日本語でわかる最新の海外医学論文|page:624

全国の抗菌薬の使用状況が一目瞭然

 薬剤耐性(AMR)対策のために国立国際医療研究センターに設置された「AMR臨床リファレンスセンター」(センター長:大曲 貴夫氏)は、国内初の取り組みとして「国内都道府県別抗菌薬使用量(販売量)統計データ」の公開ならびに「薬剤耐性(AMR)ワンヘルス動向調査」のWEBサイト開設を4月3日に発表した。これら抗菌薬使用量や薬剤耐性菌のサーベイランス(調査・監視システム)は、今後のAMR対策の重要な基礎データとなる。

低血糖予測しインスリン中断、回復後に自動再開。次世代インスリンポンプ発売

 日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 トニー セメド)は2018年4月2日、インスリン治療を必要とする糖尿病患者の低血糖問題に新しい選択肢をもたらす次世代インスリンポンプ「ミニメド640Gシステム」を、2018年3月26日より販売開始したと発表。

イスラム過激派組織による拘束後のレイプとPTSD

 戦争や戦闘的な状況にある女性に対して、レイプが及ぼす心理的な影響に関する研究は限られている。イラク・ドホーク大学のJan Ilhan Kizilhan氏は、イスラム過激派組織(IS)による拘束中のレイプを報告したヤジディ教徒の女性における、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の有病率と特質を調査し、他の心理学的障害の合併、PTSDに関連するリスクファクターについて調査を行った。Archives of women's mental health誌オンライン版2018年3月10日号の報告。

心不全を予防するために何をすべきか/日本循環器学会

 高齢者の増加と共に心不全患者数も増加し、わが国は、心不全パンデミック時代に直面しようとしている。そのような中、今後、心不全については治療だけでなく、予防という観点が重要となる。2018年3月23~25日に大阪で開催された、第82回日本循環器学会学術集会プレナリーセッションで、わが国の心不全予防について、佐賀大学 循環器内科 田中 敦史氏が講演した。

新たなVEGF阻害薬fruquintinibによるNSCLC3次治療の評価/JCO

 進化が進む進行非小細胞肺がん(NSCLC)治療だが、3次以降の全身療法は、いまだニーズが残る。キナーゼ阻害薬fruquintinibは、VEGFを標的とした薬剤である。この新たなVEGF阻害薬fruquintinibの進行NSCLCの3次治療における効果と安全性を評価した、第II相試験の結果が、Journal of Clinical Oncology誌で発表された。

持続型喘息、SMARTで増悪リスク低下/JAMA

 持続型喘息患者においてSMART(single maintenance and reliever therapy)は、吸入ステロイド薬(ICS)(長時間作用性β2刺激薬[LABA]併用の有無を問わない)による長期管理療法と、発作時に短時間作用性β2刺激薬(SABA)を用いる治療法と比べて、増悪のリスクが低いことが示された。米国・コネティカット大学薬学校のDiana M. Sobieraj氏らが、16の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにした。ただし、4~11歳の患児に関するエビデンスは限定的であったという。SMARTは、長期管理薬+発作治療薬としてICSとLABAを組み合わせた治療法で、持続型喘息患者にとって最適な維持療法となる可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2018年3月19日号掲載の報告。

異時性胃がんの予防に対するピロリ除菌治療(解説:上村直実氏)-834

ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染と胃がんとの関連については、胃がん患者の99%が感染陽性ないしは感染の既往者であり、未感染者に胃がんが発症することは非常にまれであることが確認されている。一方、H. pylori感染者に対する除菌による胃がん予防効果は完全ではなく、最近の診療現場では頻繁に除菌後胃がんに遭遇するようになっている。

ペムブロリズマブ、臓器横断的な腫瘍に国内申請

 MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン)は2018年3月30日、局所進行性又は転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)がんに対する効能・効果について、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。

ダプソン過敏性症候群、アジア人でHLA遺伝子型と関連

 ダプソン(ジアフェニルスルホン)過敏性症候群(DHS)は致命的な薬物有害反応で、疫学研究によれば、DHSではHLA遺伝子型が重要な役割を果たす可能性があることが知られている。タイ・ナレースワン大学のWimonchat Tangamornsuksan氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析により、ダプソン誘発皮膚薬物有害反応(cADR)がHLA-B*1301と関連していることを確認した。著者は、「患者の安全性のため、アジア人ではダプソン投与前にHLA-B*1301に関する遺伝子検査を行う必要がある」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年3月14日号掲載の報告。

高齢・心房細動合併、日本人の拡張期心不全患者(JASPER)/日本循環器学会

 本邦における拡張期心不全(HFpEF)入院患者の現状、長期アウトカムなどは明らかになっていない。2018年3月23〜25日に大阪で開催された、第82回日本循環器学会学術集会で、北海道大学 安斉 俊久氏が、「本邦における拡張期心不全の実態に関する多施設共同調査研究」JASPER試験(JApanese heart failure Syndrome with Preserved Ejection fRaction Study)の結果を初めて発表した。

オラパリブの乳がんコンパニオン診断プログラムが国内承認

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は3月29日、ミリアド ジェネティック ラボラトリーズ,インク(本社:アメリカ合衆国ユタ州ソルトレークシティ)が、オラパリブ(商品名:リムパーザ)の乳がん患者への適応判定のコンパニオン診断プログラムとして、「BRACAnalysis診断システム」の外国製造医療機器としての国内における製造販売承認を取得したと発表。オラパリブの「BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳がん」の適応については、アストラゼネカが国内承認申請中。

前立腺がんの診断にMRI標的生検が有用/NEJM

 臨床的に前立腺がんのリスクを有する生検未施行の男性の診断では、生検の前にMRIでリスク評価を行い、がん病変が陽性の場合に標的を絞って生検を行う方法(MRI標的[狙撃]生検)が、従来の標準的な経直腸的超音波(TRUS)ガイド下生検よりも有益であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのVeeru Kasivisvanathan氏らが行ったPRECISION試験で示された。研究の成果は、NEJMオンライン版2018年3月19日号に掲載された。標準的な10~12コアのTRUSガイド下生検は、高Grade(臨床的に意義のある)前立腺がんを過少に検出し、低Grade(臨床的に意義のない)がんを過剰に検出する可能性が指摘されている。一方、マルチパラメトリックMRIは、結果が陰性の場合は生検を回避するトリアージ検査として用いられ、陽性の場合は前立腺の異常領域を標的に生検が行える。MRI標的生検は標準的生検に比べ、臨床的に意義のあるがんの検出率が同等またはそれ以上とする報告のほか、臨床的に意義のないがんの検出率は低いとの報告がある。

アテゾリズマブ併用療法、進行肺がん1次治療でOS有意差(IMpower150)

 F. ホフマン・ラ・ロシュ社は3月26日、第III相臨床試験IMpower150試験に関し、中間解析において主要評価項目の一つである全生存期間(OS)の延長が示され、進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療におけるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)とベバシズマブ、カルボプラチン、パクリタキセル(化学療法)の併用により、ベバシズマブ、カルボプラチン、パクリタキセルの併用に比べ、生存期間の延長が示されたことを発表した。OSの延長は、PD-L1発現状況によって層別化されたグループを含む、主要なサブグループに共通して認められた。アテゾリズマブとベバシズマブ、カルボプラチン、パクリタキセルの安全性は、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、本併用療法で新たな安全性のシグナルは確認されなかった。これらの成績は、今後開催されるがん関連学会で発表される予定。

認知症発症に対するアルコール使用障害の影響に関するコホート研究

 認知症は、60歳以上の5~7%に影響を及ぼす一般的な症状であり、世界的に60歳以上の人々にとって主要な障害の原因となっている。フランス・国立保健医学研究所(INSERM)のMichael Schwarzinger氏らは、若年性認知症(65歳未満)に焦点を当て、アルコール使用障害と認知症リスクとの関連について検討を行った。The Lancet Public health誌2018年3月号の報告。

抗VEGF薬、全身性有害事象リスクの増加はなし

 フランス・Bretonneau HospitalのMarie Thulliez氏らは、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫または網膜静脈閉塞患者において、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬硝子体内注射と全身性有害事象との関連を評価するため、それらを検討したシステマティックレビューおよびメタ解析について要約を行った。「抗VEGF療法は全身性有害事象のリスクを増加することはない。しかし、出血リスクの高い加齢黄斑変性の高齢患者に、ラニビズマブを投与する際には注意をすることが望ましい」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年3月22日号掲載の報告。

日本のPCI患者のDAPT期間。リアルワールドでは6ヵ月?/日本循環器学会

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)における適正な抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の適正な期間は明らかになっていない。福岡山王病院 循環器センターの横井宏佳氏が、2018年3月23〜25日に大阪で開催された第82回日本循環器学会学術集会Late Breaking Cohort Studiesにて、リアルワールドデータを解析した日本人患者のDAPT継続期間とアウトカムの疫学研究を発表した。

進行性腎細胞がんの1次治療、ニボルマブとイピリムマブ併用が有効/NEJM

 未治療の中等度~高リスク進行性淡明細胞型腎細胞がん患者の治療では、ニボルマブ+イピリムマブ併用により、従来の標準治療であるスニチニブに比べ全生存期間が延長し、客観的奏効率が改善されることが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert J. Motzer氏らが行った「CheckMate 214試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年3月21日号に掲載された。進行性腎細胞がんの約75%が中等度~高リスク病変であり、低リスク病変に比べアウトカムが不良である。本併用レジメンの第I相試験では、未治療および既治療の進行性腎細胞がん患者において、良好な抗腫瘍活性を発揮することが報告されている。

DPP-4阻害薬で炎症性腸疾患リスク増大/BMJ

 2型糖尿病患者においてDPP-4阻害薬は、炎症性腸疾患(IBD)のリスク増大と関連することが、カナダ・Jewish General HospitalのDevin Abrahami氏らによる住民コホート研究の結果、明らかにされた。著者は「結果について再現性があるのかを確認する必要があるが、医師はこうした関連の可能性があるということを念頭に置くべきであろう」と指摘している。IBDのような自己免疫疾患における、DPP-4酵素が及ぼす影響は解明されていない。しかし、低濃度のDPP-4酵素がIBDの疾患活動度を高めることは知られている。これまで、DPP-4阻害薬とIBD発症との関連を検討した観察研究は行われていなかったという。BMJ誌2018年3月21日号掲載の報告。