dutasteride、低リスク前立腺がんへの積極的治療の必要性を低減

提供元:ケアネット

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公開日:2012/04/05

 



5α還元酵素阻害薬であるdutasterideは、積極的観察(active surveillance)を受けている低リスク前立腺がん男性において、積極的治療(aggressive treatment)の必要性を低減し、良好な補助的効果をもたらす可能性があることが、カナダ・トロント大学プリンセス・マーガレット病院のNeil E Fleshner氏らが実施したREDEEM試験で示された。局所前立腺がんは進行が遅く、疾患関連死のリスクが低い場合でも過剰な治療が行われることが多いとの指摘がある。dutasterideは5α還元酵素のタイプ1と2の双方を阻害する唯一の5α還元酵素阻害薬で、北米では症候性の良性前立腺過形成の治療薬として承認されている。局所前立腺がん患者の血清ジヒドロテストステロンを90%以上低下させ、一部の患者では病変の縮小も確認されているという。Lancet誌2012年3月24日号(オンライン版2012年1月24日号)掲載の報告。

低リスク前立腺がんに対する安全性と有効性を評価




REDEEM試験は、積極的観察によるフォローアップを選択した低リスク前立腺がん男性において、局所前立腺がんの病勢進行に対するdutasterideの安全性および有効性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照試験。

アメリカとカナダの65施設から、腫瘍量が少なくGleasonスコア5~6の前立腺がんで、積極的観察によるフォローアップを選択した48~82歳の男性が登録された。これらの患者が、dutasteride 0.5mg/日あるいはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。3年間のフォローアップが行われ、18ヵ月および3年目に12コア生検を行った。

主要評価項目は、前立腺がんの無増悪期間とした。無増悪期間は、試験開始から病理学的な病勢進行(生検による評価)まで、あるいは臨床的な病勢進行(前立腺切除術、放射線療法、ホルモン療法の施行)までの期間とした。
有害事象の頻度は同等




2006年8月10日~2007年3月26日までに302例が登録され、そのうち生検を1回以上受けた289例(96%)が解析の対象となった。dutasteride群に144例、プラセボ群には145例が割り付けられた。

フォローアップ期間3年までに前立腺がんの病勢進行を認めたのは、dutasteride群が54例(38%)、プラセボ群は70例(48%)で、有意な差がみられた(ハザード比:0.62、95%信頼区間:0.43~0.89、log-rank検定:p=0.009)。

有害事象の頻度は両群ともに高かった(dutasteride群83%、プラセボ群87%、Fisher正確度検定:p=0.34)。そのうち治療関連有害事象はdutasteride群が23%、プラセボ群は15%(p=0.11)、治療中止の原因となった有害事象はそれぞれ3%、4%(p=0.75)、重篤な有害事象は15%、15%(p=1.0)であり、治療関連死は両群ともにみられなかった。

性機能関連の有害事象あるいは乳房の隆起、圧痛を認めたのは、dutasteride群が35例(24%)、プラセボ群は23例(15%)だった。心血管の有害事象はそれぞれ8例(5%)、7例(5%)にみられたが、前立腺がんによる死亡や転移病変は認めなかった。

著者は、「dutasterideは積極的観察を受けている低リスク前立腺がん男性において、積極的治療の必要性を低減し、良好な補助的効果をもたらす可能性がある」と結論している。

(菅野守:医学ライター)