中高年の初回肩関節脱臼、救急外来で徒手整復後の上腕骨大結節骨折の発生頻度

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/14

 

 先行研究において、肩関節脱臼の整復操作に伴う医原性上腕骨頸部骨折の症例報告がなされている。英国・王立バークシャー病院のAtoun Ehud氏らはその有病率を調べることを目的とした後ろ向きコホート研究を行った。その結果、40歳以上の初回肩関節前方脱臼患者において、上腕骨大結節骨折の合併率は21%で、これらの患者における徒手整復時の医原性上腕骨頸部骨折の発生頻度は26%と高率であることを明らかにした。Journal of Orthopaedic Trauma誌2013年4月号の掲載報告。

 本研究の目的は、40歳以上の初回肩関節前方脱臼患者における徒手整復後の医原性上腕骨頚部骨折の有病率を調査することであった。

 対象は40歳以上の初回肩関節前方脱臼患者92例(平均66.6歳)で、救急外来で救急医療医により、意識下鎮静のもと徒手整復が行われた。

 骨折の有無はX線写真にて確認し、医原性骨折は整復後のX線写真にて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・92例中19例(20.7%)は、最初のX線写真において上腕骨大結節骨折を合併していると診断された。
・整復後のX線写真において、5例(5.4%)が整復後上腕骨頸部骨折と診断された。この5例は全例、最初のX線写真において上腕骨大結節骨折を認めた。
・最初のX線写真における上腕骨大結節骨折所見と医原性上腕骨頸部骨折の発生には、有意な関連性が認められた(p<0.0001)。
・医原性上腕骨頸部骨折患者の予後は不良であった。

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(ケアネット)