GIP/GLP-1受容体アゴニスト、有望な効果/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2018/10/24

 

 2型糖尿病治療薬として開発中のGIP/GLP-1受容体デュアルアゴニスト「LY3298176」の有効性と安全性を検討した、米国・National Research InstituteのJuan Pablo Frias氏らによる第II相の無作為化プラセボ・実薬対照試験の結果が発表された。LY3298176は、デュラグルチドと比べて血糖コントロールが良好で体重を減少し、有効性および、安全性に関する許容範囲と忍容性プロファイルも有意に良好であった。著者は、「GIPとGLP-1受容体の組み合わせ製剤は、2型糖尿病の治療において新たな治療選択肢を提供するだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年10月4日号掲載の報告。

プラセボ、デュラグルチドを対照に26週の試験
 試験は、2型糖尿病患者を、LY3298176(1mg、5mg、10mg、15mg)、デュラグルチド1.5mg、またはプラセボを投与する6群(いずれも週1回の皮下投与で26週間)に、1対1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付けて行われた。割付では、ベースラインの糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)、メトホルミン服用、BMIによる層別化も行われた。適格としたのは、18~75歳、6ヵ月以上の2型糖尿病(HbA1cが7.0~10.5%)で、食事および運動のみではコントロール不良、またはメトホルミン療法で安定している、BMI 23~50の患者であった。

 有効性の主要評価項目は、ベースラインから26週時点でのHbA1cの変化で、修正intention-to-treat(mITT)集団(試験薬を1回以上投与し、ベースライン以降1回以上いずれかのアウトカム評価を受けた全患者)で評価した。副次評価項目は、治療データセット上のmITTで測定した、ベースラインから12週時点でのHbA1cの変化、ベースラインから12週および26週時点での平均体重、空腹時血糖、腹囲、総コレステロール、LDL-C、HDL-C、トリグリセライド、目標HbA1c(≦6.5%および<7.0%)の達成患者割合の変化、ベースラインから26週時点での5%以上および10%以上の体重減少を達成した患者割合などであった。

HbA1cの変化、目標達成患者割合でみた有効性を確認
 2017年5月24日~2018年3月28日に、555例が適格評価を受け、318例が6治療群のいずれか1群に無作為に割り付けられた。2例の患者が割付治療を受けなかったため、mITTおよび安全性解析の集団には316例が包含された。

 258例(81.7%)が26週の治療を完了し、283例(89.6%)が試験を完了した。ベースラインの平均値は、年齢57歳(SD 9)、BMI 32.6(5.9)、糖尿病と診断されてからの期間9年(6)、HbA1c 8.1%(1.0)で、男性53%、女性47%であった。

 26週時点で、LY3298176のHbA1cの変化における効果は用量依存的であり、プラトーに達しなかった。HbA1cのベースラインからの平均変化は、プラセボ群-0.06%に対して、LY3298176の1mg群-1.06%、5mg群-1.73%、10mg群-1.89%、15mg群-1.94%であった。プラセボと比較した事後平均差(80%信用セット)は、LY3298176の1mg群-1.00%(-1.22~-0.79)、5mg群-1.67%(-1.88~-1.46)、10mg群-1.83%(-2.04~-1.61)、15mg群-1.89%(-2.11~-1.67)であった。

 デュラグルチド群のベースラインから26週時点のHbA1cの変化は-1.21%であり、これと比べたLY3298176投与群の事後平均差(80%信用セット)は、1mg群0.15%(-0.08~0.38)、5mg群-0.52%(-0.72~-0.31)、10mg群-0.67%(-0.89~-0.46)、15mg群-0.73%(-0.95~-0.52)であった。

 26週時点で、目標HbA1c<7.0%を達成したLY3298176投与群の患者割合は33~90%で(vs.デュラグルチド群52%、プラセボ群12%)、≦6.5%達成患者割合は15~82%であった(vs.デュラグルチド群39%、プラセボ群2%)。また、LY3298176投与群の空腹時血糖値の変化は-0.4~-3.4mmol/L(vs.デュラグルチド群-1.2mmol/L、プラセボ群0.9mmol/L)。同じく体重の変化は-0.9~-11.3kg(-2.7kg、-0.4kg)、5%以上の体重減少達成率は14~71%(22%、0%)、10%以上の体重減少達成率は6~39%(9%、0%)。腹囲の変化は-2.1~-10.2cm(-2.5cm、-1.3cm)、総コレステロール値の変化は0.2~-0.3mmol/L(-0.2mmol/L、0.3mmol/L)、HDL/LDLの変化は対照群と比べて差はなく、トリグリセライド値の変化は0~-0.8mmol/L(-0.3mmol/L、0.3mmol/L)であった。

 副次評価項目の12週時点のアウトカムは、すべてが26週時点と類似していた。

安全性も確認、重症低血糖症は報告例なし
 6つの治療群の被験者13/316例(4%)で、23件の重篤な有害事象が発生した。治療により発現した有害事象で最も頻度が高かったのは、消化器系イベント(悪心、下痢、嘔吐)であった。消化器系イベントの発現は、用量依存的(LY3298176の1mg群23.1%、5mg群32.7%、10mg群51.0%、15mg群66.0%、デュラグルチド群42.6%、プラセボ群9.8%)で、大半は軽度~中等度の一過性のものであった。また、2番目に多かった有害事象は食欲減退であった(LY3298176の1mg群3.8%、5mg群20.0%、10mg群25.5%、15mg群18.9%、デュラグルチド群5.6%、プラセボ群2.0%)。

 重症低血糖症の報告例はなかった。

 プラセボ群の1例が、肺腺がんStageIVから死亡に至ったが、これは試験治療とは無関係であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 住谷 哲( すみたに さとる ) 氏

公益財団法人日本生命済生会日本生命病院 糖尿病・内分泌センター

センター長

J-CLEAR評議員