血圧低下は認知症リスクを増加させるか、減少させるか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/03/01 認知症における血圧変動の役割については、議論の余地がある。スウェーデン・ルンド大学のHannes Holm氏らは、長期フォローアップ研究において、安静時と体位変換時の血圧変化が、認知症とどのように関連しているかを分析した。European journal of epidemiology誌オンライン版2017年2月11日号の報告。 集団ベースのMalmo Preventive Projectでは、1974~92年に1万8,240人(平均年齢:45±7歳、男性の割合:63%)を対象に安静時と体位変換時の血圧を測定し、2002~06年に平均年齢68±6歳の安静時血圧を再測定した。認知症リスクを有する安静時と体位変換時の血圧変化との関連は、リスク因子を制御する多変量調整Cox回帰モデルを用い検討した。 主な結果は以下のとおり。 ・2009年12月末までに、428例(2.3%)が認知症と診断された。 ・起立時の拡張期血圧の低下は、認知症リスクが高いことが示された(10mmHg当たりのHR:1.22、95%CI:1.01~1.44、p=0.036)。これは、主に正常血圧者におけるリスク増加によって引き起こされた。 ・再検査時の収縮期血圧(10mmHg当たりのHR:0.94、95%CI:0.89~0.99、p=0.011)、拡張期血圧(10mmHg当たりのHR:0.87、95%CI:0.78~0.96、p=0.006)の高さは、認知症リスク低下と関連していた。 ・ベースラインと再検査時における収縮期血圧、拡張期血圧の極端な低下(第4四分位収縮期血圧:-7±12mmHg、第4四分位拡張期血圧:-15±7mmHg)は、同期間に著しい血圧上昇を示した対照群(第1四分位収縮期血圧:+44±13mmHg、第1四分位拡張期血圧:+15±7mmHg)と比較して、認知症リスクが高いことが示された(収縮期血圧[HR:1.46、95%CI:1.11~1.93、p=0.008]、拡張期血圧[HR:1.54、95%CI:1.14~2.08、p=0.005])。 ・中年期の拡張期血圧低下、中高年期の血圧低下、高齢期の血圧低下は、認知症発症の独立した危険因子であることが示された。 関連医療ニュース 米国の認知症有病率が低下、その要因は 脳トレーニングで認知症予防、認知機能低下リスクが20~30%減 魚を食べると認知症は予防できるのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Holm H, et al. Eur J Epidemiol. 2017 Feb 11. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] DGAT-2阻害薬ION224、MASHを改善/Lancet(2025/09/05) 早期浸潤性乳がん、2次がんのリスクは?/BMJ(2025/09/05) 心不全入院へのダパグリフロジンの効果~DAPA ACT HF-TIMI 68試験/ESC2025(2025/09/05) 日本人双極症患者の労働生産性に対する抑うつ症状、認知機能低下の影響(2025/09/05) 65歳以上の高齢者、NSAIDsの腎機能への影響は?(2025/09/05) テストで良い点を取りたいならジャンピングジャックをすると良い?(2025/09/05) ウォーキングはペースを速めるほど効果が大きい(2025/09/05) 肺炎リスクから考える、ICU患者の「口腔ケア」(2025/09/05) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答12<下巻>(2017/02/07) スーさんの急変エコー 裏ワザ小ワザ (2017/01/07) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【神経内科編】(2016/12/07) Dr.林の笑劇的救急問答12<上巻>(2016/10/07) Dr.加藤の「これだけ眼科」(2016/10/07) イワケンの「極論で語る感染症内科」講義 (2016/08/07) 総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016 (2016/07/29) 総合内科専門医試験対策 アップデート問題はココが出る!2016 (2016/07/29) 感染症コンサルタント岸田が教える どこまでやるの!? 感染対策(2016/07/08)