生殖医療技術後の先天異常リスク増大に、母胎要因がどこまで関わっているのか

提供元:ケアネット

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公開日:2012/05/23

 



個々のレジストリ研究やメタ解析など研究成果から、体外受精(IVF)や卵細胞質内精子注入法(ICSI)は先天異常リスクを増大するというエビデンスは一貫して認められている。オーストラリア・アデレード大学のMichael J. Davies氏らは、これまで検討されていなかった、そうした生殖補助医療技術を受けた後に増大が認められる先天異常リスクが、親の特性とどこまで関連しているかについて調査した。NEJM誌2012年5月10日号(オンライン版2012年5月5日号)掲載報告より。

約31万例の出産を対象に、先天異常リスク増大について母親の背景因子別に比較調査




研究グループは、南オーストラリア州の生殖補助技術治療の実態調査結果と、妊娠20週以上または出生時体重400g以上での出産と死産に関する登録記録、および先天異常に関するレジストリ(脳性麻痺、全妊娠期間中での異常による中絶を含む)との関連づけを行った。

5歳の誕生日までに診断された先天異常のリスクについて、母親が(1)生殖補助医療技術の治療を受けた妊娠のケース、(2)過去に生殖補助医療を受けたことがあるが自然妊娠であったケース(すなわち生殖補助医療を受けたケースではない)、(3)不妊症の既往はあるが生殖補助医療技術の治療を受けていない妊娠のケース、(4)不妊症の既往がない妊娠のケース、で比較検討した。

オッズ比は、未補正解析と、多変量補正後解析(母胎年齢、胎児の性別、母親の人種、妊娠中の喫煙など)を算出して検討した。
体外受精、卵細胞質内精子注入法後のリスク増大は?




調査対象となった出産件数は30万8,974例で、そのうち6,163例が生殖補助医療を受けての妊娠だった。

生殖補助医療を受けての分娩例における先天異常は513例(8.3%)で、受けていない分娩での先天異常1万7,546例(5.8%)と比べて、有意なリスク増大が認められた(未補正オッズ比:1.47、95%信頼区間:1.33~1.62)。同リスクについて多変量補正後のオッズ比は1.28(95%信頼区間:1.16~1.41)で、リスクは減弱したが有意なままであった。

体外受精での分娩例における先天異常は165例(7.2%)で、未補正オッズ比1.26(95%信頼区間:1.07~1.48)、多変量補正後オッズ比は1.07(同:0.90~1.26)であった。一方、卵細胞質内精子注入法での分娩例における先天異常は139例(9.9%)で、未補正オッズ比1.77(同:1.47~2.12)、多変量補正後オッズ比は1.57(同:1.30~1.90)だった。

不妊症の既往がある場合は、生殖補助医療を受けたか否かにかかわらず、先天異常との有意な関連が認められた。

これら結果を踏まえてDavies氏は生殖補助医療技術と先天異常リスク増大に関して、「体外受精後の先天異常リスクの増大は、親の背景因子で補正後は減弱し有意ではなくなった。一方、ICSIに関しては、補正後もリスクは増大したままだった。ただしその関連の継続については残余交絡の可能性が排除できない」とまとめている。

(朝田哲明:医療ライター)