急性虫垂炎、経口抗菌薬単独での効果は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2021/01/25

 

 合併症のない急性虫垂炎の成人患者において、7日間の経口モキシフロキサシンによる治療(経口抗菌薬単独治療)と、2日間のertapenem静脈内投与を行い、続いて5日間のレボフロキサシンおよびメトロニダゾールを投与する治療(抗菌薬静脈内投与-経口治療)を比較した結果、両群の治療成功率はともに65%を超え、治療成功に関する経口抗菌薬単独治療の抗菌薬静脈内投与-経口治療に対する非劣性は示されなかった。フィンランド・トゥルク大学のSuvi Sippola氏らが、同国内9病院を対象に行った多施設共同非盲検無作為化非劣性試験「APPAC II試験」の結果を報告した。抗菌薬は、合併症のない急性虫垂炎の治療において手術に代わる効果的で安全な治療となっている。しかし、至適な抗菌薬レジメンは不明であった。JAMA誌オンライン版2021年1月11日号掲載の報告。

経口抗菌薬単独治療vs.抗菌薬静脈内投与-経口治療の無作為化試験

 APPAC II試験は、2017年4月~2018年11月に行われ、CTで合併症のない急性虫垂炎が確認された18~60歳の患者599例が試験に登録された。

 被験者は、経口抗菌薬単独治療群(7日間の経口モキシフロキサシン400mg/日、295例)または抗菌薬静脈内投与-経口治療群(2日間のertapenem静脈内投与[1g/日]、続いて5日間の経口レボフロキサシン[500mg/日]および経口メトロニダゾール[500mgを3回/日]、288例)に無作為に割り付けられ、追跡評価を受けた。

 主要エンドポイントは、両群の治療成功(65%以上)で、手術を行うことなく病院から退院し1年間のフォローアップ中に虫垂炎の再発がないことと定義した。また、経口抗菌薬単独治療群の、抗菌薬静脈内投与-経口治療群に対する非劣性(両群差マージン6%)も確認した。

1年時点の治療成功率70.2% vs.73.8%で有意差なし

 無作為化を受けた599例(平均年齢36[SD 12]歳、女性263例[44%])のうち、581例(99.7%)について1年間のフォローアップデータが入手できた。最終フォローアップ日は、2019年11月29日。

 1年時点の治療成功率は、経口抗菌薬単独治療群70.2%(片側95%信頼区間[CI]:65.8~∞)、抗菌薬静脈内投与-経口治療群73.8%(69.5~∞)であった。

 群間差は、-3.6%(片側95%CI:-9.7~∞)で、信頼区間値がマージンを超えており、非劣性は確認できなかった(非劣性のp=0.26)。