日本語でわかる最新の海外医学論文|page:575

CKD治療抵抗性高血圧症、patiromer併用でスピロノラクトン服薬率上昇/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の慢性腎臓病(CKD)患者に対し、カリウム吸着薬patiromerを用いることで、より多くの患者が高カリウム血症を呈することなくスピロノラクトンによる治療が継続可能なことが示された。米国・インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らが、10ヵ国62外来医療センターを通じて行った第II相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。スピロノラクトンは、治療抵抗性高血圧症で血圧コントロール不良の患者において、降圧効果があることが示されている。しかし、CKDが併存する患者では高カリウム血症を呈することからスピロノラクトンの使用は制限される場合があることが課題となっていた。Lancet誌オンライン版2019年9月15日号掲載の報告。

FGFR阻害薬pemigatinibが胆管がんで高い奏効率(FIGHT-202)/ESMO2019

 独・ハノーヴァー医科大学のVogel.A氏は、既治療で線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体2(FGFR2)融合/再構成遺伝子を有する進行胆管がんに対する分子標的治療薬pemigatinib投与は有用との第II相試験結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表した。pemigatinibはインサイト社が開発中のFGFR1、FGFR2、FGFR3の選択的チロシンキナーゼ阻害薬。FGFR2融合遺伝子は、胆管がんの10~16%に発現するとされる。

福井大、臨床実習を「見える化」するシステムを開発・販売

 2019年9月、福井大学はICTを使った臨床実習の管理システムを開発、発売すると発表した。医学部の5、6年生が病院に出向いて行う臨床実習は、いまだに紙で管理されているケースが多い。結果として、電子カルテとの連携が限られる、管理や評価が煩雑、双方向コミュニケーションに限界がある、など多くの問題点が生じていた。  今回発表した「F.CESS(エフ・セス)」は福井大学が学内ベンチャーと共同で開発。実習スケジュール管理、実習用カルテの記載、評価、学生と教員のコミュニケーション、他科連携など、従来さまざまな手段で行われてきた臨床実習周りの機能を一元的に管理できるようにした。

インフルエンザ発症リスクは喫煙者で5倍超

 喫煙者は、非喫煙者と比較してインフルエンザの発症リスクが高い可能性が示唆された。英国・ノッティンガム大学のLawrence Hannah氏らは、喫煙とインフルエンザ感染との関連をシステマティックレビューで調査し、結果をThe Journal of infection誌2019年8月26日号に報告した。  研究グループは、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、LILACS、Web of Scienceのデータベースを、それぞれ創刊から2017年11月7日までの期間検索し、関連するランダム化比較試験、コホート研究および症例対照研究を特定した。臨床症状からインフルエンザを定義した研究6件と、検査でインフルエンザウイルスが確認された研究3件が対象とされた。

不安障害に対するベンゾジアゼピン長期使用~メタ解析

 不安障害の治療ガイドラインでは、ベンゾジアゼピン(BZD)の長期使用は認められていないが、実際の臨床現場では一般的に行われている。慶應義塾大学の新福 正機氏らは、不安障害に対するBZD長期使用に関するメタ解析を実施した。International Clinical Psychopharmacology誌2019年9月号の報告。  不安障害患者に対する13週以上のBZD長期使用における有効性を検討したランダム化比較試験(RCT)またはRCT後の維持研究を対象とし、2019年5月までに公表された研究をPubMedより検索した。その後、ベースラインからエンドポイントまでのハミルトン不安評価尺度(HAM-A)スコアの変化、すべての原因による中止、副作用、パニック発作回数に関してメタ解析を行った。

ribociclib+フルベストラント、HR+/HER2-閉経後乳がんでOS延長(MONALEESA-3)/ESMO2019

 ホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)の閉経後進行乳がんに対する、ribociclib+フルベストラント併用療法の有効性を検討した第III相MONALEESA-3試験の最新結果が発表され、全生存(OS)期間を有意に延長したことが明らかになった。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、米国・David Geffen School of MedicineのDennis J. Slamon氏が発表した。ribociclibについては、HR+/HER2-の閉経前進行乳がんにおいて、内分泌療法との併用がOSを有意に延長したことがMONALEESA-7試験により示されている。

周期性再分極動態、高値であるほどICDが有益/Lacnet

 周期性再分極動態(periodic repolarisation dynamics)は、虚血性/非虚血性心筋症患者において、予防的な植え込み型除細動器(ICD)の植え込み術に関連する死亡の予測に有用であることが、ドイツ・ミュンヘン大学病院のAxel Bauer氏らが行ったEU-CERT-ICD試験のサブスタディーで示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年9月2日号に掲載された。1次予防としてICDの植え込み術を受けた心筋症患者では、患者管理や技術の進歩に伴い悪性不整脈の発現は減少しているが、非虚血性心筋症では全死因死亡は改善されないとの報告があり、ICDの価値は一部のサブグループに限定される可能性が示唆されていた。また、約4人に1人が10年以内にデバイス感染症や不適切なショック(inappropriate shock)などの深刻な合併症を経験するという。周期性再分極動態は、心臓の再分極不安定性の交感神経活動に関連する低周波変動を定量化する新たな電気生理学的マーカーである。

アベマシクリブ+フルベストラント、HR+/HER2-乳がんのOS延長(MONARCH-2)/ESMO2019

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がんを対象とした、CDK4/6阻害薬アベマシクリブ+フルベストラントの併用療法とフルベストラント単独療法との比較試験(MONARCH-2試験)の結果が、スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・スタンフォード大学のGeorge W.Sledge氏によって発表された。 <試験概要> ・本試験は国際共同二重盲検第III相比較試験である。 ・対象:HR陽性HER2陰性乳がんで、術前ホルモン療法中か術後ホルモン療法の12ヵ月以内に再発・病勢進行(PD)が認められた症例、または進行再発がんに対する1次内分泌療法中のPD症例(閉経状況問わず。進行再発がんに対する化学療法薬の投与は認められていない)

オピオイド誘発性便秘わが国の実態(OIC-J)/Cancer Medicine

 オピオイド誘発性便秘(OIC)は、オピオイド疼痛治療で頻繁にみられる副作用だが、その発生率は報告によりさまざまで、十分に確立されているとはいえない。この発生率のばらつきは、臨床試験および横断研究におけるOICの診断基準の複数があることも要因である。  近年、大腸疾患の基準であるRome IVがOICの基準に取り入れられた。そのような中、Rome IV基準を用いた日本人がん性疼痛患者におけるOICの発生率を検討した多施設共同前向き観察研究の結果がCancer Medicine誌8月号で発表された。

統合失調症の認知機能に対する身体能力の影響

 統合失調症患者では、神経認知機能と身体能力が低下することがわかっているが、これら2つの因子の関連性を示すエビデンスは十分ではない。韓国・翰林大学校のJiheon Kim氏らは、統合失調症患者のさまざまな身体的パフォーマンスと認知機能との関連について、他の障害に関連する臨床症状を考慮したうえで、調査を行った。European Psychiatry誌2019年9月号の報告。  対象は、統合失調症患者60例。心肺持久力と機能的可動性の評価には、それぞれ踏み台昇降、supine-to-standing(STS)テストを用いた。実行機能とワーキングメモリの評価には、それぞれストループ課題、スタンバーグワーキングメモリ(SWM)課題を用いた。臨床症状の評価には、簡易精神症状評価尺度(BPRS)、うつ病自己評価尺度(BDI)、特性不安尺度(STAI)を用いた。神経認知に関連する予測因子を特定するために、関連する共変量で調整し、多変量解析を行った。

適切な治療法を届けたい、「バセドウ病治療ガイドライン2019」

 バセドウ病は1,000~2,000人に1人に発症する疾患であり、日常診療において遭遇率の高い疾患の1つである。なかでも、若い女性では約300人に1人が罹患しているとされ、妊娠中の検査で判明することも少なくない。  2019年5月、日本甲状腺学会によるバセドウ病治療ガイドラインが8年ぶりに改訂。本書は専門医だけではなく非専門医やそのほか医療者のバイブルになることを目的として作成されていることから、吉村 弘氏(伊藤病院/バセドウ病治療ガイドライン作成委員会委員長)に一般内科医にも知ってもらいたい改訂ポイントや「バセドウ病治療ガイドライン2019」の特徴について聞いた。

コメディカルによる地域包括ケア、心血管イベント抑制に効果/Lancet

 地域の状況を熟知したプライマリケア医と患者家族、地域住民の支援の下で、医師以外の医療従事者(NPHW)が行う包括的なケアは、血圧コントロールと心血管疾患リスクを実質的に改善することが、カナダ・マックマスター大学のJon-David Schwalm氏らが行ったHOPE 4試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年9月2日号に掲載された。高血圧は、世界的に心血管疾患の主要な原因である。高血圧のコントロールは、その有益性が証明されているにもかかわらず、十分に実施されていないという。Schwalm氏らは、コントロール不良および新規に診断された高血圧患者では、降圧治療とともに、地域の状況を詳細に分析して得られた他のリスク因子を改善する包括的なアプローチが、通常ケアに比べ有効性が高いとの仮説を立て、検証を行った。

ザンタック自主回収、海外での発がん性物質検出受け予防的措置―GSK

 グラクソ・スミスクライン(GSK、東京都港区)は、9月26日付でH2受容体拮抗薬「ザンタック」(一般名:ラニチジン塩酸塩)の一部製品につき、自主回収を発表した。海外において、発がん性物質であるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたとの報告を受け、同社では既に製品の出荷を停止し、調査・分析を進めている最中だが、予防的措置として自主回収に踏み切った。  自主回収の対象製品は、「ザンタック錠75」「ザンタック錠150」「ザンタック注射液50mg」「ザンタック注射液100mg」。

転移TN乳がん、GEM/CBDCAにtrilaciclib追加でOSが大きく改善/ESMO2019

 強力なCDK4/6阻害薬であるtrilaciclibは、その作用機序および前臨床試験から骨髄毒性の抑制および抗腫瘍作用の改善効果が期待されている。今回、転移を有するトリプルネガティブ乳がん(mTNBC)に対する多施設無作為化非盲検第II相試験において、ゲムシタビン/カルボプラチン(GEM/CBDCA)にtrilaciclibを追加することにより、全生存期間(OS)を有意に改善したことが報告された。一方、主要評価項目である好中球減少症の有意な抑制効果は示されなかった。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Texas Oncology-Baylor Sammons Cancer CenterのJoyce O'Shaughnessy氏が発表。なお、本試験結果はLancet Oncology誌オンライン版9月28日号に同時掲載された。

シニアに必要な視力の健康

 9月11日、バイエル薬品株式会社は、都内において「人生100年時代の生き方・老い方会議~100年ずっと見える人生のために~」をテーマに講演会を開催した。  第2回となる今回のテーマは「見えることの重要性」で、講演会では一般のシニア約100名を前に、眼科医師による眼の健康とシニアの生き方の講演や現役で活躍するシニアの代表が登壇し、健康に生きる秘訣などを語った。  同社では、今後も世界各国でヘルシーエイジング(健康的で幸せに歳を重ねていく)活動の応援を推進するとしている。

高齢者における魚摂取量と認知症発症リスクの関連~大崎コホート2006

 魚類は、認知機能低下を予防する多くの栄養素を含んでいる。したがって、習慣的な魚類の摂取は、認知症発症リスクの低下に寄与する可能性が示唆されている。しかし、認知症発症と魚類の摂取を調査したプロスペクティブコホート研究は少なく、それらの調査結果は一貫していない。東北大学の靏蒔 望氏らは、魚類の摂取量と認知症発症リスクを評価するため、大崎コホート研究のデータを用いて検討を行った。The British Journal of Nutrition誌2019年9月3日号の報告。

H. pylori除菌と栄養補助、胃がん抑制に効果/BMJ

 2週間のHelicobacter pylori除菌治療と7年間のビタミンまたはニンニクの補助食品による3つの介入は、それぞれ22年以上にわたり胃がんによる死亡のリスクを有意に改善し、除菌とビタミン補助は胃がんの発生も抑制することが、中国・Peking University Cancer Hospital and InstituteのWen-Qing Li氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年9月11日号に掲載された。H. pylori感染は胃がんの確立されたリスク因子であり、その除菌は胃がんの予防戦略となりうる。一方、胃がんの予防におけるH. pylori除菌治療の効果の持続期間や、関連のあるすべての有益な作用および有害な作用を知るには、長期の追跡調査を要する。胃がんに及ぼす栄養補助食品の効果の評価にも長期の調査が必要とされている。

PPCI前の遠隔虚血プレコンディショニング、STEMI予後に有意義か/Lancet

 プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PPCI)を受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者では、PPCI前に遠隔虚血コンディショニング(remote ischaemic conditioning:RIC)を行っても心臓死/心不全による入院は減少しないことが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのDerek J. Hausenloy氏らが行ったCONDI-2/ERIC-PPCI試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年9月6日号に掲載された。RICは、上腕に装着したカフの膨張と解除を繰り返すことで、一時的に虚血と再灌流を引き起こす。これにより、PPCIを受けるSTEMI患者の心筋梗塞の大きさが20~30%縮小し、臨床アウトカムが改善すると報告されていたが、十分な検出力を持つ大規模な前向き研究は行われていなかった。

蛇足の教え(解説:今中和人氏)-1116

SYNTAX試験は冠動脈3枝病変ないし主幹部病変症例に対する、バイパス手術と薬剤溶出ステントを比較した、まさにランドマークとなる多施設ランダム化試験で、予定観察期間の5年成績が公表されたのは2014年。死亡のほかに心筋梗塞、脳卒中、再血行再建などが解析され、ある程度の複雑病変(3区分でintermediateとなるSYNTAXスコア23以上)の症例にはバイパス手術が適切であると明瞭に示す、キレイな結果であった。循環器領域だけでも「この議論、いつまでやるんですか?」という案件はさまざまあれど、冠動脈疾患に対する治療法選択はその横綱格。SYNTAX試験の最終結果を見て、私などは「やっとこれで結論が出た」と半ば安堵する思いだったのだが、寡聞に過ぎた。あれから5年経ち、生命予後をさらに5年追跡したSYNTAX extended survival、すなわちSYNTAXES試験がこの論文である。