日本語でわかる最新の海外医学論文|page:401

ALK陽性肺がん1次2次治療にブリグチニブ国内承認/武田薬品

 武田薬品工業は、2021年1月22日、ブリグチニブ(商品名:アルンブリグ)について、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を適応とする1次および2次以降の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は主に、ALKチロシンキナーゼ阻害薬治療後に増悪したALK融合遺伝子陽性(ALK陽性)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)患者72例を対象とした国内臨床第II相試験であるBrigatinib-2001 (J-ALTA)およびALKチロシンキナーゼ阻害薬による治療歴のないALK陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象とした海外臨床第III相試験であるAP26113-13-301(ALTA-1L)の結果に基づくもの。

非小細胞肺がん、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の1次治療の成績(CheckMate 9LA)/Lancet Oncol

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療において、ニボルマブとイピリムマブにさらに2サイクル限定の化学療法を追加することで臨床的利益がさらに高まることが先の国際学会で示されているが、その第III相試験CheckMate 9LA試験の結果が、Lancet Oncology誌に掲載された。  同試験は19ヵ国103施設で実施された。適格患者は18歳以上の未治療のStageIVまたは再発のNSCLC、ECOG PSは0〜1であった。患者はニボルマブ(360mg 3週間ごと)+イピリムマブ(1mg/kg 6週間ごと)+組織型別化学療法2サイクル(3週ごと2サイクル)群(以下、NIVO+IPI+Chemo群)と組織型別化学療法(3週ごと4サイクル)群(以下、Chemo群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、全無作為割付患者の全生存期間(OS)であった。

片頭痛に対する抗CGRP抗体ガルカネズマブの有効性~メタ解析

 片頭痛は、頭痛のいくつかのエピソードによりみられる神経学的症候群である。片頭痛の病態生理においてカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、重要な役割を果たしているといわれている。ガルカネズマブは、CGRPに特異的に結合し、CGRPの受容体への結合を阻害するモノクローナル抗体である。サウジアラビア・Alfaisal UniversityのAhmed Abu-Zaid氏らは、片頭痛のマネジメントに対するガルカネズマブ(120mgまたは240mg)の有効性を評価したすべてのランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Cureus誌2020年11月22日号の報告。

退院1ヵ月後の統合失調症患者の健康状態に影響を及ぼす要因

 統合失調症を含む精神疾患患者の健康状態を良好に保つためには、退院から地域や家庭へなじむまでの期間が重要となる。タイ・マヒドン大学のAnantree Smithnaraseth氏らは、健康状態に影響を及ぼす患者および病院の要因を調査し、退院後30日間でどのような影響が認められるかを検討した。BMC Psychiatry誌2020年12月14日号の報告。  対象は、統合失調症患者1,255例およびタイの公立精神科病院13施設の主介護者。退院後30日間における患者および病院の要因が患者の健康状態に及ぼす影響を調査するため、ロジスティック回帰、マルチレベルロジスティック回帰を用いた。

新型コロナ、5割以上が無症状者から感染/CDC

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に、どのくらい無症状の感染者が関与しているのだろうか。米国疾病管理予防センター(CDC)のMichael A. Johansson氏らが、無症状の感染者からの感染割合について決定分析モデルを用いて検討した結果、全感染の半分以上を占めることが示唆された。JAMA Network Open誌2021年1月7日号に掲載。  CDCではこの決定分析モデルを用いて、症状が発現しないままの人からの感染割合と感染期間を変化させた複数のシナリオについて、症状発現前の人、症状が発現しないままの人、症状のある人からの感染の相対量を検討した。すべての推定において、潜伏期間はメタ解析のデータより中央値を5日間として設定した。感染期間は10日間とし、感染のピークは3〜7日で変化させた(潜伏期間中央値の-2〜+2日)。全体的なSARS-CoV-2の割合は、可能な割合で幅広く評価するために0~70%で変化させた。主要アウトカムは、症状発現前の人、症状が発現しないままの人、症状のある人からのSARS-CoV-2の感染とした。

急性虫垂炎、経口抗菌薬単独での効果は?/JAMA

 合併症のない急性虫垂炎の成人患者において、7日間の経口モキシフロキサシンによる治療(経口抗菌薬単独治療)と、2日間のertapenem静脈内投与を行い、続いて5日間のレボフロキサシンおよびメトロニダゾールを投与する治療(抗菌薬静脈内投与-経口治療)を比較した結果、両群の治療成功率はともに65%を超え、治療成功に関する経口抗菌薬単独治療の抗菌薬静脈内投与-経口治療に対する非劣性は示されなかった。フィンランド・トゥルク大学のSuvi Sippola氏らが、同国内9病院を対象に行った多施設共同非盲検無作為化非劣性試験「APPAC II試験」の結果を報告した。抗菌薬は、合併症のない急性虫垂炎の治療において手術に代わる効果的で安全な治療となっている。しかし、至適な抗菌薬レジメンは不明であった。JAMA誌オンライン版2021年1月11日号掲載の報告。

J&Jの新型コロナワクチン、 安全性と免疫原性を確認/NEJM

 開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規ワクチン候補Ad26.COV2.Sは、18~55歳および65歳以上のいずれの集団においても、良好な安全性と免疫原性プロファイルを示すことが、オランダ・Janssen Vaccines and PreventionのJerald Sadoff氏らが行ったCOV1001試験の中間解析で明らかとなった。これらの知見は、このワクチンのさらなる開発の継続を支持するものだという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年1月13日号に掲載された。Ad26.COV2.Sは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の完全長・安定化スパイク(S)蛋白質をコードする遺伝子組み換え非増殖型アデノウイルス血清型26(Ad26)ベクターで、武漢株の最初の臨床分離株に由来する。Ad26ベクターは、欧州医薬品庁(EMA)の承認を受けたエボラワクチンや、RSウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ジカウイルスのワクチン候補として使用されており、Ad26ベクターをベースとするワクチンは一般に安全で、免疫原性が高いとされる。

ミオシン活性化薬は駆出率の低下した心不全の予後を若干改善する(解説:佐田政隆氏)-1344

omecamtiv mecarbilは2011年にScience誌に動物実験の結果が発表されたミオシン活性化薬である。心筋ミオシンに選択的に結合して、ミオシン頭部とアクチン間のATPを消費して生じる滑走力を強め、強心効果が示されている。平滑筋や骨格筋のミオシンには作用しないという。今までの臨床試験でも、短期間の観察で心機能を改善することが示されており、新しい機序の心不全治療薬として期待されていた。そのomecamtiv mecarbilに関する二重盲検の第III相試験の結果である。昨年、米国心臓協会学術集会で発表され、同時にNew England Journal of Medicine誌に公開された。

新規作用機序で片頭痛発作の発症を抑制するエムガルティが承認/日本リリー・第一三共

 ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤「エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター、皮下注120mgシリンジ」(一般名:ガルカネズマブ(遺伝子組換え))について、2021年1月22日、「片頭痛発作の発症抑制」の効能又は効果で、国内製造販売承認を取得したことを日本イーライリリーと第一三共が発表した。  本剤はイーライリリー・アンド・カンパニーにより創製されたヒト化抗CGRPモノクローナル抗体で、新規作用機序を持つ片頭痛発作の発症を抑制する薬剤として開発された。

コロナ受け入れ病院の緊急支援金、申請は2月まで/日医

 日本医師会・松本 吉郎常任理事が、新型コロナ患者受け入れ病床のさらなる確保を目的とした緊急支援事業補助金について記者会見で解説した。なお、この補助金は昨年末に厚労省から通知が出され、1月7日に緊急事態宣言の発令を受け改正されたもの。この度、対象条件などを明確化したリーフレットが発行された。申請期限は2月28日まで。  補助金の対象医療機関は、病床が逼迫している都道府県において新型コロナ患者・疑い患者の受け入れ病床を割り当てられている医療機関とされ、12/25~2/28までの最大確保病床数に応じて補助額の上限が計算される(12/24以前から継続している確保病床も対象となる)。

日本のがん遺伝子パネル検査、初回評価の結果は?/Int J Clin Oncol

 日本では2019年6月にがん遺伝子パネル検査が保険収載され、専門家で構成されるmolecular tumor board(エキスパートパネル)を備えた施設が検査実施施設として当局より指定されている。その実績に関する評価の結果が報告された。エキスパートパネルの標準化は、臨床現場でのがんゲノム医療の実装に重要な課題である。国立がん研究センター中央病院の角南 久仁子氏らは、中核病院でのエキスパートパネルの実績について初期評価を行い、臨床的意義付けの標準化についてさらに調査が必要であることを示した。International Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2021年1月1日号掲載の報告。

がん悪液質にアナモレリン国内承認、世界初/小野薬品

 小野薬品工業とHelsinn Groupは、2021年1月22日、グレリン様作用薬であるアナモレリン(商品名:エドルミズ)について、「悪性腫瘍(非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がん)におけるがん悪液質」の効能又は効果で国内製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は、国内でがん悪液質患者を対象に実施した以下の2つの臨床試験の結果などに基づいたもの。

双極I型うつ病に対するルラシドンの長期治療

 日本人を含む多民族の双極性うつ病の短期治療に対する抗精神病薬ルラシドンの有効性が示唆されている。CNS薬理研究所の石郷岡 純氏らは、双極性うつ病患者に対するルラシドンの長期治療に対する有効性および安全性を評価するため、28週間のオープンラベル試験での検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年12月8日号の報告。  ルラシドン(20~60mg/日、80~120mg/日)およびプラセボの6週間二重盲検比較試験を終了した患者を28週間の延長試験の対象とした。延長試験では、ルラシドン20~120mg/日のフレキシブルドーズで投与した。安全性については、有害事象、バイタルサイン、体重、心電図、臨床検査、自殺傾向、錐体外路症状の延長試験時のベースラインからエンドポイントまでの変化を評価した。有効性については、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)およびほかの指標で評価した。

院外心停止、蘇生中の亜硝酸ナトリウムは入院時生存を改善せず/JAMA

 院外心停止患者において、亜硝酸ナトリウムの投与はプラセボと比較して、入院までの生存を改善しないことが、米国・ワシントン大学のFrancis Kim氏らによる第II相無作為化二重盲検プラセボ比較臨床試験の結果、明らかとなった。心停止の動物モデルでは、蘇生中の亜硝酸ナトリウムの治療的投与により生存率が改善することが認められているが、臨床試験における有効性の評価はこれまで行われていなかった。著者は今回の結果を受け、「院外心停止において蘇生中の亜硝酸ナトリウム投与は支持されない」とまとめている。JAMA誌2021年1月12日号掲載の報告。

COVID-19の回復期血漿療法、高力価vs.低力価/NEJM

 人工呼吸器未装着の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、抗SARS-CoV-2 IgG抗体価が高い血漿の投与は低力価の血漿の投与と比較して、死亡リスクが低下することが明らかとなった。米国・メイヨー・クリニックのMichael J. Joyner氏らが、全米レジストリのCOVID-19回復期血漿拡大アクセスプログラムに参加した患者データを後ろ向きに解析し報告した。回復期血漿療法は、COVID-19から回復した患者の血漿に、SARS-CoV-2への治療用抗体が存在し、その血漿をレシピエントに投与可能であるという推定の下で、COVID-19の治療法として広く利用されている。しかし、高力価血漿が低力価血漿よりも死亡リスク低下と関連するかについては不明であった。NEJM誌オンライン版2021年1月13日号掲載の報告。

DOAC でどこまで攻めるか?心房細動を合併した弁置換術後の場合(解説:香坂俊氏)-1345

ワルファリンの有効な代替薬としてDOACが販売されるに至り、さまざまな病態に関して抗血栓治療に関する知見が集まりつつある(本当に2011年以降たくさんのエビデンスが出てきている)。まず心房細動や静脈血栓症といった従来からワルファリンが第1選択とされる病態に対してDOACが有効な代替薬であるということが示された。さらにその後、安全性(副作用としての出血の発症率)に関しては完全に勝るというところが定着し、現在たとえば新規心房細動に対してのDOACの処方率は7割を越えている。最近では、そこからさらに心房細動を合併する冠動脈疾患患者に対しては抗血小板治療を最小限に抑えてよい(ステントなどを使用して抗血小板薬を2剤使用しなくてはならない患者はなるべく早期に1剤に落とし、その後落ち着いて1年ぐらいたったらその1剤も落として抗凝固薬だけに絞る)という知見が得られるに至っている。

治療フローが様変わり、「肝硬変診療ガイドライン2020」の変更点とは

 肝硬変の非代償期と聞けば誰しもが諦めていたものだが、時代遅れと言われぬよう、この感覚をアップデートさせねばならないようだー。2020年11月、『肝硬変診療ガイドライン2020(改定第3版)』が発刊された。第2版が発刊された2015年から5年もの間に肝硬変治療に関する知見が数多く報告され、治療法は目まぐるしく変化している。そのため、海外の最新治療ガイドライン(GL)と齟齬がないように、かつ日本の実地診療に即したフローとなるよう留意し、日本肝臓学会と日本消化器病学会が対等の立場で初めて合同作成した。今回、その作成委員長を務めた吉治 仁志氏(奈良県立医科大学消化器・代謝内科 教授)に非専門医もおさえておくべき変更点やGLの活用方法についてインタビューした。

新型コロナ、トイレでの感染リスクは?

 中国・江蘇省疾病予防管理センターの研究者らが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者専用病院内のトイレとトイレ以外での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出状況を調査するため、環境サンプリングを収集し、環境要因を分析した。その結果、SARS-CoV-2陽性を示した4点のサンプルはすべて患者トイレに関連するもので、病棟のドアハンドル、便座カバー、バスルームのドアハンドルから検出された。Science of The Total Environment誌2021年1月20日号掲載の報告。  研究者らはCOVID-19データとして空気流及びCO2濃度の測定を実施。表面サンプルを107点、空気サンプルを46点、隔離室(1部屋3ベッド)内外の呼気凝縮液サンプルと呼気サンプルを2点ずつ収集し、分析した。

irAE対策のステロイド投与は肺がんのOSに影響を与えず/Eur J Cancer

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療中の進行肺がん患者において、ステロイド投与は生存アウトカムに影響するのか。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のMarcus Skribek氏らが、同院の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者について分析を行った結果、免疫関連の有害事象(irAE)を理由としたステロイド投与は、ICI治療の有効性を妨げないと考えられることが示された。一方で、がん緩和ケアを目的とした高用量ステロイド投与は、予後不良となる可能性を示唆するものであることが示されたという。European Journal of Cancer誌オンライン版2021年1月5日号掲載の報告。

日本人就労者における不眠症治療経過と作業機能障害との関係

 睡眠障害、とくに不眠症に対する薬物治療の治療段階が、日本人就労者の日中の仕事に及ぼす影響について、産業医科大学の大河原 眞氏らが、検討を行った。PLOS ONE誌2020年12月10日号の報告。  対象は、日本の企業15社において2015年に実施した作業機能障害のアンケート調査の回答者3万6,375人。公的健康保険のレセプトデータベースより抽出した回答者の医療データとアンケート結果を一緒に分析した。作業機能障害の測定には、作業機能障害スケール(WFun)を用いた。不眠症の治療状況は、過去16ヵ月の健康保険レセプトデータより抽出した、疾患や処方薬のデータを用いて把握した。治療中および治療期間外における重度の作業機能障害のオッズ比を推定するため、ロジスティック回帰分析を用いた。