日本語でわかる最新の海外医学論文|page:626

血清尿酸値上昇は高LDL-C/高TG血症リスク~日本人コホート研究

 高い血清尿酸(SUA)値は脂質異常症と関連するが、高尿酸血症がLDLコレステロールを増加させるかどうかは不明である。今回、コロラド大学の桑原 政成氏らが行った日本人のコホート研究により、SUA値の上昇が高LDLコレステロールおよび高トリグリセライド血症の発症リスクを増加させたことが初めて報告された。著者らは「この結果は心血管疾患におけるSUAの役割を解明するかもしれない」としている。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年3月13日号に掲載。

僧帽弁閉鎖不全症、死亡率高いが過少治療の傾向:米国/Lancet

 孤立性僧帽弁閉鎖不全症は、地域における死亡を過度に増加させ、診断後の心不全の発生と関連があるにもかかわらず、僧帽弁手術を受けた患者はきわめて少ないことが、米国・メイヨー・クリニックのVolha Dziadzko氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2018年3月10日号に掲載された。僧帽弁閉鎖不全症は世界的に頻度の高い弁病変であり、低侵襲治療デバイスの開発が重視されているが、重篤なアウトカムや治療への満たされない必要性(unmet need)が実際に存在するかは不明だという。

急性脳梗塞の血管内治療は日常診療でも有効か/BMJ

 急性虚血性脳卒中の血管内治療は、無作為化対照比較試験の結果と同様に、ルーチンの臨床診療でも有効かつ安全であることが、オランダ・アムステルダム大学学術医療センターのIvo G. H. Jansen氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年3月9日号に掲載された。前方循環系の頭蓋内血管近位部閉塞による急性虚血性脳卒中では、症状発現後6時間以内の血管内治療の有効性と安全性が無作為化試験やメタ解析で示されているが、ルーチンの臨床診療でも既報の無作為化臨床試験と同等の有用性が得られるかは不明であった。

APROCCHSS試験-敗血症性ショックに対するステロイド2剤併用(解説:小金丸博氏)-831

敗血症性ショック患者に対するステロイドの有効性を検討した研究(APROCCHSS)がNEJMで発表された。過去に発表された研究では、「死亡率を改善する」と結論付けた研究(Ger-Inf-05)もあれば、「死亡率を改善しない」と結論付けた研究(CORTICUS、HYPRESS、ADRENAL)もあり、有効性に関して一致した見解は得られていなかった。

双極性うつ病に対する抗うつ薬補助療法による再入院率に関するコホート研究

 双極性うつ病に対し抗うつ薬が広く用いられているが、その有効性や安全性に関するエビデンスは弱い。また、双極性障害に対する抗うつ薬維持療法のリスク・ベネフィット比に関する研究は不十分である。イスラエル・テルアビブ大学のYahav Shvartzman氏らは、抗うつ薬補助療法の有無にかかわらず、気分安定薬や非定型抗精神病薬治療で退院したうつ病エピソードを有する双極I型障害患者の再入院率について比較検討を行った。European neuropsychopharmacology誌2018年3月号の報告。

PCI予定のACSにスタチンのローディング投与は有益か/JAMA

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による侵襲的管理(確定診断や冠動脈再建術の系統的評価を目的とした冠動脈造影)が予定されている急性冠症候群(ACS)患者に、アトルバスタチンの周術期ローディング投与を行っても、30日主要心血管イベント(MACE)発生率は低下せず、こうした患者へのアトルバスタチンのローディング投与を日常的に使用することは支持されないことが明らかとなった。ブラジル・Research Institute-Heart HospitalのOtavio Berwanger氏らが、同国53施設で実施した多施設無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「SECURE-PCI試験」の結果を報告した。これまで、大規模無作為化臨床試験において、心血管疾患の1次および2次予防としてのスタチンの有効性および安全性は確立されていたが、ACSで侵襲的管理が予定されている患者において、スタチンのローディング投与の臨床転帰への影響は明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2018年3月11日号掲載の報告。

経口フルオロキノロンが大動脈瘤リスク増と関連/BMJ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のBjorn Pasternak氏らは、スウェーデン国内の登録データを用いたコホート研究を行い、経口フルオロキノロン系抗菌薬の使用が大動脈瘤のリスク増加と関連していることを報告した。フルオロキノロンには、血管壁の細胞外マトリックスの完全性を損なう可能性のある非抗菌的特性があり、最近の研究でフルオロキノロン系抗菌薬が大動脈瘤のリスクを増加させる懸念が高まっていた。BMJ誌2018年3月8日号掲載の報告。

低脂肪食でも低炭水化物食でも減量効果は変わらない(解説:吉岡成人 氏)-830

体重を減らすために有効なのは、低脂肪食なのか、低炭水化物食なのか…、多くの臨床研究が行われ、いまだ意見の一致が得られていない。今回紹介する臨床研究では、肥満者における遺伝子多型と減量の関連に注目し、  今回紹介する臨床研究では、肥満者における遺伝子多型と減量の関連に注目し…………

CVD-REAL2試験、SGLT2阻害薬で心血管リスク低下

 アジア太平洋、中東、北米の6ヵ国の40万例超の2型糖尿病患者を対象としたCVD-REAL試験の新たな解析(CVD-REAL2)により、SGLT2阻害薬投与患者は他の血糖降下薬と比べて、患者特性にかかわらず心血管イベントリスクが低いことが示された。本結果は第67回米国心臓病学会年次学術集会(ACC2018)で発表され、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2018年3月7日号にも掲載された。

日本人肺がんにおける免疫関連有害事象とニボルマブの効果/JAMA Oncol

 メラノーマにおける免疫関連有害事象(irAE)とPD-1阻害薬の有効性の相関については報告されてるが、非小細胞肺がん(NSCLC)においては明らかになっていない。この研究は、近畿大学を含む複数の機関の診療録データを基に、再発・進行NSCLCにおける、ニボルマブの有効性とirAEの有無の関係を評価した多施設後ろ向き観察研究である。リードタイムバイアスを最小限にするためにランドマーク解析を用いて、関連性を検討している。近畿大学 原谷浩司氏らにより、JAMA Oncology誌2018年Vol.4で報告された。

授乳中の抗てんかん薬使用に関する母親への情報提供

 さまざまな抗てんかん薬の母乳中への移行、それによる乳児に対する影響についての情報は限られている。これらの問題が明らかとなっていないため、抗てんかん薬服用中の患者には母乳による育児を推奨することができない。スイス・ローザンヌ大学のM. Crettenand氏らは、授乳中の抗てんかん薬に関する利用可能なデータを包括的にレビューし、これらの情報を添付文書(SmPC)に記載されている内容と比較し、母乳育児中の女性にこれらの薬剤を使用するための推奨を提供するため、検討を行った。Der Nervenarzt誌オンライン版2018年2月27日号の報告。

PCI後のDAPT、6ヵ月 vs.12ヵ月以上/Lancet

 急性冠症候群に対する薬剤溶出ステント(DES)での経皮的冠動脈インターベンション(PCI)実施後、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)において、6ヵ月投与群が12ヵ月以上投与群に対して、18ヵ月時点で評価した全死因死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合エンドポイントの発生について非劣性であることが示された。一方で、心筋梗塞発症リスクは、6ヵ月投与群が約2.4倍高かった。韓国・成均館大学校のJoo-Yong Hahn氏らが、2,712例を対象に行った無作為化非劣性試験の結果で、Lancet誌オンライン版2018年3月9日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「DAPT投与は短期間が安全であるとの結論に達するには、厳しい結果が示された。過度の出血リスクがない急性冠症候群患者のPCI後のDAPT期間は、現行ガイドラインにのっとった12ヵ月以上が望ましいだろう」と述べている。

理髪店で薬剤師が降圧介入、血圧値大幅に低下/NEJM

 黒人が経営する理髪店で、顧客のコントロール不良高血圧の黒人男性に対し、専門的訓練を受けた薬剤師が、顧客の医師と協力して降圧治療を行った結果、半年後の収縮期血圧値が大幅に低下したことが示された。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのRonald G. Victor氏らが、黒人経営の理髪店52ヵ所を通じて高血圧症の黒人319例を対象に行ったクラスター無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年3月12日号で発表された。非ヒスパニック系黒人のコントロール不良高血圧は重大な問題とされているが、従来のヘルスケア設定での薬剤師介入試験では、そうした人々が対象集団に含まれる割合が実際よりも少ないという課題があった。

緑内障のディープラーニングによる検出、感度良好

 中国・中山大学のZhixi Li氏らは、ディープラーニングを用い、カラー眼底写真で緑内障性視神経症を自動的に分類するシステムの開発、検証を行い、高い感度と特異度で緑内障性視神経症を検出できることを示した。偽陰性の主な原因は、強度または病的近視の合併であり、偽陽性となった理由で最も多かったのは生理的陥凹と病的近視であることも明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2018年3月2日号掲載の報告。

双極性障害に対するベンゾジアゼピンの使用開始と長期使用

 長期的なベンゾジアゼピン治療による有害な影響を示すエビデンスが増加している。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のLouise Wingard氏らは、双極性障害におけるベンゾジアゼピンおよびZ薬の長期使用の割合と、その予測因子について調査を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2018年2月16日号の報告。

議論が続く多枝疾患患者への冠血行再建法、CABGかPCIか?(中川義久 氏)-829

これまでも、多枝冠動脈疾患患者における長期成績は、CABGのほうがPCIよりも良好であることが複数の無作為化比較試験および患者登録研究の結果から示されてきた。しかし、その優位性は真のエンドポイントである死亡の差としてではなく、新規心筋梗塞発生リスクや、再血行再建リスクなども含めて解析した場合にCABGのほうが勝るという結論にとどまっていた。死亡に差がないのであれば、侵襲度の違いを念頭に置けばPCIの立ち位置を高く考慮してもよいという意見もあった。