日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1079

新型インフルエンザ、健康体でも重篤な呼吸不全のおそれがある

本論は、メキシコの国立呼吸器疾患研究所のRogelio Perez-Padilla氏らによる、NEJM誌オンライン版2009年6月29日に発表された論文。2009年3月後半、メキシコで多発した呼吸器疾患は、その後の調査で、新型のブタ由来インフルエンザA型(H1N1)ウイルス(S-OIV)によるものであることが判明した。本論は、メキシコ市にある国立第三次呼吸器疾患病院に肺炎で入院し、検査の結果、このいわゆる新型インフルエンザと診断された症例の臨床像および疫学的特性についての報告である。本誌ではNEJM誌2009年8月13日号で掲載された。

新型インフル、感染防止対策はまず若年層に集中するべき

本論は、米国NIHのGerardo Chowell氏らによる、NEJM誌オンライン版2009年6月29日に発表された論文。2009年春、メキシコから重症肺炎の集団発生が報告された同時期に、新型インフルエンザのウイルス株分離の報告がされたことを踏まえ、ウイルスがもたらす重症疾患のリスク因子に関する情報や、感染管理を見通す方法を得るため、メキシコ発の重症肺炎について解析を行ったもの。本誌では2009年8月13日号にて掲載された。

地中海式ダイエット食、認知症とは無関係? 認知機能低下は抑制する?

フランスUniversite Victor Segalen Bordeaux 2のCatherine Feart氏らは、地中海式ダイエット食を摂っている高齢者に、認知能力試験の1つ、ミニメンタル・ステート試験(MMSE)スコアの低下が認められたが、その他の認知能力試験の結果には、関連は見られなかったことを報告した。併せて、地中海式ダイエット食と認知症の発症リスクとには関連が認められなかったとも報告している。1,400人超のフランス人高齢者を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年8月12日号で発表した。

地中海式ダイエット食が、アルツハイマー型認知症リスクを低減する?

米国ニューヨークTaub Institute for Research in Alzheimer’s Disease and the Aging BrainのNikolaos Scarmeas氏らは、地中海式ダイエット食および運動は、いずれもアルツハイマー型認知症の発症リスクを有意に低減すると報告している。地中海式ダイエット食が少ない人と比べると、多い人は同リスクが約4割減少、また運動をよくする人はしない人に比べると、同リスクが約3割強減少するという。JAMA誌2009年8月12日号で発表した。

若年女性に対する子宮頸がんスクリーニングは有効か?

22~24歳の女性に子宮頸がんスクリーニングを実施しても、29歳までの発がんを抑制する効果はないが、より年齢の高い女性では発がんおよびがん死の大幅な低減効果が認められることが、イギリスLondon大学クイーンメアリー校医学部のPeter Sasieni氏らが実施した症例対照研究で判明した。子宮頸がんのスクリーニングはその便益と弊害のバランスをとるために注意深い解析を要する複雑なプロセスであり、無理のないコストで便益が得られることを社会に対して示すことが重要だという。イギリスでは20~24歳の女性のスクリーニングが国民レベルの議論の的となり、喫緊の重要課題とされている。BMJ誌2009年8月8日号掲載(オンライン版2009年7月28日号)の報告。

HPV 16の短期的持続感染は、数年後の子宮頸がん初期病変を強く予測する

登録時と1年後の遺伝子検査で2回とも発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV)が検出(短期的持続感染)された女性は、数年後に子宮頸がんの初期病変としての子宮頸部上皮内がん(CIN)を発現する可能性が有意に高いことが、アメリカ国立がん研究所疫学・遺伝学部門のPhilip E Castle氏らがコスタリカで実施したコホート研究で判明した。発がん性HPVの持続感染は子宮頸部異常のリスクを増大させることがわかっており、スクリーニング法としてHPVの発がん性の遺伝子型に関するDNA検査の導入が進んでいる。HPV遺伝子検査は高い信頼性を持つが、従来の細胞診に比べ感受性は高いものの特異度が劣るという。BMJ誌2009年8月8日号掲載(オンライン版2009年7月28日号)の報告。

Multaq、カナダで承認

サノフィ・アベンティス株式会社は19日、心房細動を現在発症しているか、または過去に発症したことがある患者の心血管系の理由による入院のリスクを減少することを適応症として、Multaq(一般名:dronedarone)400mg錠がカナダ保健省から承認されたことを発表した。2009年7月1日に米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)から受けた承認に続き、今年2件目となる。

喘息維持療法用の配合剤を米国で申請

シェリング・プラウ株式会社は18日、米国本社が7月22日(現地時間)に米国においてモメタゾンフランカルボン酸エステルとフォルモテロールフマル酸エステルの固定用量での合剤の新薬承認申請(NDA)を行い、米国食品医薬品局(FDA)による承認審査が受理されたことを受け、FDAに対して、12歳以上の患者における喘息の維持療法として、モメタゾンフランカルボン酸エステル/フォルモテロールフマル酸エステルの合剤の製造販売承認の申請をしたことを発表した。

「ピタバスタチンカルシウム」の台湾・インドネシアにおけるライセンス契約締結

興和株式会社(以下「興和」)と田辺三菱製薬株式会社(以下「田辺三菱」)は18日、両社連結子会社である台田薬品股フェン有限公司(本社:台湾台北市、以下「台田薬品」)およびタナベインドネシア(本社:インドネシアジャカルタ首都特別州)が、高コレステロール血症治療剤「ピタバスタチンカルシウム(一般名、以下「ピタバスタチン」)」(日本国内での販売名:リバロ錠)について、各々、台湾およびインドネシアを対象とした独占的開発・販売実施権の許諾に係るライセンス契約を締結したと発表した。

早期関節リウマチ、メトトレキサートとの併用薬としてTNF阻害薬が有効

 メトトレキサート(MTX)(商品名:リウマトレックスなど)単剤療法で良好な結果が得られなかった早期関節リウマチ(RA)患者においては、MTXへの追加併用薬として腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬が、従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)よりも高い有用性を示すことが、スウェーデンKarolinska大学病院リウマチクリニックのR F van Vollenhoven氏らが実施した無作為化試験(Swefot試験)の1年間の解析で明らかとなった。早期RAに対する新たな治療戦略は急速な進展をみせている。MTXとTNF阻害薬の併用療法はMTX単剤療法よりも高い効果を示すが、MTX単剤でも20~40%の症例で良好な臨床効果が得られるという。Lancet誌2009年8月8日号掲載の報告。

新型インフルエンザ感染妊婦は迅速に治療を

汎発性H1N1 2009インフルエンザウイルスに感染した妊婦は重症化しやすく、合併症をきたして入院に至る可能性が高いため、確定例のみならず可能性例を含め迅速に治療を開始すべきことが、アメリカ国立慢性疾患予防・健康増進センターのDenise J Jamieson氏らが実施した調査で明らかとなった。アメリカを含む世界規模で広範に発生した発熱性呼吸器感染症の原因として、汎発性H1N1 2009インフルエンザウイルスが同定された。症状は軽度~重度までさまざまだが、妊婦への影響に関する報告はほとんどないという。Lancet誌2009年8月8日号(オンライン版2009年7月29日号)掲載の報告。