高齢2型糖尿病、低過ぎるHbA1cは認知症リスク?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/03

 

 ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、糖尿病患者のQOL維持のための血糖コントロール改善の重要な指標とされているが、高齢者には低過ぎるHbA1cが害を及ぼす恐れがある。今回、金沢医科大学の森田 卓朗氏らの調査により、地域在住の高齢2型糖尿病患者において、HbA1cと要支援/要介護認定のリスクがJ字型を示すことが報告された。また、高齢の2型糖尿病患者での低過ぎるHbA1cが、認知症による後年の障害リスクに関連する可能性が示唆された。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年2月11日号に掲載。

 著者らは、血糖降下薬またはインスリンを投与されている65~94歳の糖尿病患者184例を調査した。エンドポイントは初回の要支援/要介護認定および/または死亡で、HbA1c(4区分)と要支援/要介護認定リスクおよび/または死亡との関係について、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて判定した。

 主な結果は以下のとおり。

・5年間に42例が初回の要支援/要介護認定を受け、13例が死亡した。

・HbA1cと要支援/要介護認定リスク(年齢、性別、交絡変数を調整)との関係は、HbA1cが6.5%以上7.0%未満で最低となるJ字型を示し、6.0%未満では要支援/要介護認定リスクが増加し、最低レベルに比べたハザード比(HR)は3.45(95%CI:1.02~11.6、p=0.046)であった。

・HbA1cが6.0%未満の患者では、6.0%以上の患者と比較し、(関節痛/骨折や脳卒中など他の障害ではなく)認知症によって要支援/要介護を認定されるリスクが高かった(HR:12.5、95%CI:3.00~52.2、p=0.001)。

(ケアネット 金沢 浩子)