アトピー性皮膚炎患者の「痒み」に対するタクロリムスの有用性とは?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/05/23

 



アトピー性皮膚炎(AD)が原因となって起こる痒みは、ステロイド外用薬による治療ではコントロールできないケースもあるが、タクロリムス軟膏の使用により、難治性の痒みが緩和する例が臨床現場ではたびたび経験される。九州大学の竹内氏らは、AD治療の寛解導入療法、維持療法におけるタクロリムス軟膏の抗掻痒効果を確かめるべく、多施設共同無作為化オープンラベル試験を実施した。ANNALS OF DERMATOLOGY誌2012年5月号(オンライン版2012年4月26日号)の報告。



試験開始にあたり、患者は、寛解導入療法後にタクロリムス軟膏単剤で維持される群と、皮膚軟化剤のみで維持される群の2群に無作為に割り付けられた。寛解導入療法では、低用量のステロイド外用薬(<10g/週)に追加してタクロリムス軟膏および皮膚軟化剤が使用された。寛解導入療法で痒みが軽減した患者は維持療法に移行し、維持療法における痒みの再発を主要エンドポイントとして検証した。

主な結果は次のとおり。

・寛解導入療法後、64.7%の患者(44/68名)に痒みの軽減がみられた。
・タクロリムス単剤群では、維持療法期において、23.8%(5/21名)に痒みが再発した。
・一方、皮膚軟化剤群では、維持療法期において、100%(21/21名)で痒みが再発した。
・両群間の差は統計的に有意であった。

ADにおける痒みのコントロールにおいて、タクロリムス軟膏の使用は皮膚軟化剤と比較して効果的であることが証明された。

(ケアネット 藤井 美佳)

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