女性に対してもHIV曝露前予防(PrEP)成否の鍵は服薬率(解説:岡慎一氏)
CLEAR!ジャーナル四天王
HIV感染リスクのある人が予防薬を飲むことにより感染を防ぐ(PrEP)取り組みが、試験的に行われていたのは2010年前後である。2012年には、米国でPrEPはHIV感染予防に有効として正式に承認され、その後世界中でその研究が進んだ。2024年4月現在PrEPが承認されていない国は、先進国では日本のみである(12年遅れで日本でもやっと薬事承認される可能性が出てきている)。
感染リスクの高い集団として、まず予防投薬の対象になったのが肛門性交を行う男性同性愛者(MSM)と、膣性交を行う性産業従事者(CSW)の女性であった。MSMは、自ら感染リスクが高いことと認知している人が多いため、多くの臨床試験においてPrEPの有効性は高かった。一方、CSWのPrEP有効率は、MSMに比べるとはるかに低く、プラセボ群と比べてもほとんど差のない試験結果まであった。その原因として考えられていた理由は2つあった。