日本語でわかる最新の海外医学論文|page:694

フィブリノゲン濃縮製剤、ハイリスク心臓手術中の出血を減少させず/JAMA

 ハイリスク心臓手術において、術中出血に対しフィブリノゲン濃縮製剤を投与しても、術中出血量は減少しなかった。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのSuleyman Bilecen氏らが、術中出血に対するフィブリノゲン濃縮製剤の効果を検証した無作為化臨床試験の結果を報告した。フィブリノゲン濃縮製剤は、凝固障害を回復させ術中出血を減らす可能性があり、心臓手術中の出血管理に使用されている。しかし、これまで行われた心臓外科における無作為化臨床試験は2件のみで、フィブリノゲン濃縮製剤の有効性に関するエビデンスは確立されていなかった。JAMA誌2017年2月21日号掲載の報告。

高齢2型糖尿病、低過ぎるHbA1cは認知症リスク?

 ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、糖尿病患者のQOL維持のための血糖コントロール改善の重要な指標とされているが、高齢者には低過ぎるHbA1cが害を及ぼす恐れがある。今回、金沢医科大学の森田 卓朗氏らの調査により、地域在住の高齢2型糖尿病患者において、HbA1cと要支援/要介護認定のリスクがJ字型を示すことが報告された。また、高齢の2型糖尿病患者での低過ぎるHbA1cが、認知症による後年の障害リスクに関連する可能性が示唆された。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年2月11日号に掲載。

HER2陽性早期乳がんへのトラスツズマブ、11年追跡の結果は?/Lancet

 HER2陽性早期乳がんに対し、補助療法としてのトラスツズマブ投与は、無病生存期間を長期とする改善効果が、中央値11年間の追跡で確認された。投与期間については、2年投与は1年投与と比べ追加ベネフィットは認められなかった。英国・エディンバラ大学がん研究センターのDavid Cameron氏らが国際共同多施設非盲検第III相無作為化試験「HERA(HERceptin Adjuvant)」の最終解析の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2017年2月16日号掲載の報告。

ペースメーカー・ICD装着患者も安全にMRI検査が可能/NEJM

 ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)を装着した患者へのMRI検査の実施は、長らく禁忌とされてきたが、検査前後の動作確認と、検査前の適切な再プログラミングを行うことで、磁場強度1.5テスラのMRIは安全に実施可能なことが判明した。MRI検査中の死亡や心室性不整脈や装着機器の故障は、いずれも認められなかった。米国・スクリプス研究所のRobert J Russo氏らが、ペースメーカーやICDを装着する1,500例を対象に行った前向き試験で明らかにしたもので、NEJM誌2017年2月23日号で発表した。

双極性障害の再発エピソード、持効性注射剤の効果は

 双極I型障害(BP-I)の維持療法における長時間作用型アリピプラゾール注射剤400mg/月(AOM400)の有効性、安全性、忍容性について、米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のJoseph R Calabrese氏らが二重盲検プラセボ対照試験で評価した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2017年1月31日号の報告。

2種の頭皮冷却法、乳がん化学療法の脱毛を半減/JAMA

 化学療法は、乳がんの微小転移を抑制し、再発リスクを低減して生存期間を延長するが、有害事象として、女性にとって最も大きな苦痛の1つとされる化学療法誘発性の脱毛が高頻度に発現する。対策として、頭皮冷却法の検討が進められており、2017年2月14日発行のJAMA誌に、2種のデバイスに関する米国の2つの研究論文が掲載された。2つの試験は、試験デザイン、患者選択基準、デバイスのタイプが異なるが、ほぼ同様の結果が得られており、頭皮冷却は半数以上の女性で脱毛を予防することが示された。

血圧低下は認知症リスクを増加させるか、減少させるか

 認知症における血圧変動の役割については、議論の余地がある。スウェーデン・ルンド大学のHannes Holm氏らは、長期フォローアップ研究において、安静時と体位変換時の血圧変化が、認知症とどのように関連しているかを分析した。European journal of epidemiology誌オンライン版2017年2月11日号の報告。

ラニビズマブ、PRPより増殖糖尿病網膜症の悪化抑制

 増殖糖尿病網膜症(PDR)に対する汎網膜光凝固(PRP)またはラニビズマブによる治療の有用性について、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のSusan B Bressler氏らは、PDR悪化の観点から評価した。その結果、ラニビズマブはPRPと比較してPDRの増悪が少なく、とくに中心窩に及ぶ糖尿病黄斑浮腫を認めなかった眼において顕著であることが示された。著者は、「抗VEGF療法はPRPより頻繁に通院する必要があるが、PDRに対し、少なくとも2年はPRPの代替療法としてラニビズマブを使用することを支持するさらなるエビデンスが得られた」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年2月1日号掲載の報告。

心房細動への低用量NOAC、ワルファリンに勝るか?/BMJ

 心房細動の治療において、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)は、臨床に導入されて以降、低用量での使用が増加しているが、低用量NOACの有効性と安全性をワルファリンと比較したエビデンスは少ない。デンマーク・オールボー大学のPeter Bronnum Nielsen氏らは、安全性の主要アウトカムである出血は、低用量ダビガトランがワルファリンに比べ有意に少ないとの研究結果を、BMJ誌2017年2月10日号で報告した。

HM 3とHM IIの多施設無作為化試験、生存率は同等もポンプ交換率に有意差(解説:許 俊鋭 氏)-647

多施設で無作為化前向きに446例のDestination Therapy(DT)適応症例を2:1に割り付け、297例の磁気浮上遠心ポンプ(HM 3)群と148例の従来の軸流ポンプ(HM II)群で、後遺症を残す脳卒中や不具合によるポンプ交換の伴わない2年生存率を比較した(ENDURANCE試験)。

うつ病から双極性障害へ移行しやすい患者の特徴

 うつ病患者の一部は、双極性障害発症の前段階である可能性があり、早期発見や予防が可能な場合がある。オーストラリア・メルボルン大学のA Ratheesh氏らは、うつ病患者のプロスペクティブ研究より、双極性障害へ移行する割合や特徴の予測を試みた。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2017年1月18日号の報告。

好きなお酒の種類で糖尿病リスクは異なるのか

 よく飲むアルコール飲料の種類によって、糖尿病との関連が異なるのだろうか。Consortium on Health and Ageing Network of Cohorts in Europe and the United States(CHANCES)プロジェクトにおいて、飲酒者におけるアルコール飲料の嗜好と2型糖尿病の発症率との関連性を研究したところ、ビール・ワイン・蒸留酒のそれぞれに対する嗜好と糖尿病発症との関連は、嗜好がない場合と同様であることがわかった。European journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年2月22日号に掲載。

市中肺炎の心不全リスク、高いのはむしろ若年患者/BMJ

 高齢の市中肺炎患者は、心不全のリスクが高いことが示されているが、他の年齢層や肺炎の重症度との関連は不明とされる。カナダ・アルバータ大学のDean T Eurich氏らは、高齢患者だけでなく、むしろ若年の市中肺炎患者で心不全リスクが高いとの研究結果を、BMJ誌2017年2月13日号で報告した。研究グループは、「これらの知見は、年齢にかかわらず、退院後の治療計画や予防戦略の立案時、また呼吸困難のエピソードを評価する際に考慮すべき」と指摘している。

腹部脂肪蓄積の遺伝的素因が糖尿病、心疾患発症に関与/JAMA

 観察研究では、腹部脂肪蓄積と2型糖尿病、冠動脈性心疾患(CHD)との関連が示唆されているが、因果関係は不明とされる。遺伝的素因としてBMIで補正したウエスト/ヒップ比(WHR)が高い集団は、2型糖尿病やCHDのリスクが高いとの研究結果が、JAMA誌2017年2月14日号で発表された。報告を行った米国・マサチューセッツ総合病院のConnor A Emdin氏らは、「これは、腹部脂肪蓄積と2型糖尿病、CHDとの因果関係を支持するエビデンスである」としている。