日本語でわかる最新の海外医学論文|page:245

ニルマトレルビル/リトナビル、オミクロン下の外来患者リアルワールドデータ

 ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)は、コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化リスクの高い患者において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株および初期のオミクロン株に対する重症化抑制効果が示されている。重症化リスクの高いワクチン未接種の成人を対象とした、ランダム化比較試験「EPIC-HR試験」では、重症化リスクを89%低下させたことが報告されている。しかし、EPIC-HR試験はデルタ株流行期に行われた試験であり、オミクロン株流行期に主流となったBA.4系統、BA.5系統などに対する効果は明らかになっていない。そこで、米国・コロラド大学医学部のNeil R. Aggarwal氏らは、コロラド州の医療システムの記録を用いて、オミクロン株流行期の実臨床におけるニルマトレルビル/リトナビルの外来患者に対する有用性を検討した。その結果、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院、全死亡、救急受診を減少させ、SARS-CoV-2検査陽性後28日間の入院の減少は、ワクチン接種状況や年齢、感染時期などに関係なく認められた。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年2月10日掲載の報告。

アリピプラゾール長時間作用型注射剤切り替えの有効性

 急性期および慢性期の統合失調症患者を対象に、パリペリドンパルミチン酸エステルの長時間作用型注射剤(LAI)を含む第2世代抗精神病薬から月1回のアリピプラゾールLAIへ切り替えた場合の有効性について、韓国・全南大学校のSung-Wan Kim氏らが検討を行った。その結果、他の抗精神病薬からアリピプラゾールLAIへの切り替え成功率は高く、アリピプラゾールLAIの優れた忍容性と有効性が示唆された。また、精神病理や社会的機能の改善は、罹病期間が短い統合失調症患者においてより顕著に認められ、代謝異常の改善は、慢性期患者でより顕著に認められた。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2023年2月28日号の報告。

ソトラシブ、KRASG12C変異陽性NSCLCのPFSを延長/Lancet

 既治療のKRAS G12C変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、KRASG12C阻害薬ソトラシブは標準治療であるドセタキセルと比較して、無増悪生存期間(PFS)を延長し、安全性プロファイルも優れることが、オランダがん研究所のAdrianus Johannes de Langen氏らが実施した「CodeBreaK 200試験」で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2023年2月7日号で報告された。  CodeBreaK 200試験は、日本を含む22ヵ国148施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2020年6月~2021年4月の期間に患者の登録が行われた(Amgenの助成を受けた)。

行政・学校・病院が連携して行う疾患啓発~糸魚川ジオパーク頭痛啓発キャンペーン

 頭痛は、一般的な公衆衛生上の問題である。その負荷を軽減するためには、頭痛に関する意識を高め、急性症状の管理や予防可能な薬剤を適切に使用することが求められる。しかし、一般の人々における頭痛に関する意識向上の研究は、これまでほとんど行われていなかった。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、2021年8月~2022年6月に、2つの介入による「糸魚川ジオパーク頭痛啓発キャンペーン」をプロスペクティブに実施し、有効性の評価を行った。著者らは、本キャンペーンの実施により一般の人々の頭痛に関する認知率が向上したとし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でほぼすべての住民が集まるワクチン集団接種会場や、学校を基盤とした対面のないオンデマンドe-ラーニングでの疾患啓発活動は、きわめて効果的な方法であると報告している。Headache誌オンライン版2023年1月27日号の報告。

アルドステロン合成酵素に対する選択性を100倍にしたbaxdrostatによる第II相試験の結果は、治療抵抗性高血圧症に有効である可能性が示された―(解説:石上友章氏)

高血圧症は、本邦で4,000万人が罹患するといわれている、脳心血管病の最大の危険因子である。降圧薬は、市場規模の大きさから多くの製薬企業にとって、開発・販売に企業の持っているリソースの多くを必要とするカテゴリーの製品であった。医療サイドにとっては、その患者数の多さと健康寿命に与える影響の重要さから、確実で安全な医療の提供の実現が求められている。公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団の調査によると、あらゆる薬剤の中で、降圧薬の貢献度・満足度がきわめて高いことが示されている。降圧治療は、疾病の克服において、これまでに人類が手にした治療薬として、きわめて高い水準の完成度に達したといえる。

第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023

 2023年2月16日、日本臨床腫瘍学会はプレスセミナーを開催し、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが、第20回学術集会(2023年3月16~18日)の注目演題などを発表した。  今回のテーマは「Cancer, Science and Life」で、科学に基づいた知見ががん医療の進歩を支え、患者さんが満足できる生活、実りある人生を送っていただく助けになることを目的とする。演題数は1,084であり、うち海外演題数は289と過去2番目の多さになる。  プレジデンシャルセッションでは発表者の他に、国内外の専門家がディスカッサントとして研究成果の意義を解説する。演題は学術企画委員会が厳正に審査を行い、全分野より合計19演題が選定された。

食物繊維の摂取とうつ病・不安との関係~メタ解析

 食物繊維の摂取とうつ病との関連について、これまでの研究結果には一貫性が認められていない。イラン・テヘラン医科大学のFaezeh Saghafian氏らは、食物繊維の摂取とうつ病および不安症との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、食物繊維の摂取が増加するほど、成人のうつ病リスクに対し保護的に作用することが示唆された。Nutritional Neuroscience誌2023年2月号の報告。  2021年5月までに公表された研究を、電子データベースよりシステマティックに検索した。食物繊維の摂取とうつ病および不安症との関連を調査した18件の研究(横断研究:12件、コホート研究:5件、ケースコントロール研究:1件)をメタ解析に含めた。うつ病に関する研究は、15件が成人を対象に、3件が青少年を対象に実施されていた。不安症に関する研究は、適格研究が不十分なため、分析には含めなかった。

患者向け広告費が高い医薬品とは?/JAMA

 米国では、医療用医薬品(処方薬)の消費者に向けた直接広告(direct-to-consumer[DTC]広告)が許可されている。米国・ジョンズホプキンス公衆衛生大学院のMichael J. DiStefano氏らは、DTC広告費が高い医薬品の特性を明らかにするための調査を実施した。その結果、2020年に売上高が上位を占めた医薬品の中で、総販促費に占めるDTC広告費の割合が高かったのは、付加的な臨床的有用性の評価は低いが総売上高が高い医薬品であったことが明らかになったという。JAMA誌2023年2月7日号掲載の報告。  研究グループは、2020年に米国での売上高が上位150品目の医薬品特性と販促費の関連を評価する目的で、探索的な横断研究を行った(Arnold Venturesなどの助成を受けた)。フランスとカナダの医療技術評価機関(France's Haute Autorite de Sante、Canada's Patented Medicine Prices Review Board)と医薬品データソース(Drugs@FDA、FDA Purple Book、Lexicomp、Merative Marketscan Research Databases、Medicare Spending by Drug data)により、医薬特性(2020年総売上高、2020年総販促費、臨床的有用性評価、適応症数、適応外使用、分子タイプ、治療を受けた患者の症状概要、投与タイプ、後発品有無、FDA承認年、WHO解剖治療化学分類、メディケア加入者の年間平均支出、売上に占める当該医薬品の割合、市場規模、市場競争力)を評価した。

BRCA変異陽性転移乳がんへのオラパリブ、1次治療で高い効果(OlympiAD)

 生殖細胞系列BRCA変異陽性(gBRCAm)HER2陰性転移乳がんにおいて、オラパリブは医師選択の化学療法(TPC)に対し主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)中央値はオラパリブ群19.3ヵ月vs.TPC群17.1ヵ月(p=0.513)と報告されている。今回、従来の報告より25.7ヵ月長いOSの延長フォローアップ解析結果を、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのMark E. Robson氏らがEuropean Journal of Cancer誌オンライン版2023年2月14日号に報告した。  OlympiAD試験では、gBRCAmかつHER2陰性で、アントラサイクリン系およびタキサン系薬剤の治療歴を有し、転移疾患に対する化学療法歴≦2ラインの患者を、オラパリブ群またはTPC群(医師の選択によりカペシタビン、エリブリンまたはビノレルビンのいずれかを使用)に2:1の割合で無作為に割り付けて比較検討している。延長フォローアップ期間中、OSは層別log-rank検定(全体集団)およびCox比例ハザードモデル(事前に指定されたサブグループ)を用いて6ヵ月ごとに分析された。

血管性認知症やパーキンソン病認知症と尿酸値との関連~メタ解析

 中国・Shenyang Medical CollegeのQian Li氏らは、尿酸値と血管性認知症(VaD)およびパーキンソン病認知症(PDD)との関連を調査するため、メタ解析を実施した。その結果、尿酸値はPDDとの関連が認められたが、VaDとは認められなかった。著者らは、本研究がVaDやPDDの病態生理に関する知識を強化し、予防や治療戦略の開発促進に役立つことが期待されるとしている。Neurological Sciences誌オンライン版2023年1月24日号の報告。  2022年5月までに公表された関連研究を、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Collaboration Databaseより検索した。プール分析、感度分析、出版バイアスの評価を実施した。すべての分析にSTATA 16を用いた。

糖尿病対策で外来指導強化など中間とりまとめ公表/厚労省

 「厚生労働省の腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会」は、2月13日に「糖尿病対策に係る中間とりまとめ」を発表した。  中間とりまとめによると、診療提供について「外来療養指導や外来栄養食事指導の強化」が謳われ、高齢者の糖尿病患者の低血糖予防や在宅看護など地域ケアの取り組みが追記された。また、糖尿病対策に係る指標の見直しでは、「糖尿病の予防」「糖尿病の治療・重症化予防」「糖尿病合併症の発症予防・治療・重症化予防」の3項目を軸とすることが記述された。

糖尿病網膜症、アフリベルセプトの早期投与で長期の視力改善は?/JAMA

 中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫(CI-DME)を伴わない非増殖糖尿病網膜症(NPDR)患者において、アフリベルセプトを予防投与し視力を脅かす合併症が生じた場合にアフリベルセプトによる治療を開始しても、予防投与なし(シャム投与)で同合併症発生時に治療を開始した場合と比較し、4年後に増殖糖尿病網膜症(PDR)またはCI-DMEの発生率は有意に低下したが視力の改善は認められなかった。米国・インディアナ大学のRaj K. Maturi氏らが、米国およびカナダの64施設で実施した無作為化比較試験「DRCR Retina Network Protocol W試験」の結果を報告した。本試験では、少なくとも2年間は糖尿病による視力を脅かす合併症の発生を抑制できることが示されていたが、早期投与が長期的な視力改善につながるかどうかは不明であった。著者は、「本試験で用いられた予防戦略としてのアフリベルセプトは、CI-DMEを伴わないNPDR患者には通常不要だろう」とまとめている。JAMA誌2023年2月7日号掲載の報告。  研究グループは、1型または2型糖尿病を有する成人で、CI-DMEを伴わない中等度~重度のNPDR(糖尿病網膜症重症度尺度[DRSS]レベル43~53)を少なくとも1眼有し、最高矯正視力が79文字以上(スネレン換算20/25以上)の患者を対象に試験を実施した。

ペグIFN-λ、高リスクCOVID-19の重症化を半減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種者を含むCOVID-19外来患者において、ペグインターフェロンラムダ(IFN-λ)単回皮下投与は、COVID-19進行による入院または救急外来受診の発生率をプラセボ投与よりも有意に減少させた。ブラジル・ミナスジェライスカトリック大学のGilmar Reis氏らTOGETHER試験グループが報告した。NEJM誌2023年2月9日号掲載の報告。  TOGETHER試験は、ブラジルとカナダで実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照アダプティブプラットフォーム試験である。研究グループは、ブラジルの12施設およびカナダの5施設において、SARS-CoV-2迅速抗原検査が陽性でCOVID-19の症状発現後7日以内の18歳以上の外来患者のうち、50歳以上、糖尿病、降圧療法を要する高血圧、心血管疾患、肺疾患、喫煙、BMI>30などのリスク因子のうち少なくとも1つを有する患者を、ペグIFN-λ(180μg/kgを単回皮下投与)群、プラセボ群(単回皮下投与または経口投与)または他の介入群に無作為に割り付けた。

過渡期に差し掛かったコロナ感染症:今後の至適ワクチンは?(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

本論評ではWinokur氏らの論文をもとに先祖株(武漢原株)とOmicron株BA.1に対応する2価ワクチンの基礎的知見を整理すると共に先祖株/BA.5対応2価ワクチンの基礎的、臨床的意義に言及する(BA.4とBA.5のS蛋白塩基配列は同じで、厳密には“BA.4/5対応”という表現が正しいが本論評では“BA.5対応”と簡略表記する)。さらに、今後のコロナ感染制御に必要な近未来のワクチンについても考察する。

オミクロン株XBB.1.5に対する治療薬と2価ワクチンの効果は?/東大

 東京大学医科学研究所の河岡 義裕氏らの研究グループは、新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5系統に対して、既存の抗体薬、抗ウイルス薬、並びにmRNAワクチンの有効性をin vitroで検証した。その結果、患者から分離したXBB.1.5に対して、4種類の抗体薬はいずれも効果が見られなかったが、4種類の抗ウイルス薬は高い増殖抑制効果を示したことが明らかとなった。また、2価ワクチン接種者の血漿が、XBB.1.5に対する中和活性を有していることが確認された。本結果は、Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年2月8日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応の性差~メタ解析

 オランダ・アムステルダム大学のBram W. C. Storosum氏らは、統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応が、性別や閉経状態により影響を受けるかについて、調査を行った。その結果、統合失調症治療において女性のほうが男性よりも抗精神病薬に対する治療反応が得られやすく、この影響は閉経状態やベースライン時の症状重症度(陰性症状)による影響を受けていなかった。Psychiatry Research誌2023年2月号の報告。  統合失調症患者5,231例を対象とした抗精神病薬の短期プラセボ対照登録研究22件のデータを分析した。個々の患者データについて2段階のメタ回帰分析を行い、症状重症度の平均差と治療反応の差(30%超の症状改善)に対する性別および閉経状態の影響を調査した。ベースライン時の症状重症度(陰性症状)で補正した場合としない場合の両方で、分析を行った。

検査時間帯で異なる大腸内視鏡の精度、解決策は?

 大腸内視鏡検査は、前がん性ポリープの発見・除去により、大腸がんの発生と死亡の減少に寄与する。大腸内視鏡検査において、腺腫発見率(ADR)が重要な指標であり、ADRが1%増加するごとに、大腸がんの発生リスクは3%低下するという報告がある。しかし、武漢大学人民病院のZihua Lu氏らの研究によると、大腸内視鏡検査の精度が時間と共に低下し、ADRが低下することが明らかになった。また、ADRの低下を抑制するためには、人工知能(AI)を用いた大腸内視鏡検査支援システムの導入が有用であることも示された。JAMA Network Open誌2023年1月31日掲載の報告。

中等症~重症の化膿性汗腺炎、セクキヌマブ2週に1回投与が有効/Lancet

 中等症~重症の化膿性汗腺炎患者において、セクキヌマブの2週ごとの投与は安全性プロファイルが良好で、化膿性汗腺炎を速やかに改善し、投与52週後まで有効性が維持されることが示された。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAlexa B. Kimball氏らが、日本を含む40ヵ国219施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「SUNSHINE試験」および「SUNRISE試験」の結果を報告した。中等症~重症の化膿性汗腺炎に対して利用可能な治療選択肢は、わずかしかないのが現状である。Lancet誌オンライン版2023年2月3日号掲載の報告。  SUNSHINE試験およびSUNRISE試験の対象は、1年以上、中等症~重症の化膿性汗腺炎(2ヵ所以上の解剖学的部位に、合計5つ以上の炎症性病変)を有する18歳以上で、試験期間中、市販の外用消毒剤を化膿性汗腺炎病変部位に毎日使用することに同意した患者を適格とした。ベースラインで20以上の瘻孔がある患者、併用禁止薬(全身性生物学的免疫調整薬、生ワクチン、または他の治験薬)による治療が必要な活動性皮膚疾患を有する患者などは除外した。  両試験において適格患者を、セクキヌマブ300mgを2週ごと皮下投与する群(2週ごと群)、同4週ごと皮下投与する群(4週ごと群)、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。  主要エンドポイントは、投与16週後のHiSCR(ベースラインと比較して膿瘍および炎症性結節の数が50%以上減少し、かつ膿瘍数の増加がなく、かつ排膿性瘻孔数も増加がない場合と定義)を達成した患者の割合とした。

妊娠中のコロナワクチン接種、出生児の感染/入院を予防/BMJ

 妊娠中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン2回接種は、出生児の生後6ヵ月間における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株への感染と入院に対し高い有効率を示し、オミクロン株の感染と入院に対しても中等度の予防効果が認められた。また、3回目のワクチン接種によりオミクロン株に対する有効率が上昇したこと、ワクチン2回接種の有効率は、母親の妊娠第3期での接種で最も高く、生後8週を過ぎると低下していた。カナダ・トロント大学のSarah C. J. Jorgensen氏らが、オンタリオ州の地域住民を対象とした検査陰性デザイン研究の結果を報告した。SARS-CoV-2中和抗体は、妊娠中の感染やワクチン接種により臍帯血、母乳、乳児血清に存在することが明らかになっており、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種が、乳児のSARS-CoV-2感染および入院リスクを低下する可能性を示唆する新たなエビデンスが示されていた。BMJ誌2023年2月8日号掲載の報告。  研究グループは、ICES(旧名称:Institute for Clinical Evaluative Sciences)のデータベースを用い、カナダで最も人口の多いオンタリオ州において2021年5月7日~2022年3月31日の期間に生まれ、2021年5月7日~2022年9月5日の期間にSARS-CoV-2の検査を受けた生後6ヵ月未満児を特定し解析を行った。COVID-19ワクチン接種データベース(COVaxON)を用いて母親の妊娠中のワクチン接種状況を調べ、デルタ株またはオミクロン株の感染が検査で確認された乳児を症例群、検査が陰性であった乳児を対照群として、乳児のデルタ株またはオミクロン株の感染または入院に対するワクチン有効率を多変量ロジスティック回帰モデルにより解析した。

血友病A治療は新時代へ、スーパーイロクテイトの発売間近(解説:長尾梓氏)

BIVV001の名前で知られているefanesoctocog alfa(エフアネソクトコグ アルファ、国内で承認申請中)の第III相試験であるXTEND-1試験の結果がNEJM誌2023年1月26日号に掲載された。注目ポイントは、50 IU/kg週1回の定期投与で投与から約4日間は第VIII因子活性が40%を上回っており、7日目のトラフも15%(平均)と非常に高いこと。その結果、もちろんABRは低く抑えられ、試験開始前の定期補充療法への優越性が示されたこと(p<0.001)。さらに、出血イベントは74%がオンデマンド群でみられたが、出血の97%がefanesoctocog alfa(50 IU/kg)の1回の注射により消失したことである。