医師の日常業務は診察や画像読影、手術など目を酷使する内容ばかりである。また、眼科領域の手術として、2000年代から屈折矯正手術(レーシック、眼内コンタクトレンズ[Implantable Contact Lens:ICL])が日本でも認められるようになり、現時点での医師、とくに眼科医の施術率が気になるところである。そこで今回、医師の眼の健康問題に関するアンケートを実施し、日常診療で困っていることや心がけていること、医師のレーシックやICLをはじめとする眼科手術の施術率などについて、会員医師1,024人(30代以上)にアンケート調査を行った。
眼科医は屈折矯正手術を受けていない!?
Q1「視力矯正のために使用/実施しているものはありますか」における全体の回答は、眼鏡(76.5%)、コンタクトレンズ(25.0%)、レーシック(1.8%)、ICL(0.9%)、なし(13.1%)という結果となった。これを年代別でみると、30代のコンタクトレンズの使用率が最も高く(50.0%)、レーシックは40代(4.6%)、ICLは30代(1.7%)でやや高い傾向を示した。診療科別で見ると、眼鏡とコンタクトレンズの使用率は眼科医が最も高い一方で、レーシックやICLの施術率は眼科医では0%であることも明らかになった。
日々悩まされている眼疾患「近視、老眼、乱視」
続いてQ2「現在、困っている眼疾患や症状」では、近視(49.8%)、老眼(44.9%)、乱視(20.8%)、眼精疲労(17.3%)、遠視(9.3%)と続いた。年代別の結果は、30~40代では近視、50代以降は老眼が最大の悩みになっていた。少数意見ではあるが、白内障や緑内障、飛蚊症など加齢が主原因とされる眼疾患も、70代以上の医師の悩みのタネとなっていた。
日常診療で不便を感じるのは…
Q3「日々の業務において視力等で支障を感じる場面」については、カルテ入力/文書作成など文字を見るとき(41.4%)が最も多く、次いで論文閲覧(29.7%)、検査・処置(24.2%)と続いた。年代別では、60代の約半数でカルテ入力/文書作成に支障を来し、意外にも、50代に並んで30代でも診察や画像読影で不便を感じている声があった。診療科別で見ると、外科系診療医の約30%が手術の際に支障を来し、なかには、「針先確認(40代、小児科)」「カテーテル操作(40代、放射線科)」という具体的な声が挙げられた。
さらに、日々の診察で感じる目の健康に関する課題については、以下のような声が挙がった。
「3-0の糸の端が見えない」(60代、泌尿器科)
「画像診断を担当していると眼の衰えが早い」(40代、放射線科)
「透視システムを使用する診療科なので、少しでも被爆が少なくなるように手技の効率化が図れないか考えている」(40代、脳神経外科)
このほかにもアンケート結果ページでは、「施術を受けた/検討している眼科手術」「自身や家族の眼科手術経験から伝えたいこと」「実際に困ったこと」などの回答結果を公開している。
アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。
視力低下で医師が悩むこと、日常診療への影響
(ケアネット 土井 舞子)