緑茶は、コーヒーと同様、認知症を予防する可能性が示唆されているが、それを裏付けるエビデンスは不十分である。新潟大学のRikuto Kaise氏らは、日本人中高年における緑茶摂取と認知症リスクとの独立した関連性および緑茶とコーヒー摂取の相互作用を明らかにするため、12年間のコホート研究を実施した。The Journal of Nutrition誌2025年8月号の報告。
同研究は、加齢性疾患に関する村上コホート研究の12年間フォローアップ調査として実施した。対象は、地域在住の40〜74歳の日本人1万3,660人(男性:6,573人[48.1%]、平均年齢:59.0±9.3歳)。ベースライン調査は、2011〜13年に行った。自己記入式質問票を用いて、性別、年齢、婚姻状況、教育、職業、体格、身体活動、喫煙、アルコール摂取、紅茶・コーヒーの摂取、エネルギー摂取量、病歴などの予測因子と関連する情報を収集した。緑茶摂取量は、検証済み質問票を用いて定量的に測定した。認知症発症は、介護保険データベースを用いて特定した。
主な結果は以下のとおり。
・緑茶摂取量が多いほど、認知症のハザード比(HR)の低下が認められた(多変量p for trend=0.0178)。最高四分位群のHRは、最低四分位群よりも低かった(調整HR:0.75)。
・緑茶1杯(150mL)摂取による認知症の調整HRは0.952(95%信頼区間:0.92〜0.99)であり、1杯増加するごとに4.8%の減少が認められた。
・緑茶とコーヒーの両方の摂取量が多いことと認知症リスク低下との関連性は認められなかった(p for interaction=0.0210)。
著者らは、「緑茶摂取量の多さと認知症リスク低下は、独立して関連していることが示唆された。緑茶の有益性は示されたが、緑茶とコーヒーの両方を過剰に摂取することは、認知症予防に推奨されないと考えられる」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)