日本では若年女性(18~29歳)の約20〜25%が低体重(BMI:18.5未満)で、将来的な健康リスクを抱え、社会問題となっている。「やせ=美」という社会的/文化的理想(やせ理想)の内在化が強く、これが「健康ではなく、見た目のためのやせ志向」を助長している可能性がある。順天堂大学・室伏 由佳氏らは、運動習慣が身体満足度に与える影響を、「やせ理想の内在化」と「自尊心」を通じて評価し、とくに低体重女性と標準体重女性(BMI:18.5~25未満)でその違いを検討することを目的とした研究を行った。本研究結果は、BMC Public Health誌2025年11月20日号に発表された。
2023年5月、日本全国のオンラインモニターを通じ、18~29歳の女性を対象に調査を行った。最終解析には低体重400例(平均BMI:17.4)と標準体重189例(平均BMI:20.6)の計589例が含まれた。「運動習慣」は、日本の国民健康・栄養調査の定義に倣い、「過去1年以上、週2回以上、1回30分以上の運動を実施」で判定した。また、主観的な身体満足度、外見に対する社会文化的態度、自尊心も評価した。
主な結果は以下のとおり。
・両群とも約50%の参加者が定期的な運動習慣(平均週2.5日)があると報告した。低体重群では、運動習慣が「やせ理想の内在化」を軽減させ、「自尊心」を向上させることで身体満足度が向上していた。
・一方、標準体重群では、運動習慣が「やせ理想の内在化」を軽減させ、身体満足度を向上させたものの、「自尊心」には有意な影響を与えなかった。
研究者らは「両群ともに、運動習慣の有無に大きな差はなかったが、運動の心理的効果(身体満足度への影響)は、低体重群と標準体重群で異なった。この結果は、BMIによって運動習慣が身体満足度に影響を与える経路が異なり、若年女性の身体満足度向上のためには、BMIに応じて異なるアプローチが必要であることを示唆している。低体重女性に対しては、運動習慣を通じて『やせ理想の内在化』を軽減させ、『自尊心』を向上させることが重要である。一方、標準体重女性に対しては、運動習慣とは別に直接『自尊心』を向上させる介入がより効果的である可能性がある。近年の研究では、身体活動が不十分で食事摂取量が少ない若年女性は、肥満者と同様の代謝プロファイルを示し、将来的に糖尿病発症リスクが高まることが明らかになっている。本研究は、日本の若年女性における低体重問題に対処するための多面的アプローチの一環として、運動習慣の役割を明確にした点で意義がある」とした。
(ケアネット 杉崎 真名)