緑茶の認知機能予防効果、アジアと欧州で違いあり

提供元:ケアネット

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公開日:2025/03/24

 

 世界中で広く消費されているお茶に関する複数の研究において、緑茶には認知機能低下に対する潜在的な保護効果があることが示唆されている。この効果は、緑茶に含まれるポリフェノールと神経保護特性に起因すると考えられている。Shiyao Zhou氏らは、緑茶の摂取と認知機能低下リスクとの関連に関する最近の観察研究をシステマティックにレビューし、メタ解析を行った。Neuroepidemiology誌オンライン版2025年2月13日号の報告。

 2004年9月〜2024年9月に公表された観察研究を、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Libraryよりシステマティックに検索した。緑茶の摂取と認知機能低下との関連について、オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。さらに、サブグループ解析、異質性評価、出版バイアス評価、感度分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・18研究、5万8,929人の参加者をメタ解析に含めた。
・ニューカッスル・オタワ尺度(NOS)で評価されたこれらの研究の質は、全体として高かった。
・ランダム効果メタ解析では、緑茶の摂取と認知機能低下との間に逆相関が認められた(OR:0.63、95%CI:0.54〜0.73)。
・緑茶の摂取と認知機能低下との関連は、50〜69歳で最も大きな効果が観察された。
・サブグループ解析では、認知症に対する保護効果のORは0.75(95%CI:0.60〜0.92)、軽度認知障害(MCI)に対する保護効果のORは0.64(95%CI:0.43〜0.96)であることが示された。
・アジア集団では、認知機能低下リスクの有意な減少が認められたが、欧州集団では、認められなかった。
・女性(OR:0.51、95%CI:0.28〜0.95)、男性(OR:0.47、95%CI:0.28〜0.80)共に有意な関連が認められた。
・緑茶の摂取量が多かった人では、認知機能低下リスクの低減が認められた(OR:0.63、95%CI:0.50〜0.82)。

 著者らは「緑茶の摂取は、認知機能低下リスクの低減と関連しており、認知機能に対し潜在的なベネフィットをもたらすことが示唆された。ただし、用量反応関係や長期的な影響を明らかにするためにも、大規模な縦断的研究が求められる。今後の研究において、緑茶の長期的な影響、遺伝的因子に基づくパーソナライズされた緑茶の役割についても調査する必要がある」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)