精神病発症予測をサポートするバイオマーカーを開発するため、国立精神・神経医療研究センター、富山大学、東邦大学、奈良県立医科大学、久留米大学、千葉大学と共同研究を行うと発表した。

長期の夜間シフトは女性のがんを増やす?

 乳がんは世界中の女性の中で最も多く診断されるがんであり、以前から女性の夜勤労働者と乳がんリスクとの関連を明らかにしようと、多くのメタアナリシスは試みたが、その結論は多様である。中国・四川大学では、長期にわたる夜間作業が、女性のがんのリスクを増加させるかを確認するためにメタ解析を行った。Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention誌オンライン版2018年1月8日号掲載。

肥満とオランザピンの急性代謝系副作用との関連

 オランザピンは、統合失調症や様々な適応外疾患の管理に用いられる第2世代抗精神病薬である。オランザピンの急性代謝反応は、肥満に関連する多くの副作用を引き起こす。統合失調症患者は肥満率が高いが、元々ある肥満関連代謝障害がオランザピンの急性副作用を増大させるかどうかは不明である。カナダ・ゲルフ大学のLogan K. Townsend氏らは、非肥満マウスと高脂肪食(HFD)肥満マウスにおけるオランザピンの反応を比較した。Psychoneuroendocrinology誌オンライン版2017年12月8日号の報告。

1型DMリスク乳児に加水分解粉ミルクの影響は?/JAMA

 遺伝的に1型糖尿病のリスクがある乳児に対し、離乳後にカゼイン完全加水分解粉ミルクを与えても、通常の粉ミルクを与えた場合と比べて1型糖尿病発症リスクは変わらないことが示された。フィンランド・ヘルシンキ大学のMikael Knip氏らが行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「TRIGR」の結果で、JAMA誌2018年1月2日号で発表された。これまでの研究で、複合的な食品含有タンパク質の早期曝露が、1型糖尿病のリスクを高める可能性が示されていたが、今回の結果を踏まえて著者は、「1型糖尿病リスクのある乳児に対する食事の推奨を、修正する必要性を支持する所見は示されなかった」とまとめている。

高リスク重度ASへのTAVR、MEV vs.SEV/JAMA

 症候性の重度大動脈弁狭窄症の高リスク患者への経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)において、機械的拡張型カテーテル心臓弁(MEV)は自己拡張型経カテーテル心臓弁(SEV)に対し、安全性や有効性について非劣性であることが示された。有効性や中等度以上の弁周囲漏出率については、MEVのSEVに対する優越性も示された。米国・エバンストン病院(ノースショア大学ヘルスケアシステム)のTed E.Feldman氏らが、北米や欧州など55ヵ所の医療機関と共同で行った無作為化比較試験「REPRISEIII」で明らかにしたもので、JAMA誌2018年1月2日号で発表した。

日本人のビタミンD摂取量と脳卒中死亡が逆相関

 ビタミンDの心血管の健康に及ぼす重要性に関する報告が増えている。今回、JACC研究(The Japan Collaborative Cohort Study)で日本人集団における食事でのビタミンD摂取量と脳卒中・冠動脈疾患死亡リスクの関連を調べたところ、ビタミンD摂取量が脳卒中死亡と逆相関することが示唆された。Stroke誌オンライン版2018年1月8日号に掲載。

医療者が壊れる前のファーストエイド

 医療事故に直面し傷ついた患者・遺族と医療者双方をケアし、支援していくシステムの普及を目指し設立された一般社団法人Heals(Healthcare Empowerment and Liaison Support)の設立シンポジウムが、2017年12月23日に都内において開催された。シンポジウムでは、医師、看護師をはじめとする医療従事者、弁護士など法曹関係者、患者団体など約170名が参加し、現状の問題点や今後の展望についてディスカッションが行われた。