日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1067

「法研 六訂版 家庭医学大全科」CD-ROM版を新発売

ロゴヴィスタ株式会社は1日、パソコン用電子辞典「LogoVista電子辞典シリーズ」の新作として、Windows版および、Macintosh版『法研 六訂版 家庭医学大全科』を、2010年11月26日より発売することを発表した。パソコンショップ、カメラ系量販店、大手書店、ダウンロードサイトなどで販売するとのこと。

世界初、ビタミンE浸漬浸透人工股関節ライナー第二世代が日本発売

バイオメット・ジャパン株式会社は1日、ビタミンE浸漬(しんせき)/浸透(しんとう)によって、高強度を保ったまま、抗酸化性、低摩耗を獲得した第二世代ハイリークロスリンクポリエチレン(以下HXLPE)採用の人工股関節ライナー「E1 HIP リングロックライナー」を、同日より日本に導入すると発表した。この製品は、世界初のビタミンEを含んだ人工股関節ライナーであり、摩耗を抑制する材料として期待されているという。

抗凝固療法のマネジメント、自己測定管理 vs 外来管理

ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)抗凝固療法の効果を臨床で十分に享受するためのマネジメント方法について、有望な戦略と示唆されていた自宅で測定できる携帯型指穿刺装置を使った自己測定管理が、外来で行う質の高い静脈血漿検査による測定管理にまさらなかったことが報告された。全米28の退役軍人病院から約2,900人が参加した、Durham退役軍人病院のDavid B. Matchar氏らによる前向き無作為化非盲検試験「THINRS」からの報告で、NEJM誌2010年10月21日号で掲載された。これまで報告されていたほど、初発の脳卒中・大出血・死亡までの期間について、毎週行う自己測定管理が毎月の外来管理と比べ長くはなかったという。

新生児聴覚スクリーニング、生後2週間までに実施が発達アウトカム良好

新生児聴覚スクリーニングは、生後2週間までに行った方が、生後9ヵ月に実施するよりも、永久小児聴覚障害児の3~5歳時点での発達アウトカムが良好であることが、オランダ・ライデン大学メディカルセンターのAnna M. H. Korver氏らが、約57万人の小児を対象に行った試験で明らかになった。新生児聴覚スクリーニングは世界各国で実施されているが、同プログラム実施時期を支持する確固たるエビデンスはほとんどない。JAMA誌2010年10月20日号発表より。

閉経後女性へのホルモン補充療法、乳がん死亡リスクも増加の傾向

閉経後女性への、エストロゲン+プロゲスチンのホルモン補充療法は、侵襲性乳がんやリンパ節転移陽性のリスクが増加すること、乳がんによる死亡のリスクも同併用療法とともに増加する傾向にあることが報告された。米国UCLAメディカルセンターのRowan T. Chlebowski氏らが、約1万7,000人の女性をおよそ11年追跡した「Women’s Health Initiative」(WHI)から明らかにしたもので、JAMA誌2010年10月20日号で発表した。すでに発表された追跡期間約8年のWHIの結果で、エストロゲン+プロゲスチン投与により乳がんリスクが増加することは明らかになっていたが、乳がん死亡率については未報告だった。

妊婦へのDHAサプリメント、産後うつや子どもの発達に効果みられず

妊婦に対し、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含むサプリメントを投与しても、産後うつ病の改善や、子どもの認知・言語能力の発達には効果がみられないことが明らかにされた。オーストラリアWomen’s and Children’s Health Research InstituteのMaria Makrides氏らが、約2,400人の妊婦を対象に行った、無作為化二重盲検試験「DHA to Optimize Mother Infant Outcome」(DOMInO)の結果によるもので、JAMA誌2010年10月20日号で発表されている。

高血圧2010 第1回 減塩 2010 (1)患者さんの食塩摂取量を知る

第33回日本高血圧学会総会が10月15~17日に開催された。前回の開催以降、高血圧の領域では、レニン阻害薬、 ARBとCa拮抗薬の配合剤が発売され、これら薬剤の処方のあり方が話題になりがちではあり、本総会でもそれらを主眼としたセッションが開かれた。それらは他の情報ソースに任せるとして、ケアネットでは前回の総会が開催された 2009年10月からこの1年の間に影響力が大きい研究結果が発表された「減塩」「微量アルブミン尿」「降圧目標」の3つにテーマを絞り、学会での発表内容とこの1年間のトピックスをシリーズで採り上げたいと思う。第1回、第2回は「減塩」を採り上げる。

アプガースコアは脳性麻痺発症の堅密な指数である

新生児に対し行われるアプガー測定でのスコア低値は、脳性麻痺と強く関連していることが明らかにされた。関連は標準出生体重児で強く、低出生体重児ではわずかで、特に四肢麻痺との関連が強いという。ノルウェー公衆衛生研究所のKari Kveim Lie氏らが、住民ベースのコホート研究の結果、報告したもので、BMJ誌2010年10月16日号(オンライン版2010年10月7日号)で発表された。

臨床治験データは義務的に公表すべきである

ドイツがん学会のDirk Eyding氏らは、「Reboxetineは、概して無効であり、場合によっては有害となり得る抗うつ薬である。公表されているエビデンスは、出版バイアスがかかったものである」ことをBMJ誌2010年10月16日号(オンライン版2010年10月12日号)で発表した。未発表論文を含めたプラセボまたは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)との対照試験データの、システマティックレビューとメタ解析の結果を踏まえたもので、「本結果は、過去の薬理学的データも含め臨床治験の結果は、公表を義務化する必要性があることを強調するものだ」と結論している。

ACSに対するticagrelor、遺伝子型を問わずクロピドグレルよりも有効:PLATO試験サブ解析

急性冠症候群(ACS)患者の抗血栓療法では、CYP2C19遺伝子およびABCB1遺伝子の遺伝子型にかかわらず、ticagrelorがクロピドグレル(商品名:プラビックス)よりも有効なことが、スウェーデン・ウプサラ大学のLars Wallentin氏らが行ったPLATO試験の遺伝子解析で明らかとなった。本試験では、ticagrelorの高い効果とともに冠動脈バイパス術(CABG)非施行例では大出血が増加することが確認されている。一方、CYP2C19遺伝子、ABCB1遺伝子の遺伝子型がクロピドグレルの効果に影響を及ぼすことが知られているが、ticagrelorのアウトカムへの影響は解明されていなかった。Lancet誌2010年10月16日号(オンライン版2010年8月29日号)掲載の報告。

クロピドグレル治療中の虚血イベント再発リスクが高い患者とは?

ABCB1遺伝子3435TTホモ接合体を持つ者は抗血小板能が低下しており、特に経皮的インターベンションを施行された急性冠症候群(ACS)患者ではクロピドグレル(商品名:プラビックス)治療中の虚血イベントの再発リスクが高いことが、米国ブリガム&ウィメンズ病院循環器科のJessica L Mega氏らが実施したTRITON-TIMI 38試験の薬理遺伝学的解析で示された。クロピドグレルおよびprasugrelはP糖蛋白(P-gp)を介して細胞外に排出される。P-gpはABCB1遺伝子(MDR1遺伝子とも呼ばれる)によってコードされ、ABCB1遺伝子多型(特に3435C→T)は薬剤の輸送や効果に影響を及ぼす可能性があるという。Lancet誌2010年10月16日号(オンライン版2010年8月29日号)掲載の報告。

癌治療学会にて「精巣腫瘍患者会創設」キックオフイベントを開催 キャンサーネットジャパン

NPO法人キャンサーネットジャパンは、精巣腫瘍サバイバーである小嶋修一氏、改發厚氏、京都府立医科大学泌尿器外科学の三木恒治教授を発起人とし、日本初の精巣腫瘍患者会を創設する。これまで個人のホームページやブログにて個別に発信されているカバーしきれない情報を、科学的根拠に基づき、集約的に、組織的に情報提供しようというもの。

変形性膝関節症の新しい疼痛治療tanezumabの有効性と安全性は?

変形性膝関節症の新しい疼痛治療として開発中の、神経成長因子(NGF)を標的とするヒト型モノクローナル抗体tanezumabの、安全性と鎮痛効果を検討するproof-of-concept試験の結果が、NEJM誌2010年10月14日号(オンライン版2010年9月30日号)に掲載された。米国カリフォルニア大学デイビス校のNancy E. Lane氏らによる発表で、tanezumab投与により、中等度~重度の変形性膝関節症患者の関節痛軽減と機能改善が認められたこと、軽度~中等度の有害事象との関連などが報告された。

ネビラピン服用者にはネビラピンを含まないレジメンが優れる

HIV感染妊婦に対し、母子感染を防止する目的での抗レトロウイルス薬投与は、3剤併用療法を受けていない場合は、ネビラピン(商品名:ビラミューン)単独投与がWHOによって推奨されている。しかしネビラピンは母子感染を減らすものの、服用した妊婦の大半にネビラピン耐性ウイルスが出現。耐性ウイルスは時間とともに減少するが低レベルの持続が、ネビラピン単独療法後6~18ヵ月で開始される3剤併用療法の効力を弱めることが懸念されている。今後、数十万規模での服用者が予想される中、米国ブリガム&ウィメンズ病院のS. Lockman氏ら研究グループは、ネビラピン服用者に対する3剤併用療法には、ネビラピンを含まないレジメンの方がよいかどうかをオープンラベル無作為化試験で検討した。NEJM誌2010年10月14日号掲載より。

がんスクリーニング、進行がん患者へのベネフィットは疑問なのに相当割合で続行

がんスクリーニングがルーチンのプライマリ・ケアに組み込まれているが、余命が限られている進行がん患者に対してはベネフィットに疑問があるものの、相当割合で実施されていることが調査により明らかになった。米国Sloan-Kettering記念がんセンターのCamelia S. Sima氏らが、約9万人の進行がん患者と、その対照群について調べた結果によるもので、JAMA誌2010年10月13日号で発表した。

CABG周術期の輸血実施率、病院間で85%差以上と大幅なバラつき:米国

米国で冠動脈バイパス術(CABG)の術中・術後の輸血率は、医療機関によって85%差以上の大幅な格差があることが明らかになった。またその原因が、患者の年齢、性別、症状の程度といったケース・ミックスにあると説明できるのは、約2割程度だったという。周術期の輸血はコスト高の割に安全面に不安があり、実施を減らそうとの動きがある。しかし実施の現状については明らかになっていなかった。そこで米国Duke大学医療センター周術期臨床研究部門のElliott Bennett-Guerrero氏らが、10万人超のCABGを実施した患者について観察コホート試験を実行。JAMA誌2010年10月13日号で発表した。

従来心血管リスク+CKDステージ情報で、冠動脈心疾患リスクを改善?

慢性腎臓病(CKD)は病期ステージ1から、もともと血管疾患が認められなかった人のその後の冠動脈心疾患リスクを上昇することが報告された。イギリス・ケンブリッジ大学公衆衛生プライマリ・ケア部門のEmanuele Di Angelantonio氏らが、約1万7,000人の住民ベースの前向きコホート研究で明らかにしたもので、BMJ誌2010年10月9日号(オンライン版2010年9月30日号)で発表された。

乳幼児の喘鳴は、細菌感染、ウイルス感染とそれぞれ独立して関連

乳幼児における急性の喘鳴と細菌感染には、有意な関連があることが明らかにされた。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans Bisgaard氏らが、前向き出生コホート研究を行い報告したもので、関連はウイルス感染と同様だが独自のものだという。ガイドラインでは、乳幼児の喘鳴には抗菌薬投与をルーチンに行わないよう勧告している。無作為化試験による喘鳴への抗菌薬投与の有効性も報告されていないが、欧米での最近の就学前児童を対象とした調査で、ウイルス感染による急性喘鳴例では抗菌薬が最も多く処方されていることが明らかになっている。こうした背景を受けBisgaard氏らは、これまで研究報告がされていない喘鳴と気道への細菌感染との関連、およびその関連がウイルス感染のものとは別のものなのか調査を行った。BMJ誌2010年10月9日号(オンライン版2010年10月4日号)掲載より。

2倍用量クロピドグレル、PCI施行ACS患者に対する有用性を確認

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行された急性冠症候群(ACS)患者に対する抗血栓療法では、標準の2倍用量のクロピドグレル(商品名:プラビックス)を7日間投与するレジメンが、標準用量に比べ、心血管イベントおよびステント血栓症の発生を有意に低減することが、カナダMcMaster大学(ハミルトン)のShamir R Mehta氏らが行った無作為化試験(CURRENT-OASIS 7試験)で示された。PCI施行例では、クロピドグレルとアスピリンの併用療法が最も頻用されているが、近年、ACSに対する早期PCI施行例の増加に伴い、より迅速な作用の発現とより高度な抗血栓作用を有するレジメンの開発が求められている。クロピドグレルの負荷用量を2倍に増量し、引き続き標準用量で維持療法を行うアプローチの有用性がいくつかの試験で示唆されているという。Lancet誌2010年10月9日号(オンライン版2010年9月1日号)掲載の報告。