脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:22

CVDの1次予防にバイオマーカー追加は有用か/JAMA

 心血管イベントの1次予防において、5つの心血管バイオマーカーはいずれもアテローム性動脈硬化性心血管疾患の発生と有意に関連するものの、その関連性は小さく、心不全と死亡率についてはより強力な関連を認めるが、確立された従来のリスク因子と心血管バイオマーカーを組み合わせてもアテローム性動脈硬化性心血管疾患のリスク予測能の改善はわずかであることが、ドイツ・University Heart and Vascular Center HamburgのJohannes Tobias Neumann氏らの検討で示された。研究の成果はJAMA誌オンライン版2024年5月13日号で報告された。

第Xa因子阻害薬投与中の頭蓋内出血、アンデキサネットvs.通常治療/NEJM

 第Xa因子阻害薬投与中の頭蓋内出血患者において、アンデキサネット アルファ(以下、アンデキサネット)は通常治療と比較して優れた止血効果を示し血腫拡大を抑制したが、虚血性脳卒中を含む血栓イベントと関連していた。カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らANNEXA-I Investigatorsが報告した。第Xa因子阻害薬投与中の急性頭蓋内出血患者は、血腫が拡大するリスクを有している。アンデキサネットは第Xa因子阻害薬の抗凝固作用を中和する薬剤であるが、血腫拡大に対する効果は十分検討されていなかった。NEJM誌2024年5月16・23日号掲載の報告。

認知症の人と抗精神病薬、深層を読む(解説:岡村毅氏)

実はこれは20年以上も延焼している問題だ。認知症の人のBPSD(行動心理症状)、たとえば自傷や他害、激しいイライラや怒り、幻覚といった症状は、本人にも介護者にも大変つらい体験である。非定型抗精神病薬(パーキンソン症候群などが比較的少ないとされる第2世代の抗精神病薬、具体的にはリスペリドン以降のもの)が精神科領域で使われ始めると、時を同じくして老年医学領域でも使われ始めたのは当然であった。もちろん、これは患者さんをいじめようと思って処方されたのではない。しかし、どうも肺炎や心不全などの有害事象につながっているのではということが指摘され始め、2005年に米国のFDAが死亡リスクを「ブラックボックス」で指摘してからは、使うべきではない、とされてきた。

特発性重症深部脳内出血、減圧開頭術+内科的治療vs.内科的治療単独/Lancet

 特発性重症テント上深部脳内出血患者において、減圧開頭術+最善の内科的治療が最善の内科的治療単独と比べて優れる可能性のエビデンスは弱いことが、スイス・ベルン大学のJurgen Beck氏らSWITCH study investigatorsによる検討で示された。著者は、「今回の結果は、他の部位の脳内出血に当てはまるものではなく一般化はできない。また、生存は、併用群、内科的治療単独群の両者ともに重度の障害を伴った」と述べている。特発性重症深部脳内出血患者において、減圧開頭術がアウトカムを改善するかは不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月15日号掲載の報告。

日本人高齢者の認知症発症を予測するバイオマーカー

 九州大学の小原 知之氏らは、血漿アミロイドβ(Aβ)42/40、リン酸化タウ(p-τ)181、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)と認知症リスクとの関連を評価し、これらの血漿バイオマーカーが、一般的な高齢者集団の認知症発症予測の精度向上につながるかを調査した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2024年4月12日号の報告。  非認知症の65歳以上の地域在住日本人高齢者1,346人を対象に、5年間のプロスペクティブフォローアップ調査を実施した。血漿バイオマーカーは、超高感度オートELISA Simoa HD-X Analyzerを用いて、定量化した。認知症リスクに対する各血漿バイオマーカーレベルのハザード比を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。

片頭痛患者における睡眠障害併存が中枢性感作に及ぼす影響

 片頭痛患者では、睡眠障害が見られることが多く、このことがQOLに影響を及ぼす。また、中枢感作は、片頭痛の重症度や慢性化と関連している可能性がある。獨協医科大学の鈴木 圭輔氏らは、併存する睡眠障害の数が中枢感作の影響を介して頭痛関連障害に及ぼす影響を調査した。Frontiers in Neurology誌2024年2月26日号の報告。  連続した片頭痛患者215例を対象に、横断的研究を実施した。不眠症の定義は、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)総スコア5超とした。レム睡眠行動障害の可能性は、RBDスクリーニングスコア5以上と定義した。日中の過度な眠気の定義は、エプワース眠気尺度(ESS)スコア10以上とした。睡眠時無呼吸症候群の疑いの定義は、いびきまたは睡眠時無呼吸症候群の症状が3夜/週以上とした。中枢感作の評価には、Central Sensitization Inventory(CSI)を用いた。

少し高い血圧でも脳・心血管疾患のリスクは2倍/横浜市大

 わが国で高血圧は、脳・心血管疾患の死因の第2位であり、働き盛りの健康リスクともなっている。この一方で、若年から中年における血圧分類と心血管疾患(CVD)イベントとの関連に関するエビデンスは乏しかった。そこで、桑原 恵介氏(横浜市立大学 医学部公衆衛生学・大学院データサイエンス研究科)らの研究グループは、関東・東海地方に本社のある企業など10数社による職域多施設共同研究“Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study”(J-ECOHスタディ)に参加した高血圧の治療中ではない就労者8万1,876例を9年間追跡調査した。その結果、「少し高い血圧」の段階から脳・心血管疾患の発症リスクが高まることが確認された。この結果は、Hypertension Research誌オンライン版2024年4月8日に掲載された。

取り過ぎた塩分を出す「排塩コントロール」と具体的な指導方法

 10年ほど前に話題になったDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食。それが今、塩分を排出させる食事として再注目されているようだ。DASH食とは、飽和脂肪とコレステロールの少ない果物、野菜、ナッツ・豆類、低脂肪乳製品、全粒穀類を豊富に摂取することで降圧効果が期待される“塩分の排出に重点を置いた食事療法”で、米国・国立衛生研究所(NIH)などが考案したのを契機に、国内の高血圧治療ガイドライン2019年版でも推奨されている。また、この食事療法に減塩を組み合わせたものはDASH-sodium食と呼ばれ、これまでに十分なエビデンスが報告されている。

ASPECTS 0~5の広範囲脳梗塞にも血管内治療は有効か?/NEJM

 ベースラインでの梗塞サイズの上限を設けずに試験登録した急性期広範囲脳梗塞患者において、血栓除去術+内科的治療は内科的治療単独と比べて、良好な機能的アウトカムをもたらし、死亡率も低下したことが示された。ただし症候性脳出血の発生率は高かった。フランス・Hopital Gui de ChauliacのVincent Costalat氏らLASTE Trial Investigatorsが、多施設共同前向き非盲検無作為化試験「LASTE試験」の結果を報告した。梗塞サイズの上限を設けない急性期広範囲脳梗塞患者における血栓除去術の使用については、これまで十分に検証されていなかった。NEJM誌2024年5月9日号掲載の報告。

日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスク~JPHC研究

 果物や野菜には、ビタミンC、α-カロテン、β-カロテンなどの抗酸化ビタミンが豊富に含まれている。果物や野菜の摂取が認知症リスクに及ぼす影響を評価したプロスペクティブ観察研究はほとんどなく、結果には一貫性が認められていない。筑波大学の岸田 里恵氏らは、日本人における果物や野菜の摂取と認知症リスクとの関連を調査した。The Journal of Nutrition誌オンライン版2024年4月8日号の報告。  2000~03年(ベースライン時)に50~79歳の4万2,643例を対象としたJPHCプロスペクティブ研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)においてフォローアップ調査を実施した。食事による果物および野菜の摂取量、関連する抗酸化ビタミン(α-カロテン、β-カロテン、ビタミンC)の摂取量は、食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いて収集した。認知障害の診断は、2006~16年の介護保険制度における認知症に係る日常生活障害の状況に基づいて行った。認知障害に関するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、潜在的な交絡因子で調整した後、エリア層別Cox比例ハザードモデルを用いて推定した。摂取量の最低四分位と比較した最高四分位の多変量HRを算出した。